「たとえば1文字修正しても(ビルド中に)待つ時間が発生する。ちょっと書いてテストしてといった作業を1日100回も200回もすることを考えると、12秒の差があったとして100回なら1200秒、20分に相当する」(竹内氏)。
1日たった20分の差でも、積み重ねは大きい。特に同社では、働き方改革の一環として、「残業しないこと」を徹底していることも背景にあるという。
「マックス8時間の中の20分は生産性向上につながる。エンジニア特有の感覚だが、ちょっと間違えて動かない、修正のビルド作業の度に10秒も20秒も待つとなるとイライラが募る。モチベーション的なところは感覚的なものもあるが、精神衛生上、速度が上がれば全体的なパフォーマンスは上がる」と説明する。
もっとも、ビズリーチは自社のプロダクトだけを手がけており、工期の見積もりや分量が大きく変わった場合、リリースを遅らせるという判断ができることもノー残業を貫ける理由の一つかもしれない。柔軟に対応しつつも、「1週間に1回、あるいは2週間に1回は、サービスをリリースし続けている」(竹内氏)という。
iMac Proについて竹内氏は、「現存している個人のパーソナルコンピューターという分類の中では、現在最高端末だと認識する。サーバ機や自作機は別。それらにはファンなどの騒音の問題もある。iMac Proは、現実的な運用コストも含めて、バランスのとれた最適解」と評価した。
そもそも、なぜMacなのか。「開発の作業環境として、ここ5~10年ぐらいMac。開発環境を作る際にWindowsでつくると、動作保証がとれないことがあり、非常に難易度が高い。特別な理由がない限りはWindowsで開発することはなくなってきている気がする」と語る。
ビズリーチは、2018年6月現在、従業員1238名(正社員1006名)。うちエンジニアは約300名で3割になる。なお、エンジニアやデザイナーらは100%Macだが、営業職らはほぼWindows。全体としては6割がWindows、4割がMacの割合だという。
136台だと全員には至っていないが、まずは希望者を中心とした自己申告制をとったもので、ミーティングが中心のマネジメント層以外には全員に順次支給していく方針だ。
竹内氏は、今回のiMac Proの導入にあたっては、本体+周辺機器、設定の人件費などを含めて一人当たり70万程度の投資をしており、仮に約300名が使えば、約2億円の投資になると説明する。この投資を決めた背景には、インターネット専門職がかなり採用しづらい状況にあることも一因だ。
リクルートが発表した「転職求人倍率」(6月13日発表)によれば、5月の転職求人倍率は1.78倍。インターネット専門職(ウェブエンジニア含む)は5.33倍だ。
竹内氏は、「感覚的だが、10年前、20年前の価値観と比べると、人1人の重要性が増していると思う」と話す。
「人自体がいなくなっているいま、(もっといい人材を)新しく採用すればいいよね、という計画は立てられない。今いる人材を有効活用するにはどうすればいいかという考えに至っている。入れ替え可能なリソースはなくなってきており、一人一人が重要な経営資源。彼らのパフォーマンスをあげるためにできることはやっていこうということ」と説明した。
市況も影響している。「雑感だが、エンジニア職でも年収800万のエキスパート人材に対する求人は、年間50~100万ぐらい年収が上がっている市況観。今回、一人当たり70万程度の投資をしているが、もう一段高いパフォーマンスが上がる人との年収差を考えると、人的な投資としては大きなものではないと思う。明らかにパフォーマンスが上がるので、社員も非正規社員も関係なくiMac Proを支給する」と語った。
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