The Knick/ザ・ニック(2015年)
スティーヴン・ソダーバーグ監督のテレビドラマ
まず、「なんだそうだったのか~~!」って思ったのがタイトル。
ザ・ニックっていうからてっきり、主人公の名前からきてるのかと思ったら、「ニッカーボッカー病院」の愛称だった~。
ワレワレが、デパートの高島屋を「タカシ」と呼んでる感覚ですよね?ちなみに三越は「ミツ子」よね?
ともかくそのザ・ニックを舞台としてお話が始まるんだけど、いわゆる医療ドラマという枠組みでは収まりきらないほどのあれやこれやを、豪快に盛りつけて、「さあ食え。」とばかりに出されます。
主役クラスのキャラクターの生々しい葛藤はあられもなく描きだされてるし、あの時代の有名人の名前とか、すばらしく俳優さんにサイズがフィットした衣装とか、馬が引く救急馬車とか、いろんな角度から見逃し厳禁ポインツが押し寄せてくるので、「なんじゃこりゃ~~~っっ!」とジタバタしてしまうやつでした。
ちなみに、日本では、「医は仁術」みたいな患者に感情移入するドラマが多いけど、このドラマの医師はあくまでもエラーの出た人体の修復における専門家で、修復の成功率を上げたいチャレンジャー、みたいな感じです。
発展途上の医療現場を描いているゆえ、患者が助かると限らない、手術のシーンはドキドキでした。
そしてザ・ニックの世界には、聖人君子は一人もいなーい。
例えばこのドラマの核を成すサッカリー医師は、仕事にのめりこむ余り、薬物の力を借りたりします。
そこに至る経路からして超ヤバイ!!
まぁ、2シーズンで打ち切りになってる模様だし、広がりすぎた風呂敷の中身が、消化不良のまま放り出されるみたいなとこは確かにあります。
天罰が下らないまま野放しになってるアイツやアイツのことを思うと、歯軋りが発症したかもしれない。
でも見てる最中は、もうめ~~~~っちゃエキサイトするのよこれが!!
オチがつかないことが起こるのも、ある意味リアルといえばそう。
それより何より、その時代の文化や意識がどういうものだったか、という情報に圧倒されます。
そんなこんなで不肖わたくし、え?こんなドラマだったの?ってよろけながらも、気づいたときにはもう最後まで爆走し、今唖然としている状況です。
そういうことでございますので、胸かきむしりつつキーボードを叩いております。
そうそう、主役のクライヴ・オーゥエンに寄せる気持ちね。
視聴前「あー・・・。」だったのが、「仕事中はいろっぽいかも・・・。」、とか、「えーーおじさんじゃん・・(汗)。」とか、「足!!!」とか、「凄い俳優さんやな・・。」などと怒涛のめまぐるしさで変化しました。
ちなみに女優さんは美女ぞろい!しかもけっこう豪気に脱ぐんですよね。
こっちとしては別に色恋沙汰やベッドシーンなどいらんのですが、そこはドラマのお約束じみたものがあるのかも。
ただ、ろくでなしばっかりのキャラクターの中で、一服の清涼剤と化するコンビがいたのに救われたことは、ヒトコト書き残しておきます!
■続き
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自分メモ
20世紀前半。
前置胎盤の処置ひとつ確立する以前のことです。
試行錯誤の手術により、多くの妊婦の命がその場で消えていきました。
しかし医師たちは挫折や絶望に苦しみながら、取り組みを一歩一歩と進めるのです。
現代の医療は、まぎれもなくその礎の上に成り立っているんだなぁと思うと、感慨もひとしおでございます。
お洋服が可愛かったりすると、パパっとメモれるように、100均でスケッチブックふうの小さいメモ帳買ったwww
紙かなりペラペラなんだけど、150枚もあるので活用する!!
ともあれ、以下は各話についての自分健忘録です。
いつものように、後半に行くにつれテキトーになります。
1)方式と狂気
とにかく、この一話目の情報量の多さにビックリします。
冒頭、チャイナタウンの娼館からご出勤のサッカリー医師。
いろいろ問題を抱えてる雰囲気を思い切り匂わせつつ、前置胎盤の手術シーンに流れていくんだけど、20世紀のごく前半という時代性が一目で刷り込まれる感じです。
この時期の手術って、手探りの実験みたいなもので、患者にとっても生きるか死ぬかの博打だってことはもちろんのこと、施術する側にしてもマスクや手術用のグローブみたいな装備もなく、患者の血液を浴びまくる、かなりヤクザな状況です。
しかも手術室、仕切りすらない状態でぐるりと見物人に囲まれている!!
そんな状況での手術、もー何が起こっても不思議じゃないので、ガンガン血は吹き出すわ、医師の腕はかなりの頻度で血まみれだわ、相当えらいこっちゃです。
メスで腹かっさばくシーンとか、きっちりクリアに描写されますが、グロさはそのうち慣れてきます。(切り口に脂肪とか見えないし)
ただ、ハラハラ感は尻上がり!
そして、サッカリー医師を取り巻く周囲のキャラクターの濃さ!!
バターにラードを加えて黒い油絵の具を投入して練り上げたの?ってぐらい濃いのです。
当然ヘルシーさはみじんもなし。
ちなみに一話目で、いちばんおそろしかったシーンは、目を血走らせたボロボロのおじさんのむっさい足を美人ナースが素手で持ち、足指の間に注射を?っていうシーンです。
お前、お前、水虫とか持っていないだろうな!!(←ええ、そっちです)
まぁ、結局足指の間はムリってことになって、新人ナースがさらに悲惨な状況に陥るので、見てるこっちも血の気が引いて、顔色紫になったかも!
2)ミスター・パリ帰り
ミスター・パリ帰りというのは外科の副部長として赴任したアルジャーノン・エドワーズのこと。
優秀なる経歴かつ、病院経営者の絶大なプッシュがあってさえ、ただ黒人であるばかりに差別を受けて、なかなか患者や同僚らに受け入れてもらえません。
やりきれないシーンも多いんだけど、結構メンタルたくましく、アッパレでカッポレな行動を起こす人なので注目です。
一方世間では、上流階級にまさかのチフスが広がってて、なんかヤバイ雲行きです。
3)忙しいノミ
忙しいノミってなんじゃそら、と思ったら、ホントになんじゃそら、な内容でしたww
ノミ遊びに目を細めるバーロウ氏は、話のキモにからみそうだし、なんつーか、悪い意味で愉快なおじさんでございます。
一方、重いエピソードとしては、梅毒患者の厳しい症状でございましょうか。
女性患者が見た目の修復のために、とてもつらい手術にでも耐えてしまう、ってくだりがあってひえええってなる!!
いやマジこれムリムリ!!痛い痛い痛い痛い!!
しかも患者はサッカリー医師のモトカノ!!
いやもしアタイならモトカレの病院なんぞ行きたくないが、よっぽどサッカリーを医師として信頼しているのでございましょうか・・・。
ちなみに、アルジャーノンの秘密の病室が面白いコトになっていきます。
布でも皮膚でも似たようなモンとはいえ、洗濯婦のお裁縫スキルの高さにブットビ!
4)品格はどうした
エドワーズとガリンジャーの対立が激化します。ロコツに火花がパチパチだ。
アテにしていた地位を黒人に横取りされて、ガリンジャーのプライドはきっとズタズタなんでしょう。
つーか、いくらムカついたからって、手術室で殴るか?
ガリンジャーは人種差別意識も強いし、エリート意識も濃いし、かなり気性が激しいキャラみたいです。
そして、大変なことをしでかしますし・・・。
やはりみんな、トイレを使ったら絶対に手を洗うべきだし、おうちに帰ったら、まっさきにせっけんで手を洗わなきゃだよ・・・・。
悪いことは言いません、家族の団欒はそれからだ・・・。
5)熱を捉えるもの
ザ・ニックがついにX線を導入!
医療の進化がまた一歩!
病院外では、シスターハリエットが犬猿の仲だったトム・クリアリーと手を組みます。
クリアリーは第一印象熊だったんですが、グリズリーからどんどんテディベアへと変化しつつある気がしますよね。
第五話の展開は、ガリンジャーの悲劇、因縁の前置胎盤手術・・・とめまぐるしいです。
あっ、サッカリーがなんと自転車に乗れるようになる!!
いつもの苦虫・・・(カメムシあたり?)を噛み潰してる表情が嘘みたいだ、めちゃうれしそう!可愛い!
6)パパと呼んでくれ
コーネリアたちが腸チフス蔓延の自体を招いた人物をついにつきとめたり、因縁の前置胎盤の手術ついに成功!!の感動とか、ガリンジャーの悲劇の続きに涙しつつも・・・・、
ぶっちゃけメインイベントは、この題名の「パパと呼んでくれ」の真相ですよね!
コーネリアの結婚相手の父親が、プライベートルームにはいってきてのたまう言葉が、他のすべてのエピソードをなぎ倒し、ぜ~んぶさらっていくんです!
や、や、やめろ~!!寄るな触るな!キモい、キモすぎる!
アタイがコーネリアだったら婚約破棄してマジ逃げするよね。
7)縄を取れ
白人が、黒人に対する暴動を起こします。
が、それがおさまると今度はなぜかあっちでもこっちでも急にロマンスが芽生えます。
やぱし、これが吊り橋効果ってやつなんだろうか・・・。
それとも視聴者サービスってやつだろうか・・・。
ただ、確かに後々の展開に絡んでくるので、無駄エピソードになってないことだしまぁいいか。
個人的に、コーネリアとアルジャーノンは脱がないで欲しかったけど・・。
8)夜遅くまでよく働く
風が吹けば桶屋が儲かる、と申しますが、フィリピン戦争でゲリラが貨物船を襲ったので、サッカリー医師が大ピンチです。
ぶっちゃけ、コカインが手に入らない!
麻酔薬のひとつとして病人のために必須なのはもとより、ヤク中の医師にとって、死活問題なのは言うまでもありません。
ピンチといえば、ガリンジャー嫁が病んでいます。
だからシスターハリエット、ガリンジャーに赤ん坊を渡しちゃだめだとあれほど!!!!
もうひとつ、ゆゆしいことに、腸チフスの保菌者で、菌をばらまいていたあの女が隔離施設から出てくることに。
9)金の蓮
サッカリー医師の禁断症状が相当ヤバイことになってます。
ついに薬局に盗みにはいって捕まったりして、何やってんの・・・。
いざ依存症に陥ると依存物を得るためなら、人間どんなことでもするようになる、ということですよね・・・怖いです・・・。
しかも周囲を巻き込むからね・・・。
「金の蓮」というタイトルはルーシーが、サッカリー医師のために体を張る、という意味なのでしょうなぁ。ルーシーやばいわ・・・。
どうでもいいけどこのドラマ、ルーシーといいガリンジャー嫁のエレノアといい、湿度が上がる一方なので、アタイは頭が重たいです・・・。
10)クラッチフィールド
のっけからコーネリアとシスターの秘密がお互いにとって思いがけない形であらわになってしまいました・・・。
サッカリー医師の試行錯誤や、エレノアの強烈な治療法など、衝撃描写が続くのでゲッソリするけど、そんなの序の口だったよね。
対抗意識にとり付かれて見当違いの方向につっぱしるサッカリー医師はマジ狂気。
裏社会に両足つっこんだバーロウさんも気になるというか、これどう考えても詰んだとしか思えないwww
サッカリー医師はついにクラッチフィールドという名で病院にブチ込まれ、とうとうヤクを断てるかと思いきや!!!
ちなみに、ここでコーネリアの弟ヘンリー登場。
ここで悲報なのですが、アタイ、ガリンジャー医師とヘンリーの見分けがつきません。
シーズン2へ
最終話、なんかスッキリ区切りがつかないなぁと思ったら、どうやら2シーズンで一区切り、みたいな構成らしいです。本来はもっと長く続くはずだったのかなぁ。
何にせよ、10話見たら一段落しようと思ってたのに、まだ折り返し地点だったんだ・・・と虚脱しました。
ともあれ、シーズン2の感想に続きます。続きたい・・・。
た、たぶん・・・なるべく・・・。
「ザ・ニック」データ
- The Knick(2015年)アメリカ
- HBOドラマ
監督
- スティーブン・ソダーバーグ
出演
- クライブ・オーウェン(ジョン・サッカリー)
- アンドレ・ホランド(アルジャーノン・エドワーズ)
- ジュリエット・ライナンス(コーネリア・ロバートソン)
- エリック・ジョンソン(エバレット・ガリンジャー)
- マイケル・アンガラノ((バーティー)バートラム・チッカリングJr)
- イブ・ヒューソン(ルーシー・エルキンス)
- カラ・シーモア(シスター・ハリエット)
- ジェレミー・ボブ(ハーマン・バーロウ)
- クリス・サリバン(トム・クリアリー)
- グレインジャー・ハインズ(父ロバートソン)
- ルーカス・パパエリアス(エルドン・パウンシー)
- チャールズ・エイトキン(ヘンリー・ロバートソン)