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【社会】

1970年代の学生運動で紛失 東大の学徒動員資料 返却

学生運動の混乱で紛失していた東大農学部の学徒動員の資料=東京都文京区で

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 学生運動の混乱で紛失した東京大農学部(東京都文京区)の学生の学徒動員に関する冊子が、保管していた元学生から二〇一五年に大学側に返却されたことが分かった。学生運動で紛失した資料が戻された例は珍しいという。

 資料には、戦時中の学徒動員に向けた東京帝国大(当時)の学生の身体検査結果や、派遣先が詳細に記録されている。

 水産学を研究する学生は専門性を生かして研究員が不足する水産試験場で勤労するなど、派遣の実態が分かる。

 文書館によると、冊子を返却したのは、元東大全共闘議長で科学史家の山本義隆さん(76)。山本さんは一九七〇年代に非常勤職員の待遇を巡る大学側と職員側の闘争に関わった。職員や支援する学生が農学部の一室を拠点として使用した際、部屋の資料などを移動、学徒動員の冊子は山本さんが持ち帰り、保管していた。

 東大文書館の森本祥子准教授は「東大の学徒動員の実態が分かる。捨てられていたかもしれなかったが、山本さんが救出、保管し返してくれて、感謝している」と話した。冊子は、希望者に公開している。山本さんは、本紙の取材に応じていない。 (中村真暁)

 

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