タイ洞窟救助、物資運んでいたダイバーが死亡
タイ北部の洞窟に少年12人とサッカー監督が閉じ込められている事件で、救助隊に参加していた元タイ海軍のダイバーが死亡した。地元チェンライ県の副知事が6日、明らかにした。
サマン・グナン氏(38)は少年らに救援物資を届けたあと、タムルアン洞窟内で意識不明となり、回復しなかった。
当局は「グナン氏の仕事は酸素を運ぶことだった。自分の帰り道に必要な酸素が足りなかった」と説明している。
グナン氏は海軍を引退していたが、救助活動を助けるために復帰していた。
チェンライ県のパッサコーン・ブ-ニャルック副知事は救助本部で記者らに対し、「救助活動に自主参加していた元海軍兵が、午前2時ごろに亡くなった」と発表した。
グナン氏はランニングやサイクリングに熱心だった。少年たちが洞窟で行方不明になったのを受け、2週間近く前に始まった大規模な捜索活動に参加していた。
少年たちの無事が確認された後も、1000人体制の救助活動が続いており、海軍の潜水士など軍関係者、市民ボランティアも参加している。
グナン氏の事故死によって、救助活動の危険性があらためて浮き彫りになった。
タイ海軍特殊部隊のアパコルン司令官は、救助隊は引き続き「信念」を持って任務遂行していくと述べた。
経験豊富なダイバーが脱出できないならば、どうやって潜水経験のない子供たちが無事に出られるのかと記者団に質問されると、司令官は子供たちの脱出はもっと慎重に行うと答えた。
洞窟には11歳から16歳の少年12人と、25歳のサッカー・コーチが閉じ込められている。
洞窟内の酸素濃度に懸念
当局者らは、少年たちがいる洞窟内の酸素濃度の低下を懸念している。チェンライ県のナロンサク・オソタナコーン知事は、洞窟網の中では多くの救助関係者たちが活動しているため、酸素を使い果たしてしまう懸念があると語った。
現在、少年たちのいる洞窟に空気を入れるための5キロにわたる管の設置が進められている。