部下を潰す切れ者リーダーの典型が「計画押しつけ型」だ。リーダーが計画を考えて作業を洗い出し、部下となるメンバーの役割分担を決める。業務遂行時には情報をリーダーに集中させ、指示と管理を効率的に行えるようにする。チームは機械のように動いて短期的には成果を上げるが、その裏側では部下を潰してしまっている。

(小林ちか子)

 計画を立てようとするリーダーの行動自体は間違っていない。適切な計画策定は業務やプロジェクトのスムーズな遂行に欠かせないからだ。問題なのは、計画をメンバーに一方的に押しつけるという行動だ。

 計画立案や指示がトップダウン一辺倒だと、メンバーにモチベーションを与える手段が「外発的動機付け」に偏る。外発的動機付けでは、金銭的報酬、賞罰といった外側からの刺激でモチベーションを高めようとする。分かりやすく、短期的な成果を目指す場合に即効性があるが、メンバーに「やらされ感」が生じるという強い副作用がある。メンバーの自主性を奪い、長期的にはやる気の低下やストレスを生み出す原因となる。

動機付けの2つのタイプ
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 メンバーを潰さずに成長させるには、モチベーションは「内発的動機付け」であるほうがいい。内発的動機付けとは、仕事への興味や関心といった内面からわき起こるモチベーションのこと。リーダーはメンバーに対し、仕事の本質的な意義を知り、仕事自体を楽しむためのきっかけを与える必要がある。

 仕事を進めていると、ストレスを感じる難しい局面が必ずある。内発的動機付けがあるか否かは、ストレス耐性やレジリエンス(ストレスから復元する力)も大きく左右する。これらがないと、メンバーがストレスを前にやる気を失ってしまい、潰れてしまう可能性がある。

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