オバロ瓦落多箱(旧オバロ時間制限60分1本勝負)   作:0kcal
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題名詐欺の様にGが出てきません。


ざ・ねすと4

「このマメチビが!叩き潰してやる!」

 

「ほっほ、あなた方に果たして可能ですかな?」

 

 ガ・ガラの言葉に対し、さらなる挑発をする蟲小人にリュラリースは本気で殺意を覚えたが、自身の手で味方の戦力を削るほど愚かな行為はない。幸い、多少の距離がある上に馬鹿なトロール共は自分たちの前方に集合しているのだ。かくなる上は、危険だが自分がギリギリまで殿を務めてこやつらを抑えつつ、部下に背後の包囲を突破させアウラ様の元までたどり着くしかない。

 

 

「お前達!儂と恐怖公様で時間を稼ぐ!全力で背後の者どもを食い破り、滅びの建物までたどり着くのだ!」

 

「なるほど、そういう作戦で行くのですな。了解いたしました」

 

「蛇が!逃がさんと言っているだろう!ギ・ドン、ゲ・グリ!そいつ等を殺せ!」「おうよ!」「……おお」

 

 

 ゴキブリの全く緊迫感の無い口調に怒りが再燃するが、もはやそんなことを気にしている余裕はない。同格の戦いとなれば時間を稼ぐのだって命がけだ、この蟲小人をかばう余裕はない。だが、見捨てたのではなく共に戦った結果、この蜚蠊人が命を落としたのであれば、おそらくあの御方から命を奪われることはないだろう。リュラリースはそう判断し、己が持つ最大最強の攻撃魔法を、向かってくる2匹のトロールに向けて解き放った。

 

「この西の魔蛇を甘く見るなよ!<マキシマイズマジック・ライトニング/魔法最強化・雷撃>!」

 

「おっと!」「ぎゃわっ!?」

 

 ギ・ドンがこちらの動きを察知し、素早く飛びのいた。だが、後に続いていたゲ・グリは視界を半端に塞がれていたためか、もろにその胸板を雷撃が貫き――煙を上げて、その場に崩れ落ちる。

 

「なんじゃと!?」

 

 リュラリースは己の放った魔法の結果に戸惑う。確かに今放った<マキシマイズマジック・ライトニング/魔法最強化・雷撃>は全力を込めた魔法だが、グ、であればあの魔法一発ではとても仕留められない筈。おかしい、あまりにもあっけなさすぎる、と警戒をするがゲ・グリの姿は茂みに沈んでしまいこの距離からでは見ることができない。

 

「おお!リュラリース殿、なかなかやりますな!」

 

「ばかが!所詮弟か!蛇の魔法如きにやられるとは!」

 

 動かなかったガ・ガラが怒声を上げ、こちらに向かってくる。視線を動かすとギ・ドンは幸運なことに恐怖公を獲物と定めたようだ。距離があるうちに戦闘態勢を整えなくては。

 

<マジック・アーマー/魔法鎧>

 

 己の身を不可視の力場が包む。ガ・ガラが音を立てながらこちらと距離を詰めてくるが、遅い。あの鎧には軽量化や移動を強化する魔法はかかっておらぬようだ。

 

<クィック・マーチ/早足>

 

 己の移動速度が上昇する。ガ・ガラが走りながら背中の大剣を抜き放った、ギラリと月光に反射した刀身の輝きからマジックアイテムだと推察できる、面倒な。

 

「蛇!そこを動くな!」

 

 

 ガ・ガラの戯言にかまわず、リュラリースは魔力を練り上げ、再度己の最強魔法を発動させる。

 

 

「それで動かぬ阿呆がいるものか!<マキシマイズマジック・ライトニング/魔法最強化・雷撃>!」

 

「ぐなっ!?」

 

 馬鹿正直にまっすぐ突っ込んできたガ・ガラに雷撃が突き刺さり、声とともにその動きが一瞬だが確かに止まった。だが

 

「ぐわっはっはっは!大したことはないな!」

 

 動きが止まったのは本当に一瞬で、ガ・ガラは再びリュラリースに迫る。だが、それまでについた勢いは大きく減じていた。

 

「まあ、そうじゃろうな!」

 

 リュラリースもあの魔法でガ・ガラが倒れるとは思ってはいない。ダメージは0ではないだろうが、記憶の通りであればこのウォー・トロールの長兄は、あの兄弟で一番大きく、強靭な肉体を持っているのだ。強化した移動速度を用いて、そのわずかな間に恐怖公や部下たちからガ・ガラの視線が外れるように位置を変えると、再び魔法を放つ。

 

「こっちじゃ、ガ・ガラ!<レイ・オブ・スコーチング/灼熱の光線>!」

 

 リュラリースの左右の手から2本の真紅の光線が放たれる。一方はガ・ガラの顔、もう一方は少し遅れてガ・ガラの胸に照射される。ガ・ガラは足を止め大剣で顔を守ったが、当然胸にはもう一方の光線が突き刺さる。鎧の中心が赤熱化し、ガ・ガラの顔が歪む。

 

「ぐおお!うっとおしい!ちょこまかと逃げ回るな蛇!」

 

「だから、それで逃げるのをやめる阿呆はいないじゃろって!」

 

 リュラリースの目的は宣言の通り時間稼ぎである。ガ・ガラを倒すのに躍起になる必要はない。逆にいえばガ・ガラはリュラリースを執拗に追い回し続けることもないのだ。彼が恐怖公やリュラリースの部下の方に向かえば、リュラリースは逃げ回ることはできなくなるのだから。

 

 ガ・ガラ。ウォー・トロール兄弟の中で一番大きく、最も強靭な肉体と再生能力を持つ長兄である。その筋力は純粋な力比べであればグ、に負けることは一度としてなかったほどだ。だが、その頭脳はウォー・トロールとしてもはっきり言って悪く、兄弟で最も劣る。それでも通常のトロールと比べればましなのではあるが。

 

「阿呆と言ったか!蛇!叩ききってやる!そこを動くな!」

 

「……本当にこやつが相手で助かったかもしれぬわい」

 




時間超過。こちらもタイトル詐欺になりつつあります。







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