今日は、待ちに待ったアインズ様当番の日!前日はお言いつけ通りにしっかりと休養を取って力を蓄えたので、どんなに忙しくなっても平気だ。
アインズ様が人間になって初めてのアインズ様当番と言う事もあり、ちょっと緊張する。お昼少し過ぎにアインズ様が御自ら呪いによって人間になった旨を私たちに知らせて下さったのだけれど、そのお言葉を聞いた瞬間、ナザリックの者は皆悲しみの声を上げていた。そして、それと同時に、何があっても自分たちがアインズ様をお守りするのだ、と強く決意した。だって、あの強大なアインズ様がレベル1の、しかも脆弱な肉体の人間になってしまうなんて。何かあったら、私たちはまた偉大な指導者を失ってしまうのだ。そんな、想像もしたくない最悪の事態に、その場の全員が体を震わせる。……勿論、私もその中の一人だ。
そんなことがあった直後だから、ほんの少しだけ不安もあるけれど、今のアインズ様は私たち一般メイドよりも弱くなってしまっているのだ。何かあったら、警護の者が到着するまで私たちがこの身を挺してお守りしなければならない。……そう思って、お側に仕えたのだけれど……。
(あああああああっ!アインズ様なんて可愛らしい……!!こんな事を考えるのは、不敬だと思ってる、だけど、だけどっ……!!)
良く変わる表情に、幸せそうに紅茶を召し上がる姿。これを眼福と言わずして、何を眼福と言うのでしょう……!あぁ、本当に今日、アインズ様当番で良かった……!!
と、そう感動していたら。いきなり、アインズ様がその美しい黒曜石の瞳から、ぽろり、と透き通った穢れ無き涙を零された。私の給仕に何か不備があったのか、と不安になったけれど、そうではないとアインズ様は仰った。もし私の不手際なら、即座に自害しなければ……と思っていたのだけど、お優しいアインズ様はそれを否定なさる。
私にはアインズ様の涙の理由はわからなかったけれど、それでも、その後に美味しそうにマカロンを頬張るアインズ様とか、夕食を堪能されるアインズ様とか、初めて見る素敵なアインズ様をたくさん見ることが出来て。初めて、多幸感で死ぬ、という事の意味を実感した。
(……幸せ過ぎると、心臓の鼓動がこんなにも速まるのね……。息も、一瞬出来なくなったわ。胸が詰まる、ってこういうことなのかしら……)
今思い出しても、幸せ過ぎてどうにかなりそう!後でシクススやフォアイルにもアインズ様の新たな魅力を教えてあげないと!!
そう思いながら、私はアインズ様が寝室にお下がりになるのを満ち足りた気分で見送っていた。