2018年07月06日
「呪術廻戦」1巻 感想
「呪術廻戦」の1巻が発売しました。
(ちなみに「鬼滅の刃」「火ノ丸相撲」も同率1位です。)
作者の芥見下々先生にとっては週刊少年ジャンプでは初連載となる作品です。
が、そうとは思えないくらい登場人物に血が通い、物語の構造はわかりやすいのに複雑に絡んでいる部分もあり、見せ場の盛り上げ方が上手い、など全体のレベルが高く、何より作品そのものが面白いです。
さっそくですが、第1話が無料で読めるのでリンクを貼ります。
読んだでしょうか。
ここからは読んだものとして1話の内容は包み隠さず書きます。
私もコミックスで1話を改めて読みました。
改めて読んでも1話目で話が進みすぎだな、と思いました。
15年以上ジャンプを読んできた経験からすると、「人外のパワーを手に入れた主人公が1話のボスを倒して終わり」というのがだいたいのパターンです。
一般人だった主人公が力を得てボスを見開きでドーン!と倒して、カッケー!となるやつです。大好きです。
でも、「呪術廻戦」はそうなりませんでした。
人外のパワーを手に入れた虎杖を、伏黒が「人間じゃなくなったから殺す」と言って1話は終わります。
正直、ジャンプで最初に読んだ時は置いてけぼりにされた気持ちになりました。
が、何回も読むうちに1話に描かれた作品のテーマがわかり、1話のラストの意味も理解できた気がします。
虎杖は祖父の死と、"呪い"という存在を通して、"正しい死"と"間違った死"があることを知りました。
つまり、「呪術廻戦」は、強大な力を得た少年が呪いと戦う物語――ではなく、戦いや生存といったものの先にある、死を迎えるための物語なのではないでしょうか。
何よりも虎杖に言葉を遺した祖父が「こう生きてほしい」ではなく「こう死んでほしい」と言っていますし。
だから、1話の終わり方は虎杖が行動した結果待っていたのは死だった、という所まで見せる必要があった、と。
この感想を書くまで1話がああいう終わり方なのは、「終盤で虎杖と伏黒が対決する時に同じ構図にするためでは」くらいにしか思っていなかったんですが、自分で感想を書きながら新しい発見がありました。
ちなみに、コミックスの帯に書いてあるキャッチコピーも「少年は戦う。『正しい死』を求めて。」となっています。
まだ1話の話になってしまうんですが、1巻で好きなのは44ページから始まる一連のシーンです。
伏黒がここで何を考えて「…いや」と答えたのかは2巻でわかります。
が、その答え合わせを抜きにしても、彼の一面がが見えるシーンになっているのはすごいな、と。
伏黒は虎杖の死生観を聞いた直後に、彼が死なないように庇いはじめます。
この時点でクールなだけの奴ではない片鱗が見え始めているのが面白いです。
1巻の表紙は虎杖(と宿儺)だけなんですが、伏黒もまた主人公なのかなと思いながら読んでいます。
物語の大枠も楽しみですが、個人的には伏黒がどう成長していくのか、あるいは呪われてしまうのか、という行く末も同じくらい楽しみで、イチ押しのキャラクターです。
長々と書いてきましたが、2話以降の展開にほとんど触れられなかったので、1話のあの終わり方で虎杖がどうなったか気になった方がいたらぜひ買って読んで欲しいです。
最後に宣伝を2つ。
①芥見先生の初連載であり、本編前日譚の「東京都立呪術高等専門学校」がジャンプ+で期間限定で読めます。
2巻以降で登場するキャラクターが出ていて必須の物語なので、こちらもぜひ。
ブラウザだと1話しか読めませんが、アプリ版をダウンロードしてコインを使えば4話(最終話)まで読めるので、一気読み推奨です。
〔リンクはこちら〕
②紙のコミックスの帯には抽選プレゼント応募券が付いているので、電子で買った人は紙でもう1冊買ってもいいかなと思います。
〔1巻で覚えておきたい要素〕
・百葉箱に"あった"はずの宿儺の指を虎杖は「拾った」と言っている(何者かの意図がある?)
・虎杖が宿儺の器たり得る体質に秘密は?
・祖父が何か伝えようとした虎杖の両親について
・釘崎の友人・沙織
自分用のメモみたいなものなので、気にしないでください。