『怪談百物語 第5回耳なし芳一』平家の怨霊に恨まれた原因

恐ろしさを感じるお堂

芳一は、琵琶の奏者として名高い男でしたが、ある日から平家の怨霊に狙われる事になってしまいます。それまで芳一の面倒を見ていた、かるという女は、なぜ芳一が恨まれてしまうのか理解できませんでした。しかし、芳一は自分が平家の怨霊に恨まれる理由を説明していくので、詳しく紹介しましょう。

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『怪談百物語 第5回耳なし芳一』のキャスト

お堂に潜む老人が、道三たちに怖い話を語り出す『怪談百物語 第5回耳なし芳一』に登場する人物や役者さんたちは以下の通りです。

  • 蘆屋道三/あるお堂へ駆け込む陰陽師(演:竹中直人)
  • 小夜/父の道三と一緒にお堂へ入る娘(演:大村彩子)
  • お堂に潜む老人/道三に語り出す老人(演:織本順吉)
  • 芳一/琵琶の奏者として名高い男(演:岸谷五朗)
  • かる/芳一の世話をする女(演:星野真理)
  • 亡霊の武者/芳一に迫る怨霊(演:宇梶剛士)
  • かや姫/平家の姫君(演:椎名英姫)
  • 平教経/かや姫を家臣に託す平家の武将(演:西守正樹)
  • 源氏の武将/平家のかや姫を見届ける武将(演:本田博太郎)

『怪談百物語 第5回耳なし芳一』のストーリー

道三と小夜たちは、思うように稼げなくて、口論していたら、土砂降りの雨が降ってきました。そこで、あるお堂へ入ってみたら、そこにみすぼらしい老人が像の裏からヌッと現われたのです。これに道三は大いに驚いてしまいますが、どうやら旅人のようなので安心しますが、ここから恐ろしい話を聞く事になってしまうのです。

お堂の老人が語り出す話(起)

道三は「あんた見る所、旅の者のようだな。ちょうどいいや、何か聞かせてくれよ、暇つぶしだよ、何か一つか二つ知っているだろう?」と尋ねました。これに老人は「分かりました、それではさる村で聞き及んだ世にも恐ろしい話を聞かせてあげましょう」と話し始めたので、道三は恐ろしくなってきました。

老人の話によれば、それは平家が壇ノ浦で滅んでから数年後に、とある村に芳一という琵琶法師が流れてきたというのです。しかし、芳一は薄汚い格好をしていたので、村人たちは眉をひそめていました。所が、芳一の琵琶の美しい音色と声に、村中の評判になって、金持ちや領主たちは芳一を招くようになったのです。

それから、芳一は琵琶法師として生きていく事ができました。そんな芳一の面倒を見るようになったのが、かるという若き村娘でした。かるは「お父が、芳一さんの所へ持って行ってやれって」と食べ物を届けにきたのです。しかし、芳一は、そこまでよくしてくれる者、かるにも自分の過去を打ち明けようとしませんでした。

芳一に忍び寄る恐怖(承)

芳一は、目が見えなかったのですが、夜中に誰か近づいている事に、気配で気付きました。 そこへ甲冑姿をした武者は「芳一に間違いないな?」と訪ねてきて「さようでございます」と答えました。そこで武者は「拙者、やんごとなき姫君に仕えておる、姫君はそちの琵琶を聞きたいと申しておる」と伝えます。

芳一は「それはいつ?」と尋ねてみたら「今からだ!姫君の仰せであるぞ!」と強い口調で、今すぐ屋敷に来るように迫ったのです。芳一がこれを断れる訳もなく、武者に連れられて屋敷に入っていきました。そこにいた若き姫君が「そのほうの語る平家の物語は鬼も涙すると聞いた、是非語ってくれないか?」と頼んできました。

しかし、芳一は「平家の物語は長いので、とうてい一晩ではお聞かせできるものではありません」と答えます。所が、姫君は「それならば、これから6日の間、毎夜ここで語るがよい」と申し付けます。

芳一をむしばむ怨霊(転)

芳一は、早速琵琶を持ち「祇園精舎の鳴る鐘のこぇ〜、諸行無常の響きありぃ〜、沙羅双樹の花のいろぉ、盛者必衰の理をあらはすぅ〜」と寂しくも遠くまで響くような声で語り出しました。それに聞き入る姫君たち。

そして、武者は途中まで見送りにいきますが「姫との事は他言してはならんぞ、姫君との約束を守らず、途中で投げ出すような事があれば、よいな?」と刀を握りしめます。その気配に気づく芳一は「ははぁ〜」と答えるしかできませんでした。しかし、芳一が姫君たちのもとへ行くたびに体はやつれていきました。

かるは、その異変に気付いて、何があったのか聞こうとしますが、芳一は姫君の事を他言しようとしませんでした。そこで、かるは夜中に芳一の後をコッソリとついていきました。そうしたら、芳一は何と平家の墓の前で琵琶を奏でていたのです。さらに青白い無数の人魂が飛び交い、多くの怨霊が炎と共に現われて高笑いしていたのです。

芳一に書かれる般若心経(結)

かるは、翌日になって芳一に、事の経緯を問い詰めます。そこで、芳一は平家の武将だった事を話し出して、主君である平教経から、かや姫を託されたにも関わらず、自分の命欲しさに、かや姫を切り殺して、それを源氏の武将に差し出したのです。その時に、源氏の武将から浅ましい奴と思われて、刀で目を切られてしまいました。

そこで、かるの案内で和尚から般若心経を体中に書いてもらいました。この文字によって、平家の怨霊から芳一は見えないので、今宵一晩やりすごせば命が助かるはずでした。平家の怨霊は夜になって再び現われますが、芳一は黙ってやりすごそうとします。しかし、外から、かるの声で「大丈夫ですか?」と聞こえてきたのです。

そこで芳一が扉を開いたら、そこに現われたかるは姫君の姿に変わって「やはり、おったか、芳一」と笑い出します。その声が恐ろしくて、思わず耳を抑えたら、耳に書かれた経文が消えてしまい、姫君は「みぃつけたぁ〜あ」と笑い、何と芳一の両耳をもぎ取り血だらけになってしまったのです。はたして芳一は助かる事はできるのでしょうか?

『怪談百物語 第5回耳なし芳一』の豆知識

平家の怨霊たちによって、芳一に恐ろしい悲劇が訪れる『怪談百物語 第5回耳なし芳一』に関連する豆知識を紹介するので、良かったら、ご覧になってみて下さい。

本来の耳なし芳一

怪談百物語では、芳一が怨霊の声が恐ろしくなって、手で耳を抑えようとしたので、耳に書かれた般若心経が落ちてしまったのです。所が、本来の耳なし芳一の話では、和尚と小僧が、耳だけに般若心経を書くのを忘れてしまいました。

そこで、平家の怨霊は耳だけが浮かんでいるように見えてしまったので、耳を手土産にもぎ取ってしまったというのです。数多くある日本の怪談でも、特に恐ろしい話になっていますが、これほど恐ろしい話なので、今後も映画として制作して欲しいですね。

映画『怪談)

1965年に『怪談』という映画が上映されて、この怪談には、黒髪・雪女・耳無芳一の話・茶碗の中の4つが収録されています。1つの映画に4つの怪談が収録されているとは、何とも贅沢な映画ですね。残念な事に、1965年に制作された事もあって、予告動画は見つけられませんでした。

それでもパッケージの画像からして、すでに恐ろしさを感じます。この映画の芳一役が中村賀津雄さんで、甲冑の武士を演じたのが、大霊界で有名な丹波哲郎さんでした。

『怪談百物語 第5回耳なし芳一』の感想

 怪談百物語の中でも、1・2を争うほどの恐ろしい話になっている『怪談百物語 第5回耳なし芳一』を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい。

『怪談百物語 第5回耳なし芳一』の残念な所

ここまで恐ろしい話になっているので、残念な所はないのですが、あまりにも怖すぎるので、心臓の弱い方が見る場合には注意したほうが良いでしょう。そして、あえて言えば、耳なし芳一の話をアレンジしているので、その辺りは、好みの分かれる所でしょう。 

『怪談百物語 第5回耳なし芳一』の見所

やはり、怪談ものは、このように恐ろしい話ではなくてはいけないと思うほど満足できる内容になているのが『怪談百物語 第5回耳なし芳一』でした。あまりにも美談にしているものが多かったので、四谷怪談や耳なし芳一の出来栄えの良さには、満足できるばかりです。

それと、かや姫を演じた椎名英姫さんが、NGT48の山田野絵さんに似ているのに、少し驚かされましたね。さらに椎名英姫さんは名前に『姫』と付いているのも、偶然にしてはよく出来ているなとも思いました。

それにしても、この第5回では、芳一が目を切られたり、耳をもぎ取られたりと過激なシーンがありましたが、最大の見所は姫君たちから逃げようとする芳一でしたね。かるに化けた姫君が芳一を騙したり、耳の部分だけを見つけた時の恐ろしい笑顔は、身の毛もよだつ恐ろしさでしたね。