外国人労働導入論の一翼
常夏島日記さんがこんなつぶやきを
https://twitter.com/potato_gnocchi/status/1014505510609903617
左派と名高い某新聞社の偉い人とご一緒したのだけど、曰く少子化対策の究極は介護等特定職域への外国人労働者の導入しかないでしょうと。外国人労働者と競合する日本人のクラスと、これを雇用する日本人の間で階級格差が拡大する懸念はと問うたら、日本人と外国人と賃金格差を設ければよいとのお返事。
シンガポールとかでは同じ仕事で外国人賃金を抑制するやり方が成立しているけど、日本の人権状況や一般国民の認識からして、そういう社会構築ができるものかすっごい疑問を持った。でも、その偉い人はわりかし簡単に言い切っていて、こういう人が外国人労働者導入論の一翼をなしているんだなと思った。
念を押すけど「左派」マスコミですからね、この認識。絶対にご本人も子弟も外国人労働者が導入される介護等の職域で労働者として競合する懸念は絶対ない高スペックの人は、そういうことを考えています、ってことでした。
あらかじめ言っておくと、私は必ずしも外国人労働者の導入に反対というわけではない。むしろ、人口減少社会で、どんなにいい労働条件を提示しても日本人は応募してこないというのなら、まっとうな雇用形態で、まっとうな水準の賃金を提示して求人を出して、それでも誰も応募してこないなら外国人雇用もありよという労働市場テスト方式は十分ありだと思っている。
その場合でも絶対に譲れないのは、少なくとも日本人を雇う場合よりは安く雇うことができないようにすることで、今回の骨太の方針のやつは、労働市場テストなしの業界主導スキームなんだが、それでも一応
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-eef4.html(骨太方針で外国人技能労働者受入れ決定)
また、入国・在留審査に当たり、他の就労目的の在留資格と同様、日本人との同等以上の報酬の確保等を確認する。
というのが入ってはいる。誰がどこでどういう風に確認するのかとかいろいろ疑問はあるけど、一応入っている。外国人であるということを理由に日本人より劣悪な労働条件にするなんてことはやってはいけないという常識はなんとかある。
その常識が欠落しているらしいのが、この「左派と名高い某新聞社の偉い人」なんだからあきれてしまう。
「日本人と外国人と賃金格差を設ければよい」というのがわが国の「左派」マスコミ人の常識なのだとしたら、それは結構おぞましいですよ。
| 固定リンク
|
コメント
このような「左派」マスコミ人(どういう「左派」か分からないが)の政治志向と、「日本人と外国人と賃金格差を設ければよい」という発想がどのように内的整合性がとれているのか、興味深いところですね。
欧米での外国人労働者受け入れの弊害や失敗が明らかとなり、シンガポールでさえ外国人労働者の抑制に向かいつつある昨今の状況で、なぜ今になってにわかに日本で外国人労働者受け入れ政策が具体化したのか、その背景にある思想的布置連関や政治力学が気になるところです。
そもそも人手不足という環境であればこそ、介護ロボットの開発など新たな技術開発を促進して経済成長につなげることができるのに、なぜわざわざその芽をつむような周回遅れの政策が導入されるのか。日本の政策決定の不合理性は摩訶不思議というほかありませんね。
投稿: 通りすがり2号 | 2018年7月 6日 (金) 19時13分