「空電ノイズの姫君」は冬目景による漫画作品。
月刊バーズで2016年より連載を開始した。
21話は、磨音と夜祈子の過去編が描かれる。
前回はこちら。
磨音と夜祈子の子供時代
保坂磨音は父と二人暮らしである。
物心ついた頃には家の中に音楽が溢れていて、彼女も自然と接するようになっていた。
父のコレクションは古いロックが多かったようだが、先入観なく聴けたのは幸いだっただろう。
ある日、テレビの中に父の姿を見つけ、自分でもギターを弾きたいと思うようになった。
「お父さん、カッケエ…」
現在の磨音からは聞かれないセリフが新鮮である。
「Smoke On the Water」はかつて初心者にとって定番のリフだったけど、今はどうなんだろうね。
リッチー・ブラックモアやキース・リチャーズが好きな小学生はクラスの女子とは話が合わないのも当然で、友達いない発言に父がショックを受けるのはもう少し後のこと。
祖母が病気になり、叔母の家に引き取られたのは夜祈子が12歳の時。
学校から帰ってくると普段は使われていない部屋のドアが開いていて、知らない人が音楽を聴いていた。
昭人おじさんは半年に一度くらいの割合で前触れなく帰ってきて、突然出ていく。
この胡散臭そうにのぞく夜祈子がかわいい。
部屋にはCDやレコードがたくさん置いてあり、彼女の興味を引いたようだ。
聴きたいものを尋ねられて、夜祈子が即答したのはLed Zeppelinの古いアルバム。
リリース時に物議を醸した、いわくつきの作品らしい。
そんな小学生がいるか、と思いたいところだが、学校で誰も話題についていけなかったようなのも頷ける。
夜祈子も祖母の影響で古い音楽には親しんでいて、磨音との初対面のときに歌っていた曲もそうだった。(1話参照)
数年後、祖母と暮らしていた団地で一人暮らしを始めた夜祈子は、転校した学校で磨音と出会うわけである。
この二人の未来が、扉絵のような笑顔で満たされるものであったらいいなと思うのだが…
この回を持って、しばらくおあずけになりそうだ。
月刊バーズの最終号
先月号の発売時、月刊バーズの休刊が発表された。
電子書籍版だと7月10日発売分の「月刊バーズ8月号」が最後となる。
巻末には各作品の移籍先が掲載されており、ほとんどは無料Webコミックサイト・デンシバーズで連載続行が決まっているようだ。
問題はその中に本作が含まれていない点である。
巻末の作者コメントで「続きはどこかであるかもしれません」と書かれていたようなのだが、電子書籍版では確認できず。
本編最後のページに「第一部 完」の文字と、枠外にカラーイラスト収録の第3巻発売のお知らせがあった。
ページ数も内容も中途半端な状態でそれだと逆に不安になるよね。
Web連載に抵抗あるんだろうか。
とりあえず続報を待ちたい。