(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年7月4日付)

北朝鮮との協議は「順調」 トランプ氏、核開発強化の報道に反発

シンガポールのカペラホテルで、談笑しながら歩くドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長(2018年6月12日撮影)。(c)AFP PHOTO / SAUL LOEB〔AFPBB News

 「我が国には、永遠の同盟もなければ永遠の敵もない。我々の国益は永遠であり、この利益の追求こそが我々の義務である」

 1855~58年と1859~65年に首相を2度務めたパーマストン卿は、英国の世界的覇権の絶頂期に自国の外交政策をこのように描写した。

 米国国務省の元高官が筆者に先日教えてくれたように、ドナルド・トランプ米大統領はパーマストン主義者である。

 米国が作り上げた世界秩序に対するトランプ氏の攻撃を、何らかの筋の通ったドクトリンが支えているのであれば、それはパーマストン主義だ。

 しかし、トランプ氏はパーマストン氏とは違うし、21世紀の初めは19世紀の半ばではない。

 トランプ氏の視野の狭い取引志向のアプローチは無知と怨恨に駆り立てられたものであり、大変な災難をもたらす恐れがある。

 第2次世界大戦の直後、米国はこれとはかなり異なる見方をしていた。

 ナショナリズムに染まり、お互いを警戒する複数の大国が有利な地位を得ようと争った結果、壊滅的な世界大戦を2度も行うに至った。欧州は疲弊した。