2018/07/08

映画_ゆれる人魚(評価/★:3.4)ネタバレあり感想~ホラーではなく、ラブ・ストーリーです~【映画レビュー】


映画 ゆれる人魚 感想 評価 ネタバレ


◆ ゆれる人魚 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★☆

文月的採点(34/50点) 

この作品ジャンルは?:ホラー・ファンタジー

オススメしたい人は?:悲恋ずきな人

印象を一言で?:シェイプ・オブ・ウォーターよりは解りやすいです。

グロテスクですか?:恍惚とは時にグロテスクなもの

◆synopsis◆


1980年代のポーランド・ワルシャワ。

人間たちを捕食して生きる美しい人魚姉妹は海からあがりナイトクラブにたどりつく。

ストリップやライヴ演奏を披露する大人の社交場で、ふたりは得意のダンスと歌を披露し、すぐにスターになる。

そんななか、姉シルバーはベーシストの青年ミーテクと恋に落ちる。

初めての恋に浮かれるシルバーだが、妹ゴールデンは、そんな姉を複雑な眼差しで見つめていた。

人魚にとって、人間の男は“餌”でしかないからだ。

やがてふたりの間に生じた緊張感は限界に達し、残虐で血なまぐさい行為へと彼女たちを駆り立てる……。

※公式HPより

※一部文月加筆訂正

◆comment◆


2018/02/10 日本劇場公開
2018/07/03 レンタル開始です。

珍しく邦題が秀逸だと感じた作品。

また、原題「The Lure」も言い得て妙なタイトル。

これは劇場鑑賞することができずにいて、レンタル開始をウズウズしながら待ってました。

これ、ホラー映画通信さんなどで紹介されていたから、ホラー映画だとばかり思いっていましたが、

めちゃくちゃ恋愛映画でした。
それも「叶わぬ恋」

公開とほぼ同時期にデル・トロ監督作品であり、アカデミー賞も受賞した
シェイプ・オブ・ウォーターよりももっと直接的で、シンプルで、官能的な作品に仕上がっています。

※文月のシェイプ・オブ・ウォーターの紹介記事はこちら↓↓

そして、物語のテイストとしては、2月に公開された「RAW〜少女のめざめ〜」に似た印象を受けました。(方面も同じですが、RAWの方が怖い)

※文月のRAW〜少女のめざめ〜の紹介記事はこちら↓↓


人魚、というと、ディズニー映画の「リトル・マーメイド」のイメージが先行して美しく元気な人魚姫や楽しいキャラクターらが巻き起こす冒険の物語を思い浮かべる方も多いでしょう。

だけど、それはディズニーマジックであって、人魚というのは本来本作の様な話なのです。

美しい容姿で、持ち前の美声を用いて、時には人間を誘惑し、捕食する。

世界各地で伝説になっている人魚とは実はあまり良いイメージではありません。

そして人間と恋に落ちる伝承はそのことごとくが「叶わない」ものであり、本作もそれに準じています。

「ホラー」とされる所以は、ポーランドのワルシャワで偶然ナイトクラブでバンドをやっている男女グループと出会う世にも妖しき人魚の姉妹が、人間を捕食しているからです。

人魚の姉シルバー(右)・妹ゴールデン(左)


ただし、そういうシーンももちろんありますが最小限であって「彼女たちは人間ではない」ことの象徴として用いられているだけで、そこらじゅうで人を喰べ漁っている訳でもないのです。

むしろ「美声」を活かしたミュージカル調の構成と、

「捕食対象である人間と恋をした姉の人魚シルバー」
(いわゆるスタンダードな人魚姫として描かれる)



「人間を餌としか見ておらず人魚らしい妹の人魚ゴールデン」
(老若男女問わず、美貌と魔力で誘惑し、捕食していく様は「セイレーン」とでも言って良い)

がラストに向かって、互いにぶつかりながらも生き方を選択していくドラマに重きが置かれています。

愛に「ゆれて」、種族としての生き方に「ゆれる」

ふたりの人魚の心は揺れ動くのです。

※人魚の名が「シルバー」「ゴールデン」となっているのは「イソップ童話」の金の斧銀の斧を連想させますが、本作のモチーフになっていることはラストまで見通すとよく解ります。


人間に心を奪われた人魚にはある呪いがかけられるのです。

それは「恋に落ちた相手が別の人間と結ばれると翌時の朝に泡になる」というもの。

伝承にあるようにそれを特には「ある事」をすれば良いのですが、用いるものはナイフではありません。

うむ。

・・・・とここまで書いておいてなんですが、フルヌードとか刺激強すぎ!

目のやり場に困る。。。

めちゃくちゃ情熱的に”わっしょい”してるところが、若さと情熱を象徴させているのですな。

見どころは、登場人物それぞれの”わっしょい”でもあります。

情熱なのか、欲を満たすためなのか、愛ゆえなのか…

いろいろな形があるものです。

カップルや夫婦で鑑賞する方は厳重注意!

美しく瑞々しい肢体に鼻を伸ばしていると、隣でこわーい人魚が覚醒するかも。。。

ラストシーンで、哀しみを抱きながら水に還っていくあの子の姿は目に焼き付きます。

種族を超えて本当に愛してしまった相手に、彼女がどんな選択をしたのか。

その結果どうなるのか。

ぜひその心情が理解できるのかを女子に聞いてみたい。

でも、わたし「ゴールデン」ちゃんに誘惑されたら瞬殺間違い無し。

歌声で惑わされなくとも、飛び込む。

”わっしょーーーい”


2018年映画鑑賞 208本目

post from #pixelbook


◆overview◆


・原題:The Lure 2015年公開(日本公開2018年)
・上映時間:92分

・監督:アグニェシュカ・スモチンスカ
・脚本:ロベルト・ボレスト   
  
・メイン・キャスト
キンガ・プレイス
マルタ・マズレク
ミハリナ・オルシャンスカ
ヤーコブ・ジェルシャル
ジグムント・マラノウッツ
カタジーナ・ヘルマン

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