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いま家族としてお願いしたいこと――死刑執行後の一連の動きと報道をめぐって

※正確でない部分があったため、一部訂正しました。申し訳ございません。

 

 

 オウム真理教の教祖である松本智津夫の三女、松本麗華です。

 オウム真理教による一連の事件の被害に遭われた方に対し、心よりご冥福をお祈りし、また謹んでお見舞いを申し上げます。

 

 父は2018(平成30)年7月6日に処刑されました。この事実をわたくしも、そして家族もみな、厳粛に受け止めております。

 

 父が逮捕されてからの23年間、ただのひと言も父と話ができなかったことが、残念でなりません。面会が許されなくなってからも、10年以上、毎月一度は面会を申し込み続けてきました。事件を起こしたなら、それはなぜなのか。被害に遭われた方に対して心は痛まないのかなど、聞きたいことがたくさんありました。家族のこと、自分自身のこと、父を批判すべきこと、わたくしがなしえたかもしれないことも含めて、話したいこともたくさんありました。
 それでも、父は逝きました。ご批判を受けるかもしれませんが、今はただ、家族だけで静かに父の死を悼むことを願っております。

 

 しかしながら、東京拘置所は、最初は親族間で争いがあるという理由を挙げ、わたくしたちが母を含め、四女以外はただ父の死を家族だけで静かに悼むという同じ願いを持っているとお伝えすると、「本人が(遺体の引取先として)指定した人がいる」という旨おっしゃり、遺体の引き取りはできないとのことでした。能力的に父が意思表示などできるはずがないと申し上げると、今度はそのようなことは言っていないと、言葉をひるがえしています。
 報道によれば、父が指定した相手は、わたしの妹、父にとっては四女の聡香だということになっております。遺言状はありません。何度もおうかがいをしたにもかかわらず、東京拘置所は7月9日現在にいたるまで、父が指定した相手が四女だということを、わたしたちには話をしてくださいませんでした。
 わたし自身は、父が四女を遺体の引取先として指定したという話について、父が東京拘置所の職員と意思疎通ができなかったという客観的な事実からも、作られた話ではないかと感じております。
 これまで複数の精神科医が父と面接した上で、コミュニケーションがほぼ不可能で、外的刺激に反応することができない「昏迷」の状態にあると判断しています。最近、東京拘置所が提示した書類を見ても、弁護人が拘置所の職員と会話をしたときの話からしても、拘置所の職員と父は意思疎通ができていません。父が受け取り先を指定することは、能力的にも不可能です。
 また、父が長子でもなく、あるいは父の介助を身近で行っていた長女やわたし、姉の宇未でもなく、長年連れ添った妻である母でもなく、四女を指定するということは考えにくいことです。
 聡香は両親と縁を切りたいとして、2017年11月に記者会見を開いて訴えています。そのような聡香自身の立場や心情を考えても、今回の「指定」には疑問が残ります。また母は、聡香を含めて、家族みなで父の死を悼むことを願っています。

 

 一昨日7月7日、担当弁護士による数度にわたる交渉の甲斐あって、母、長男、二男、二女、三女5人の家族は父の遺体と短い時間、面会をして参りました。
 翌日、電話で、拘置所の職員から遺体をわたしたちには渡すことができない、と告げられました。なぜなのか理由は聞かされませんでしたが、揺るがぬ決定事項という口ぶりでしたので、大きな抵抗感がありましたが、遺骨であるなら引き渡していただけるのか、遺骨すべてが無理ならせめて分骨だけでもとお願いしました。わたしたち家族は父を弔うために、遺体がかなわないならせめて遺骨の一部でも分骨していただきたいと考えたのです。
 その後、再度父の遺体と対面し、東京拘置所には家族は遺体で引き渡して欲しいと望んでいること、火葬を受け入れているわけではないこと、拘置所の判断で火葬をする場合は、せめて遺骨が欲しい、遺骨がだめならば分骨でもとお願いをしました。拘置所側は、指定人がいるという話や、遺骨は拘置所で預からせて欲しい旨、言っていました。
 帰宅したのち、今朝7月9日朝の報道で、わたしたちが四女への遺体の引き渡しに同意したとされていること、法務省がわれわれ家族に連絡がないままにその引き渡しを決定したとしていること、家族全員が父の遺体の火葬に同意したということ等々の文言を目にし、事実とのあまりの違いに驚きました。昨日も含め、父の遺体や遺骨に関してわたしたちが尋ねたことに関する拘置所の刑務官の返答は二転三転していました。父が行ったという「指定」についてもまた同様です。そして昨日の面会後、拘置所からわたしたち家族に対していっさいの連絡がないまま、今朝のさまざまな報道を目にした次第です。
 拘置所とのやりとりなどの詳細については追ってまた別の形でご報告いたしますが、そもそも規則上、遺体の引き取りについては執行後に電話でその事実の報告を受けた、父の配偶者である母が意向を示すことができるはずです。また、そもそも父の遺体、遺骨の引き渡しに関しても、家族間の争いなどは生じておりません。
 家族として、執行後現在にいたるまでの経緯について、正確な情報公開を切に願っています。

 

 報道では、父の遺体や遺骨の利用についてさまざまに報じられておりますが、父を宗教的・政治的に利用することは家族として決してできませんし、万が一、その動きがあったとしても家族が決して利用させないことをお約束します。また、わたしは以前から申し上げている通り、オウム真理教から派生したいかなる団体とも関係しておらず、派生団体には解散をしてもらいたいと考えていることを、あわせてお伝えいたします。何卒、ご理解いただけますよう、お願い申し上げます。

 

2018年7月9日正午(松本麗華)

 

投稿者:松本麗華, カテゴリ:その他, 13:54
comments(8), -, -
コメント
犯罪者にも家族がいるということ、拝読して考えさせられました。

しかしながら今後、ご冥福とかお見舞いとかは使わないでいただけたらと思います。他人事のように聞こえました。一時期とはいえ教団幹部に籍をおいた貴方はやはり加害者側として、謝罪以外使えないと思います。

そして我々は教団はじめ教祖の関係者、ご家族に対して並々ならぬ恐怖をいまなお、否、死刑執行されたいまだからこそ感じております。それをぬぐえるのは貴方たちの旧教団への影響力だと思います。恐怖をぬぐい、過去を清算し、それを行動で示してください。お願いいたします。いまなお体の後遺症と心の後遺症に苦しんでいるのです。まずは私たちすべての被害者の安寧があってはじめて、加害者のご家族にも加害者を弔う時間がうまれるのではないでしょうか。

孝行, 2018/07/09 4:59 PM
様々なハンドルを使っていたかつての悪党女神です。

はじめまして。
…という気がしません。
貴女のことは往時からかじりついてみていた者で、しかもかの小保方ハカセや個人的には義姉のひとりと同い年であることを知ることになって、いよいよ身近に感じられる今日この頃ですから。



下手な慰めなど、この際無力ですから申し上げません。
ただ一点、貴女のことをこうして影から見守っている者がいること、これだけをお伝えしたくて筆ならぬマウスをとりました。

貴女だったら、世間なんぞに絶対負けない!と確信してます。
どうかご自愛の上、ご活躍ください。

乱文容赦、かしこ。
馬韓亭おぼこ, 2018/07/09 4:49 PM
なんだかよくわからないニュースだね。それぞれのしっかりしたコメントとか文書発表とかが出そろうのを待ちたいね。
大熊真春(OKUMA Masaharu), 2018/07/09 4:17 PM
第三者の私達には真実が何か分からないけど
一連の報道や、4女記者会見等見ていても、
今回の引き渡し先の決定が正当なものだとは思えない

縁を切りたがってる4女を指名することで、引き渡さずに済むよう、拘置所内で処理出来るように動いてるのかなと感じました
あなたが真実を明るみに出してくれると信じています

死刑は死そのものが刑であり、虐待や治療拒否家族との関係を断ち切る事が含まれているとは思いません
薬物や病状の管理にカルテ等はなかったのでしょうか?注射跡はあったのでしょうか
健康状態のチェック等はされていたのでしょうか
罪人だから、死ぬ人だから、そんな事で人間をないがしろに出来る人が医療関係で働いて居るのなら恐ろしいです

思うように会えない、そりゃ勾留中なら仕方ないでしょう
でも10年会えない、会話もできない、目が見えないなら手紙のやり取りもできない
清潔に暮らすことも許されない
こんな事が含まれてると思いません

事件当時、私は中学生でした
とても記憶に残っています
被害者の人たちのことを考えると憤りました
駅の映像を見て恐怖を覚えました
でも、虐待を見て見ぬふり、無関心で放って置く世論って、私刑と変わりません
被害者の遺族は~と言われても、遺族ではない人まで遺族と同じ気持ちで物を考えて良いとも思いません

あなた達死刑囚の家族、普通に考えてあなた達未成年の子供たちに何か責任があったと思えない
その一国民であるあなたの『他の人と同じ死刑囚の家族』の権利として、事実関係の証明
遺言の正当性、諦めずに情報を求めてください

テレビで見聞きしたオウム事件、麻原彰晃の人となりはどれを見ても酷い人でしたが、
あなたたち姉妹の描くお父さんへの思いは、思いがけずとても美しいものでした
どんな犯罪者でも、人となりや動機、思い出、いろいろな事が本人から語られて来たものですが、あなたたちのお父さんにはなかったね
あなたから見た、歌って選挙にでたお父さん、アニメを作ったお父さんがどう見えるのか
どうして気持ち通じ合った、人を思いやる場面もあったお父さんがあんな事件を起こしたのか、
良い思い出も負の情報も、両方を語っていって欲しいです
これからも、辛いことがたくさんあるだろうけど、頑張ってください


遺言を捏造する人たち、虐待した人たち、狂うほどに薬を投与した人たち
その人達も罪人です
彼らにも報いがありますように
みき, 2018/07/09 4:07 PM
初めまして。
あなたのことはマスメディアで最近知りました。

顔を出しての行動、非常に勇気ある行動だと思います。
東野圭吾著書の「手紙」は御存じでしょうか?
麗華さんに少し重なりました。
家族のことはどうであれ、麗華さん自身はとても立派だと思っております。

逆の立場なら到底麗華さんの様に強く生きることは
出来ないです。

これまで沢山辛い思いをした分、幸せになってほしいと思っております。

応援しております。
nami, 2018/07/09 3:45 PM
國の判断なので何とも言えませんが
前を向いて頑張ってください。
でるぼう, 2018/07/09 3:25 PM
日本が報道の自由度ランキング低いのがわかりました。死刑のある外国でも絶対麻原を死刑執行すると思いますがマスコミの報道が酷いですね。これが大本営発表とか言うやつかと思いました。
アモ, 2018/07/09 2:51 PM
どんなに凄惨な事件の首謀者であれ、両親を選ぶ権利はこどもにはないですし、身内だからこそ、社会的立場とは全くちがう“家族”としての彼の素の姿も見てきたと思います。愛され、優しい目でみつめられた経験もあると想像します。

心ない言葉も多く受けるでしょう。生きる権利などない、犯罪者のDNAが流れているなどと批判されることもあるでしょう。それでも愛してもらった記憶があるなら、ただただ純粋に、故人の死を悼み、ご自身の心の安定・回復を図ってください。必要なら、グリーフケアを受けてください。

わたしは機能不全家族のもとで育ち、その影響で18歳で社会に出てから、死のふちを歩くような経験をしつづけてきました。立ち直るまでの約20年は生きていることすら苦しかったし、本格的に精神療法を受けるようになってからも、いま思い出すと本当につらかったです。
でもどれだけ苦しい思いをしても、両親を憎むことも恨むこともできませんでした。
なぜなら愛された経験もしっかりと覚えているから。彼らに悪意や他意はなく、ただただ一生懸命に、わたしやきょうだいを育てようとしてくれていたことがわかったから。

心理学の勉強をされているそうですね。人は痛みを知れば知るほど、人に優しくなれるし、人の心の繊細な部分を包み込む力を備えると思います。
ご自身もうつを経験されたとのこと。揺れる心と付き合いながら、心に痛みをもつ人のケアをすることは並大抵ではないと思います。
でもムリのない範囲でがんばってください。
応援しています。
あゆ, 2018/07/09 2:39 PM