米アップルがiPhone販売で国内の携帯電話大手3社と結んでいる契約を巡り、契約内容が各社の自由な料金プランの設定を妨げているとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不公正な取引方法)に当たる恐れがあると指摘していたことが11日、分かった。関係者によると、アップルは指摘を受けて自主的に契約を見直す方針を固めたという。
公取委から指摘を受けたのはNTTドコモ、ソフトバンク、KDDI(au)の3社とそれぞれ結んでいる契約のうち、iPhoneを販売する際、仕入れ価格から一定の金額を値引くよう求めた条項。
公取委はこの条項のため大手3社が自由に料金プランを設定できていないと判断したもようだ。独禁法は、こうした取引相手のビジネス手法を不当に縛る契約を結ぶ行為を「不公正な取引方法」として禁じている。
問題とされた条項は端末代金の初期負担を抑えられるため、高額なiPhoneを入手したい消費者にとっては恩恵がある。日本でiPhoneが突出したシェアを誇る大きな要因ともなっている。
一方、1つの端末を長期間利用する場合など利用者の多様なニーズに応えた料金プランの設定を阻んでいるとの指摘もあった。
アップル日本法人は公取委の指摘などについて「コメントしない」としている。
近年は、格安スマートフォン(スマホ)を展開する仮想移動体通信事業者(MVNO)の市場参入や中古端末の流通拡大などを通じ、消費者のスマホの買い方も多様化。携帯大手も柔軟な販売戦略を採るようになってきている。
公取委は2016年8月に公表したスマホ販売に関する調査報告書のなかで端末代金を通信料から割り引くセット販売の是正を求め、より柔軟に価格設定をできるようにすべきだとしていた。
今年6月に公表した新たな報告書でも2年ごとの端末の買い替えを促す「4年しばり」と呼ばれる契約などは「消費者の契約変更を断念させることで選択肢を事実上奪う」として「私的独占」や「取引妨害」など独禁法が禁じる行為にあたる可能性があるとしていた。