弁当やってみなはれ サントリー、自販機で注文OK

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2018/7/5 16:47
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 サントリー食品インターナショナルは5日、清涼飲料の購入とともに弁当も注文できる自動販売機の展開を7月から始めたと発表した。オフィス向け。飲料を買う方法と同じでお金を投入して専用ボタンを押すと、近くの飲食店が作る弁当を届ける。近くの店が混んだり仕事に追われたりして昼食を食べそびれる“ランチ難民”を救う狙い。自販機の利用を促して飲料販売につなげる。

 サントリービバレッジソリューションはぐるなびと組み、弁当を注文できる自販機を展開する(写真はサントリービバレッジソリューションの土田社長(左)とぐるなびの久保社長)

 サービス名は「宅弁(たくべん)」。自販機事業を手掛ける子会社サントリービバレッジソリューションが、飲食店予約サイトを運営するぐるなびと組み始めた。

 仕組みはこうだ。利用者は自販機に付いているメニューチラシを見て、その日の献立を確認する。午前8~10時に自販機にお金を入れ、宅弁専用のボタンを押す。自販機の無線通信を通じて飲食店にファクスなどで発注する。受注した飲食店は正午までに職場の決められた場所に弁当を届け、利用者がそれを受け取る流れ。弁当は1種類だが日替わりだ。当初は弁当の価格は1個700円となる。

 弁当を買うと、釣り銭口からコイン型の「購買証明」を得られる。コインは注文ができたかを確かめるのに使う。飲料を買う際にお金と一緒に入れると10円の割り引きを受けられる。飲料のついで買いを促す仕組みだ。

 自販機の売り上げを上げたいサントリーと、飲食店ビジネスを活気づけたいぐるなびの思惑が一致した。自販機と飲食店の売り上げにもつなげると期待する。飲食店から弁当販売に応じて手数料を受け取り、投資を回収するという。現在、導入を決めたのは12社、17台。都心を中心に導入を進め、2020年までに1千台設置をめざす。

 都心のオフィスでは近くの飲食店が混雑するなどで、昼食を食べられない“ランチ難民”が発生していることが問題となっている。ぐるなびの調査によると、職場で昼食をとる環境に不満を感じる人は43%にのぼっているという。

 同日、記者会見したサントリービバレッジソリューションの土田雅人社長は「自販機の強みは働く人に一番近い購買接点」と強調。自販機を介して気軽に昼食を食べられるサービスを通じて、「働く人の食を豊かにし快適な職場づくりを支援する」とも語り、ぐるなびの久保征一郎社長とともに意気込みを示した。

 こうしたビジネスを手掛ける背景には、自販機を取り巻くビジネス環境の厳しさもある。調査会社の飲料総研(東京・新宿)によると、17年の自販機の設置台数は237万台と、5年前に比べて4%減った。自販機1台当たりの清涼飲料の販売量は223ケースと、6%減ってきている。

 店舗数が拡大するコンビニエンスストアの利便性に押され、価格面では安価で商品を販売するスーパーなどに対抗できていない。自販機での販売の好不調に最も影響するのは好立地の確保とされる。各社は好立地の確保のため、自販機に独自機能を加えて付加価値を高める取り組みを進めてきていると言える。

 サントリーの自販機は17年末に44万台で減少傾向にあるが、オフィスなど法人営業を強化するなか自販機1台当たりの清涼飲料の販売量は微増を確保してきている。今回の試みもオフィスの需要を狙う一環だ。(新沼大)

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