PAUL STANLEY'S TOUR GUITAR
SPECIAL REPORT

3月に行われた"THE FAREWELL TOUR 1973-2001"日本公演に関連して、某所にてポールのツアー・ギターの内の1本、Washuburn PS2000Bに触れることが出来ました。実際にステージで使用されるということからか、市販モデルと多少異なる部分もあります。

上の写真が、ポールが長年愛用してきたPS2000Bで、今回の大阪最終公演で使用した後の状態。ボディの腕の当たる部分からブリッジ横にかけて白く曇っているのはポールの汗の跡。市販モデルとの外観上の相違点は、トグル・スイッチ・ノブがクロームのものに交換されている点、コントロール・ノブがPS2000MILと同一のタイプに交換されている点、ブリッジがABR-1というタイプを搭載している点。テールピース・プレートには"THE FAREWELL TOUR"という刻印が打たれている。

ポールによる、このギターを長年ツアーで使用してきたことを証明するメッセージとサイン。

市販モデルとの相違点は、まずネックのジョイント角度。市販モデルよりもネックが浅い角度で仕込まれており、それに伴ってブリッジの高さもかなり低くセッティングされている。ポール自身は弦高は低めなのが好みらしく、ブリッジはボディに接触するまで下げられ、さらにブリッジ・サドルの弦溝が通常より深く削られている。ブリッジは市販モデルが"ナッシュビル・チューン・O・マティック"であるのに対し、このギターではオールド・スタイルの"ABR-1"を搭載している。
ネック・シェイプ(握り)も市販モデルと異なる。特に12フレットからヒール部にかけては市販モデルよりも薄く仕上げられている。フレットは、ロー・コードを多用するポールらしく、ロー・ポジションの減りが激しい。
関係者によると、このギターには何故か"BUZZ FEITEN TUNING SYSTEM"が搭載されておらず、ヘッド裏にはそのデカールも貼られていない。シリアル・ナンバーは1998年に製作されたことを示しているが、プロト・タイプである可能性が高い。
配線も、ステージでの使い勝手がよいようにシンプルに改造されている。市販モデルでのフロント・ピックアップ・ヴォリュームとトーン・コントロールはダミーとなり、リア・ピックアップ・ヴォリュームのツマミがマスター・ヴォリュームになるように配線し直されている。
ストラップ・ピンはシャーラー製のロック・ピン、"セキュリティ・ロック"に交換されている。

ボディ裏側の傷も長年ステージで使用してきた戦歴を物語る。トグル・スイッチ裏の周辺はコスチュームの装飾のラインストーンなどで削られ、塗装が完全に剥げて木材がのぞいてしまっている。その他、ボディ・エンドやコントロール・キャビティ周辺も傷だらけだ。

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