夜明け前の心臓(仮)

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

会いに行きますから

はる君が退院したら、オンラインで関わってくれた方々に、オフラインで会いに行こうと思っていた。
退院後の外来も問題なく*1、外出の許可が出た。
それで、色んな人に会いに行った。
ここ一カ月半強の間に5回。当日キャンセルもあったので、ほぼ毎週、誰かに会いに行く計画を立てていた。

それぞれの出会いでは、とても素晴らしい時間を過ごした。本当にうれしかった。ありがとうございます。
はる君は顔出ししているので、病児の親御さんとはかなり会ってる(病院とか)。
個別のエピソードについては、先方にブログに書くことを明確に許可をもらったものだけ、みんなが忘れたころに書くことにする。



いままでは、割と自分の書いたブログを見直すのが好きだったが、2017年12月のフォンタンテイクダウン手術後の日記は読めなくなってしまった。辛いから。
状態が悪化しても極力平静を保つようにふるまって、家族の前でも笑顔で過ごした日々はやっぱり苦しかった。
これまでの経験を静かに語ることは簡単なのに、脳がバグって脈絡のないことで突然涙が出てしまったりする。
(大乱闘スマッシュブラザーズという任天堂の人気ゲームの新作が出る、という発表で泣くなど。意味不明)

休養が必要だった。
わたしが倒れたら、もう後はない。ブログは無理に書こうとせずに、書きたくなるまで放っておくことにした。

ひとりじゃないって確かめたいの

育児はたやすく孤独になりがちだけど、子どもに障害があると孤立の危険性は一層あがる。
幸い、はる君は酸素吸入と経管栄養のみで外出も許可されているけど、外出許可がおりなかったり、感染を恐れて家にこもるケースも多い。

無敵の人*2というネットスラングがある。

簡単に言ってしまえば、『失うものが何も無い人間』のこと。失うものが何もないので社会的な信用が失墜する事も恐れないし財産も職も失わない、犯罪を起こし一般人を巻き込むことに何の躊躇もしない人々を指す。

引用元:無敵の人とは (ムテキノヒトとは) ニコニコ大百科 スマートフォン版!

社会から孤立している状態の人は少なくないはずだ。無敵の人は孤立しているから、社会からは見えない。社会から見えないという点は、障害児も同じ


いま子育て中の親御さんなら「親なら親らしく子どもをきちんと躾けろ」という圧力を感じたことがあるに違いない。
子どもに障害があった場合は、体調の急変などにも備える必要があり、普通の日常生活を送るだけでも親の負担は大きい。*3


愛され障害者

酸素のチューブをつけ、手足の細さが目立つはる君に対して、リアルで敵意をぶつけてくる人はまずいない。
せいぜいジロジロ見つめてきたり、クソトメ的子育てクソバイスを垂れる程度だ。

でも、ブログをはじめてから「障害児ばかり産む、社会にとって不要な存在」「税金泥棒、乞食」というメッセージを幾度となく受け取った。
(コメントや質問箱など、公開の場で言ってきた場合は逐一反論しているが、クローズドにも来る)

ここまであからさまに敵意をぶつけてくる人は例外なく匿名だった。リアルではできない発言だとわかっているんだよね。

現実にはまだ会ったことはないけど、「障害者は社会にとって不要」という考えが正しいと思っている人がいるのは知っている。
社会全体の幸福度を高めるには、障害者を排除したほうがいい、と信じている人をネットでは見かける。


はる君にはしっかりとした自己肯定感を持った大人になってほしい。
そう願う一方、「健気でがんばりやの愛され障害者」にならなきゃ生きていけないかもしれない……。
感動ポルノの物語がないと、見向きもされないんじゃないか……。
そう考えずにはいられず、悶々とする。


ほんとうは、障害があってもなくても、誰にも指をさされずに暮らしていけたらいいね。
残念だけど、まだそこまで社会は成熟していない。

幸い、はる君が大人になるまでは少し時間の猶予がある。
わたしは絶望しない。絶望なんか、してやるものか。


☆  ☆  ☆

はる君の回復をずっと祈ってくれた方、深夜眠れなくてつぶやいた言葉に寄り添ってくれた方、贈り物を送ってくれた方に直接会いたい。
今後、はる君の病状が悪化したら外出もままならなくなるかもしれない。
そうなる前に、会いに行きます(あ、今のところ順調ですよ。念のため)。

なんだかとんでもなく暗い文章を書いてしまいましたが、わたしは根暗コミュ症だけどぱっと見明るいし元気はつらつですのでご心配なく!

*1:ただし、子どもがたくさん集まる場所は避けるように言われた

*2:この言葉はあまり好みじゃないから使いたくないけど

*3:たとえばわが家の場合、酸素吸入をしているから火気厳禁、鼻から胃に通した管が万が一気管に入ると誤嚥性肺炎などで生命の危機に晒される、など