ウォルマートは傘下の西友を売却する方針、事業見直しで-日経
高橋舞子、Lisa Du-
流通大手や投資ファンドなどに打診、3000億-5000億円との見方も
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今後の店舗改修などのコストが買い手限定の可能性-アナリスト
小売り世界最大手の米ウォルマートが、傘下の国内スーパー大手、西友を売却する方針を決定したと日本経済新聞が12日に電子版で報じた。実現すれば3000億-5000億円規模になるとの見方があるとしている。
売却先として複数の流通大手や投資ファンドなどに打診を始めているという。米アマゾン・ドット・コムなどネット企業との競争が激化する中、ウォルマートは世界的に事業の見直しを進めると伝えた。西友は5月時点で全国に335店舗を展開するほか、近隣店舗から宅配するネットスーパーも運営している。
ウォルマートは西友と2002年に包括的業務提携契約を締結。当初は西友株6.1%を保有していたが、その後段階的に買い増して08年に完全子会社化した。提携開始当初までは業績の低迷が続いたが、ウォルマートの「エブリデー・ロー・プライス(EDLP)」(毎日安売り)と呼ばれる、特売日を設けず安い価格を毎日提供する手法を採用し収益の回復を図ってきた。
外資系スーパーでは仏カルフールが05年に日本から撤退。03年に国内企業を買収した英スーパー最大手のテスコも、同業他社との差別化ができず13年に撤退している。一方、1999年に日本に進出した米会員制卸売りの米コストコホールセールは、「ウェアハウス」と呼ばれる倉庫型店舗の数を徐々に増やしている。
ブルームバーグ・インテリジェンスの消費財アナリスト、トーマス・ジャストラブ氏は「老朽化した店舗の改修、効率改善技術導入の投資、商品群の見直しなどでコストが発生するという要因が西友の買い手を限定することになる」とみる。「日本国内では人口動態上の傾向として、コンビニのようなより小規模の小売店舗が好まれており、スーパーにとっては長期的な成長が見込みにくくなっている」と指摘した。
ウォルマートの広報担当レベッカ・ルイ氏は電子メールで、噂や臆測にはコメントしないと回答した。西友の広報担当もコメントを控えた。