突然ですが、「勤めている会社が倒産しないか」と不安になった事はありませんか?
2016年度の全国で倒産した企業は8,446件。2017年度では、8405件と東京商工リサーチが発表しています。倒産件数は、9年連続して前年を下回る結果となっていますが、現実に倒産する会社は年間8,000件以上あります。
そこで、倒産する会社に「共通する特徴」があることを帝国データバンクの調べにて判明しました。
いま現在、勤めている会社の未来に不安を抱え、転職を考えている人も多いかと思います。そこで、本当に現在勤めている会社が、倒産する可能性があるか知る方法論を著作情報を元に書いていきます。
【元ネタ本】
御社の寿命 - あなたの将来は「目利き力」で決まる! (中公新書ラクレ)
- 作者: 帝国データバンク情報部,中村 宏之
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/06/10
- メディア: 新書
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【も く じ】
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帝国データバンクとは?
帝国データバンクという面白い会社があるのをご存知でしたか?
帝国データバンクとは「企業の信用調査」を行っている会社で、全国に調査員は約1700名います。データ数も膨大で約150万社のデータ保有をしており、BtoBなど「掛売り」を支払えるだけの信用があるか情報提供している企業です。
この約1700人の調査員は依頼があった企業に直接訪問、社長や幹部に面会するほか、社内の様子、決算書の分析、業績のヒアリング、会社登記や不動産登記情報などをまとめています。
帝国データバンクは「倒産情報」というイメージが持たれるほどに、倒産の危機にある会社の関連情報を専門に扱っています。
ーーあぶない業界
現在、倒産が相次いでいる業界があります。その業界とは「パチンコ業界」です。
2017年度では、倒産件数が12件→29件と倍以上となっています。その背景に、人手不足が深刻化していることが原因のひとつです。
ちなみに、2017年で「人手不足が原因」で倒産した会社は317件もあります。そして、現在従業員数が5人未満の会社が日本全体で74.1%も占めており、過去20年で最高推移となっています。
つまり離職率が高い会社は、今後倒産する可能性も高くなります。
ブラック企業などのネガティブ情報は、拡散しやすいこともコミュニュケーション学(認知・機能学習)で著名なカナダのデブ・ロイ氏が指摘しています。ワークライフバランスが浸透してきた日本で、ESを無視した経営は今後厳しくなると予測できます。 ※ES(Employee Satisfaction・従業員満足度)
ちなみに、パチンコ業界に続いてスーパーと飲食業界が倒産が多いです。
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倒産会社の社長は息子が多い
倒産会社に多い分かりやすい特徴はなにか?
それは、やはり経営者にあります。
先ほども少し触れましたが帝国データバンクは、全国に散らばる約1700人の調査員が、調査依頼のあった企業を直接訪問し、社長や幹部に面会するほか、社内の様子、人や荷物の出入りなども含めて細くチェックしています。
そこで、このような社長が実際に存在したと著者は語る。
【本書抜粋】
信じられないかもしれませんが、決算書すら読めない社長が少なからずいるのです。
400年の歴史があった大阪市内の高級食器販売会社の社長は在庫の数がわからず、決算書も読めず、取引銀行が相談してみ「お宅は創業何年なのか。うちは400年だ」というばかりで聞く耳をもたなかった。
それで銀行側がさじを投げたという話もありました。(P78)
もちろん絶対ではないですが、多くの2代目や3代目の息子社長が会社を潰す傾向にあります。直近の状況について、数字の説明をしっかりできないのに将来の話ばかりして「身の丈経営」ができないと著者は語る。
すぐに、「新規事業」や「M&A」を口にする社長は注意が必要です。
ーー管理職がやめる会社は危ない
管理職が辞めるのも倒産予兆のひとつです。
特に注目してほしいのは、部長クラスで「営業部長」「経理部長」が辞職するのは危ないです。経理部長が銀行からきている会社で、後任者が来ないとなると危機度は非常に高いです。
あと、やたら肩書きが多いのも「危険な経営者」が経営している可能性が高いです。
過去の成功を捨てることができなく、プライドが高い「地域の名士」の息子が、会社を潰す傾向も無視できません。
堅実で真面目な社長ほど会社を潰す
20人に1人は自営業者か経営者という事実を知っていましたか?
社長という肩書きを聞くと「凄い人だ」と思ってしまいますが、20人に1人は経営者です。
ちなみに、中小企業白書によりますと日本企業の99.7%が中小企業です。
この中小企業の約30万社〜40万社が借金の返済がうまくできていません。
銀行に返済条件を暖和してもらうことを「リスケジュール」と言いますが、リスケをしてなんとか経営を継続させています。「俺は経営者だ!」と横柄な態度や、従業員に対して威圧的な経営者も存在します。
ですが、20分の1で経営者は存在するので、肩書きだけで優れた人だと判断することには注意が必要です。このようなトリックは詐欺行為にもよく利用されます。
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ーーなぜ真面目な社長が潰すのか?
その理由は「リストラ」ができないことにあります。
人員削減ができなく、結果的に赤字解消ができないで「資金ショート」を起こしてしまいます。このことについて、本書ではこのように書かれています。
【本書抜粋】
「まじめに」で「堅実な」社長はどうしてもリストラに躊躇するのです。
人情に弱く、人員削減の決断ができないのです。結果的に赤字が解消できずに、ついには銀行からも見放されてしまう。
こういった中小企業の社長は少なくありません。(P79)
これで「経営」の難しさを分かってもらえたと思います。
人手不足で倒産する会社が増えているのに、リストラが出来ずに倒産してしまう会社もある。このバランスを保っている会社しか残ることが出来ません。
倒産する会社の5つの特徴
帝国データバンクの調査で分かった、倒産した会社の特徴はなにか?
倒産が噂されて、調査員が会いにいった後、実際に倒産した会社の社長の特徴を整理したら共通点がありました。
それは、5つの「弱い」と「ない」です。
ー会社を潰す社長の5つの「弱い」と「ない」
【5つの「弱い」】
1.数字に弱い
「数字」に弱い社長は、倒産企業にもっとも多く現れる特徴です。国税局によると、中小企業の約70%は赤字と公表されていますが、赤字の理由がわからない経営者が多いと著者は語る。
2.パソコンに弱い
現在のIT社会では、パソコンに弱いのは致命的です。パソコンで何ができるのかを知らないと顧客や市場の変化に乗り遅れる可能性が大きくなります。
3.朝に弱い
朝一番に調査に訪れても社長がいない。従業員にいつくるか尋ねても「わかりません、来ても昼からです」となります。
4.決断力が弱い
やめる決断ができない社長のことを指します。設備投資を決断することはどんな社長でもできますが、重要なのはやめることです。ダメだと分かった時点で、撤退する決断ができない社長は会社を潰します。
5.人情に弱い
人情は先ほど述べた通りです。人件費は想像以上に経営を圧迫します。
【5つの「ない」】
1.計画性がない
いつまでに、どれだけ、どうやって、の3つの計画を立てられない。それを、きちん社員にきちんと説明できない。いわゆる「どんぶり勘定」経営です。
2.情報がない
社内の悪い情報が伝わらず、足元を救われるケースです。幹部社員の引き抜き、不正取引が原因の倒産は後を絶ちませんが、ほとんどの場合、社長が「知らなかった」ケースが多いと著者は語る。
3.リーダーシップがない
人材育成に難がある社長です。指導力がなく、部下の話をきちんと聞ける社長は少ないです。結果的に、離職率を高めて人材不足で倒産します。
4.危機感がない
そもそも、会社が潰れるなんて想像していません。緊張感がない幹部や社長は赤字を放置します。成功した社長は絶えず緊張感を持っていると著者は語ります。
5.人脈がない
同業種ばかりの繋がりで、異業種とは繋がりがない経営者は危険です。イザという時に頼れて相談できる関係は必要だと言います。
上記特徴を読んで、思い当たる人もいたかと思います。
勤めている会社の前兆をしっかりと見極めることは重要です。なかには、住宅ローンを抱えている方も多いと思います。会社の倒産きっかけで、自分も自己破産ではあまりにも悲劇です。
前兆や不安を感じたら、現職を続けながら転職活動をしていきましょう。その際に、いい会社を見極める方法も著作を元に記事にしています。よかったら参考にしてみてください。
【過去記事】
まとめ
御社の寿命 - あなたの将来は「目利き力」で決まる! (中公新書ラクレ)
- 作者: 帝国データバンク情報部,中村 宏之
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/06/10
- メディア: 新書
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・息子社長の倒産率は高い。
・会社が倒産する予兆は、管理職の離職。
・真面目な社長は倒産させる可能性が高い。
・倒産した会社の特徴の「5つのない」と「5つの弱い」がある。
いかがだったでしょうか?
ご興味を持たれた方は、本書を1度お手に取ってみてください。