沖縄県は9日、子どもを取り巻く生活実態を把握することを目的に、県内の1歳児と5歳児の保護者を対象に初めて実施した未就学児調査の分析結果を公表した。手取り収入を世帯人数で調整した等価可処分所得が年122万円(貧困線)に満たない「困窮世帯」(以下、低所得層1)の割合は23・3%(1歳児=20・9%、5歳児=25%)だった。

 今回初めて算出した122~183万円(貧困線の1・5倍)の低所得世帯(以下、低所得層2)は23・9%で、低所得層1と合わせて約5割。子育てに手のかかる乳幼児を抱えながらも経済的に厳しい世帯が半数を占めることが明らかになった。183万円以上の「一般層」は52・8%。

 小学校入学に向けたランドセルや学用品の費用が不足しそうかとの問いに「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の5歳児の親は、低所得層1で40・6%に上り、一般層の7・7%を大きく上回った。

 低所得層1の5歳児の親が過去1年間で子どもの病院や歯医者の受診を控えた経験は、一般層より12・2ポイント高い27・7%だった。また、低所得層1の親自身が受診を控えたのは47・6%に上り、子どもの受診控えより深刻な状況。仕事の忙しさや家計の苦しさが理由で受診を我慢している厳しさが浮かび上がった。

 1歳児が幼稚園や保育施設に通っている割合は全体で76・6%を占め、全国より高かった。一方、「どこにも通っていない」と答えた親に、保育所などの利用希望を聞くと、「すぐにでも通わせたい」と答えた一般層が26・7%だったのに対し、低所得層1では45・7%と約20ポイント高かった。親の就労のために子どもを預けたいが、預け先がなく、実際には預けることができていない実情がみえた。

 調査は今年1月に実施した。