毎年代わり映えせず
by huttonde
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戦国物語 二十二
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足軽六蔵奮闘記 二十二

「戦ばかりが戦じゃないさ」
 須田豊地茅部の三城と、宗善による
東南諸侯調略が大々的に始められた。
 これまで三城はしばらく森柳・乙羽旧領を
須木江と屋久から奪還すべく戦に専念していたが、
三城と宗善の軍議の結果、須田と茅部は須木江、
豊地は屋久を相手に、当主宛だけでなく、配下武将
にも積極的に呼びかけ、更に宗善によって周辺勢力
へも神保方へ加わるよう働きかけることにした。
「我が神保家は拡大方針にあり、反神保が不利に
なりつつあることは天下に自明でござる。故に
丁重に我らへ与することを勧め、妥協すればよし、
そうでなければ後悔することを知らしめ、反神保の
連携を断ち、更に今後対抗し得る勢力へ備えるべきと
存ずる」
 宗善が父・梶谷左兵衛に対して、三城による
東部攻略を本城も援護し、戦での援軍だけでなく、
調略や外交を積極的に用いるべきと提言したことに
左兵衛は了承して任せていた。そのせいか、
三城でも軍議では宗善の献策は同意を得た。
(父の威光か何かは知らんが、こちらの意向には
なったからな。良しとしよう)
 以降、宗善は三城と本城を行き来しては
打ち合わせを繰り返して、敵勢への調略を進めた。

 十数年に及ぶ父・左兵衛の腰巾着から一転、
最近の活躍を知れば、意外に思う者もいるだろう。
「おまえは何事も知らぬ。自覚しろ」
と、左兵衛は時折ぶっきらぼうに宗善に言い放った。
 元服前、あるいはそれからしばらくであれば
まだしも、齢二十歳を過ぎ、三十を過ぎても父親の
腰巾着では世間体も悪く、陰口を叩かれたりと
居心地も悪かったが、左兵衛は宗善を見くびって
いるのか甘やかしているのか、一武将としての
役割を認めず、常に側に置いて身辺の雑用ばかりを
命じていた。
「わしが誰に何を言ったか、相手は誰で何を言ったか
何を決めたか、よく聞いてよく考えろ。理解しろ。
ぼけっと見てるなよ。仕事と思え」
 宗善は元服当時から左兵衛の近習として、
ときには祐筆役にもなった。
 祐筆となれば、下手では話にならない。
書を学び、早く乱れのない書体にする技術も
必要になる。書が得意な左兵衛はこれについても
うるさく口を挟んだ。
 また、左兵衛と家来や来客とのやり取りを見守り、
それが終わると、左兵衛と相手が何を話したか、
その趣旨は何かを答えさせられ、意に添わぬ答えで
あれば一喝された。
 内容によっては前日や数日前の話につながったり、
内政や外交、戦に関するものであったりと多岐に
渡るため、こうなると記憶もおぼつかず、
把握し理解するのも困難になる。
 結果、毎日のやり取りを帳面に記すようになり、
要人同士の会話であるため、第三者にいちいち
知らせるわけにも行かないが、不明な点などは
それとなく周囲の者にも聞くようになった。
 母親のお米(よね)殿は、先々代当主当時の
家老の娘で、政治には無関心らしく、もっぱら
女性達で集まっては、和歌やら何やら趣味に
勤しみ、宗善に対しては放任といった調子だった。
「父母共に口うるさくてよいか?」
と、本人としては過干渉を戒め遠慮しているらしい。
 宗善はそんな親子関係を可もなく不可もなし、
と納得している。
 それよりも、親子から師弟であり上司と部下の
関係に変わったような左兵衛と宗善が、この後更に
役割の変化を迎えるだろうことを考えれば、
その重責が気がかりである。
(長い雑巾掛けだったが、それはそれで
楽だったとすべきか・・・・)
 宗善は、三十も半ばになって、
ようやく独り立ちした気分だった。



「三城では内膳(宗善)様の評判も
随分と上がっているようですね」
 本城への帰路の途中、馬上の宗善を後ろに、
護衛役である近習の奥江五郎太が、馬の口輪を掴み、
片手で槍を担ぎながら、にこやかに語りかけた。
 郊外の道故に、田畑どころか見渡す限り手付かずの
一帯を、細い田舎道が続いている。
 同じく護衛で槍を担ぐ脇坂為三(ためぞう)も、
馬を挟んで五郎太の隣で歩きながら、
「内膳様への関心はそれぞれあったようですが、
皆予想外だったようで」
「予想外って何だよ」
と宗善は苦笑した。
 一仕事終えての帰路で、とかく緊張を強いられる
城中とは違い、たった三人という気安さもあった
せいか、気分は和んでいた。
 五郎太と為三の二人は鷹狩の猟場近隣に住む百姓の
次男と三男で、共に槍の使い手として非凡さを認めた
左兵衛によって宗善の近習となって、かれこれ十年に
なる二十代半ばの若者である。
 二人共宗善側近という地味な立場故に、戦場で
活躍出来たわけでもないが、百姓の倅からの転身で、
宗善の護衛と槍の稽古相手も務めていることに
自負がある。二人は宗善と背丈は変わらないが、
いかにも骨太の頑健そうな体格になっている。
「しかしなあ、あまり期待されるのも面倒だなあ」
 宗善の言い分も若い二人にはよくわかる。
「当てにされる内がいいのでしょう」
 五郎太は笑った。
 宗善直属の家来は四人。宗善の近習頭である
山中正次郎(しょうじろう)は一歳違いの弟分で、
商家の次男坊だったが、宗善側近として左兵衛が
決めた一人だった。今では不在の宗善に代わって
城内の雑用を取り仕切ることもある。
 もう一人、祐筆役として城に残っている
五歳下の岡野小吉郎もまた商家の三男坊だった。

 宗善が昼前には本城へ戻ると、
出迎えた山中正次郎に声をかけた。
「親父は?」
「は、鷹狩に出かけておられます」
「ふん、よく行くなあ」
と苦笑した。
 長らく家中を取り仕切っていた左兵衛は、
鷹狩が気分転換になるのだろう。
 左兵衛が鷹狩を趣味としていることは宗善も
承知している。子供の頃、先代当主武蔵守惟道の
鷹狩に左兵衛も付き従う際に、連れ出された
ことも覚えている。
「ほれ、走れっ」
と、若き左兵衛は幼い宗善に声をかけて、
獲物を追い込む勢子(せこ)の一員として
宗善はわけもわからず走らされた。
 狩での左兵衛は城中では滅多に見せない
明るい表情で、家中での人間関係、筆頭家臣の
重責から、鷹狩が唯一の息抜きになったのだろうと
子供心に推測していた。
「鷹狩というものはな、単なる鷹狩ではなく・・・・」
 領内に複数ある狩場は、現地近郊の領民の
暮らしぶりや、近隣領主の知行支配の実情、
現場での家臣達の関係性や心身の鍛錬度などの
現状確認、他勢力への偵察、情報収集や、
城外での会合の場も兼ねている。
 以前は当主惟道に従うか、特別に惟道から許しを
得ての鷹狩だったが、今や当主は十歳の惟定であり、
後見人の左兵衛が一切の権限を受け持っている。
 また、先代惟道正室の風月院も、左兵衛に任せる
ことを公言して、二の丸の一角にひっそりと
暮らしている。
 鷹狩に限らず、誰に憚ることもなく、
いつ出かけようとも、何をするのも左兵衛の勝手
である。それだけに神保家中では、左兵衛を
事実上の神保家当主と捉える者も少なくはない。
 既に、先代弟の惟実一派との主導権争いでは、
左兵衛の機転で彼らを国外追放にしている。
 それ故に、家中での左兵衛による家督簒奪、
専横の疑念、危惧を払拭すべく、左兵衛は
事あるごとに惟定にひれ伏しては言上し、許可を得て、
惟定の名の下に裁定し、指示を出して、
時に風月院への挨拶も欠かさず、自ら当主惟定の
後見人であり、家臣の立場であることを強調した。
「わしが国盗りを謀るとの噂が無いとも限らぬ。
おまえも十分に気をつけよ。慢心禁物」
(・・・・父に逆心無し・・・・)
 今や下克上の世とも云われ、裏切りも珍しくない
油断のならない情勢で、神保家中は惟定を上に
戴いてまとまっている。
 宗善も左兵衛が忠義をもって神保家を支えている
ことに疑いはない。無論、宗善自身も乗っ取りの
野心など、やましさはない。
(時に負担もあるが、先が楽しみだし、
やり甲斐があるではないか)
 このまま惟定が成長し、主従一体で
神保家の拡大が続くことを望んでいる。

「本丸(惟定)様はどうしておられる」
「は、いつものように和尚から学んでおられます」
 和尚とは、神保家菩提寺、山隅寺(さんぐうじ)
住持の凡百禅師である。僧侶としての修行の他、
日本や支那の古典や軍学にも精通し、先代惟道も
若い頃に教えを受けただけでなく、まだ本拠が
北方の山城にあった先々代当時、神保方の軍勢を
指揮したこともあったという。
 その後、惟道が元服し、家督を継いで順調に
勢力拡大が進んだことで、我が事終えたりと
再び僧侶に専心したという。
(・・・・教育係は続けておるようだが・・・・)
 和尚から教えを受け受けるのが慣習、
伝統と言うべきか。
「時々は左兵衛様に誘われて、鷹狩にお出かけに
なられているようです」
「うん」
 薄暗い部屋での勉学よりも、晴れた空の下、
家臣達と野山を駆け巡る鷹狩は、多少の疲労感の
一方、身心共に爽快にしてくれる。
「勉学のみで過ごせば心身に歪みが生じるものだ。
水をやらねば枯れ、やり過ぎれば腐る。何事も塩梅だ」
 左兵衛は宗善に無知と言い放つ一方、鷹狩へ
出かける際にそう話していた。

 宗善はしばらくして勉学を終えた惟定の御前に
参上し、宗善が豊地城での軍議から帰り、
本城での本日の仕事内容を簡単に伝えると、
「して、本丸様、勉学の調子は如何に
ござりますか」
「ん〜・・・・孫子の兵法を学んでいた」
「ほう・・・・和尚は厳しいでしょうか」
「ん・・・・そうでもない」
 十歳ともなれば、元服にはまだ遠いが、
幼さもだいぶ取れて活発な年頃だろう。
惟定も相手に配慮したり、状況判断、
いわゆる“空気”を読んで答えることも出来る。
 子供なりの気遣いは宗善も思い当たる。
「鷹狩は如何にござりましょう」
 剣術や乗馬も手習いとなっているが、何に関心を
持つかは、その者の気質が左右する。
「鷹狩は面白い」
「それはまたどうして」
「野原を走れるし、広い空がいい」
「なるほど・・・・」
(父上の思惑通りか・・・・?)
 城を出ると開放感を得られる。
惟定も城暮らしは窮屈なのだろう。
 しかし誰であれ、それぞれが己が足場に立って
運命を切り開くしかない。
「豊地城城主、新里兵部より預かりました
菓子にございます。お召し上がりの後は、
必ず歯を磨かれますように」
と、膳に載せた菓子を献上した。
 やや顔をほころばせた惟定は、
「うん、内膳、大儀であった」
「は」
 惟定と宗善は主従関係だけに、毎日の格式ばった
挨拶は相変わらずだが、互いにすっかり顔馴染みの
相手であり、緊張を強いられるほどでもなく、
左兵衛が父親代わりとすれば、
宗善は年の離れた兄といったところか。
(さすがに父親にはなれぬ・・・・)

 宗善は執務室となっている三の丸屋敷の自室に
入ると、祐筆役の岡野小吉郎を呼んだ。
「お決まりになられましたか」
「うん、屋久は豊地に全面的に任せる。
須木江は須田と茅部だ。それ以外はわが本城だ」
 宗善の近習にして祐筆役筆頭の小吉郎は、
宗善の外交に伴って、書状の清書や口述筆記
などを任されていた。
 本来、実家の商いを継いでもいい才覚を
持っていると左兵衛も見て取ったが、
そこはやはり当世のしきたりから、長男を一に、
支えるにも次男という具合で、三男の小吉郎は
別の場での活躍を親から期待され、本人共々
左兵衛の要請を快諾した。
 宗善の近習として長らくの奉公に、今では
事務方として若者を仕切る立場になっている。
 山中正次郎も岡野小吉郎も、そして
奥江五郎太と脇坂為三にしても、おそらく
どこへ行っても活躍し、自活出来るだろう
利発な若者で、一貫して父親の腰巾着だった
宗善は引け目を感じていた。
 それだけに、今回の宗善の役割は、
ようやくの晴れの舞台であり、腕の見せ所である。
「近隣諸侯へ書状を送る。ちょっとした挨拶だが、
無論、誘いをかける」
「近隣とは、昭畑と二白は・・・・」
「北と西はまだ無用でいい。あくまでも東部戦線に
関わる連中だ」
「・・・・須木江と屋久以外・・・・?」
「うむ、奴らに与する連中だ。古竹が滅亡して
動揺しておるだろう。奴らを崩す」
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「そういえば、二樹、土居、芳崎と、
向こうは後ろに控える乙元や戸成にも与して、
坂東御所までも引き込んで反神保陣営の構築を
画策している様子です」
「・・・・拡大路線の我らが気に入らぬのであれば、
同じく乙元や戸成についても警戒すべきだろうにな」
「古竹を潰されたことで警戒感が強まったのでしょう」
「敵を潰すのは当然ではないか。
森柳乙羽もそうだし、逆恨みだな」
「向こうも敵故に断行対抗、というところでしょうか」
「断固対抗ならば断固潰してやるさ。だが、
一応は優しく声をかけてやる。それで妥協しないなら
潰されても自業自得だ」
「いざ戦の段となって、御所から仲裁があった場合は
如何致しましょうか」
「乙元も戸成も、周辺を潰して拡大した。
御所は手も足も出ず、ついには両家に挟まれて
今の体たらくだ。ま、話だけは聴いてやるよ」
「・・・・無視、ですか」
「御所が独自に動くわけはない。頼んだ向こうの
劣勢を白状したようなものだ。しばらく休戦もよいが、
それだけのことだ・・・・それにしても、戸成と乙元を
両天秤にかけて生きながらえているのは、工夫だよな」
 坂東御所こと足利実持は、足利将軍家直系の監視役
として、この地方に移って五代目となる。
 西にも同族の御所があったが、数年前に戸成に
滅ぼされている。
 御所の権威喪失で、家臣だった近隣諸豪の統制は
効かず、表向きは上司と部下の関係だが、今や
諸勢力に埋もれたも同然となっている。
(残るか消えるか、どちらもありそうだな・・・・)
 栄枯盛衰、足利幕府の時代は終わりだろうと思えた。

 しばらく小吉郎と東南攻略を話していると、
山中正次郎が慌てた調子で部屋に入って来て、
「内膳様、御父上が・・・・」
 帰城した左兵衛が入浴を終えて脱衣場へ出ると、
息苦しそうにその場に倒れ込んだという。
「なに、父上が」
 宗善と正次郎と小吉郎は慌てて風呂場へ駆けつけた。
 褌姿で横たわった左兵衛には、小姓や供の者が五人程
囲んで手当の最中だった。
「具合はどうか」
 宗善の問いに小姓が、
「は、先程入浴より御出になられて間もなく、
苦しそうに倒れられましたが、すぐに目を覚ましまして、
軽い湯あたりであったように思われます」
 宗善はしゃがみ込んで左兵衛の顔色を伺って、
「父上、大丈夫ですか」
と声をかけると、左兵衛は薄目を開けて、
「・・・・なんじゃい内膳、泡食った顔しおって。
死ぬときは死ぬ。あとは頼むぞ」
「驚かさないでくださいよ、どうなるかと
ヒヤヒヤしました」
「相変わらずの小物っぷりよ」
と、左兵衛の口元が笑った。
 その後、供の者に担がれた左兵衛は
寝室で横になった。
 正次郎から改めての報告で、鷹狩と直後の
入浴で、水分不足と心臓への負担から来る湯あたり
だろうとのことだった。
「左兵衛様は長らく戦場でも活躍された方ですから、
此度のことは予想外であったのでしょう」
「まったく人騒がせな爺だ。若い頃とは違うというに」
「そろそろ御高齢故、養生についてよくよく
心して頂けねばなりません」
「うん、俺からよく申し上げておく」
 宗善は中庭をながめて軽くため息をついた。
「・・・・そういえば、心なしか内膳様も御父上に
似てきたように思います」
「俺が?」
と、思わずあごに手を当てた。
「お顔立ちもそうですが、こう、常に先を先をとか、
その裏の裏は、と、念入りに詰めて行くところなど・・・・」
「そうかな・・・・親父のことは考えておらなんだわ」
「御父上に万が一何かあった場合、内膳様が
引き継ぐことになります。御覚悟願います」
「・・・・わかってるさ」

by huttonde | 2018-07-07 08:15 | 漫画ねた | Comments(0)
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