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将来的には2割減もありうる!「年金カット」に今から備えよ

生涯現役は「前提」になる

公的年金は、ほとんどの人にとって老後の生活を支える基本的な収入源である。人生のマネープランの中で、重要な位置を占めているはずだが、人々の関心は意外と薄い。

「公的年金はいずれ破綻する」「日本の年金は大丈夫!」など、制度全体に対する情緒的な議論は活発だが、本当のところ、公的年金の財政状況について正確に理解している人は少ないのではないだろうか。マネーシフト12回目は、公的年金制度について取り上げてみたい。

(この記事は、連載「寿命100年時代のマネーシフト」の第12回です。前回までの連載はこちらから)

年金制度が破綻しないとしても…

日本の公的年金は、自分が現役時代に積み立てたお金を老後に受け取れる制度だと思っている人がいるが、それは違う。

日本の年金制度は賦課方式といって、現役世代が支払った保険料で高齢者世代を扶養するという考え方がベースになっている(年金制度の構築当初は違ったが、場当たり的な制度改正を繰り返した結果として賦課方式になってしまったとの指摘もある)。

子供が親の面倒を見るという家族制度を社会全体に拡大したものであり、給付される年金の原資は、基本的に現役世代が支払った保険料である。このため、社会の高齢化が進み、現役世代の割合が減ってくると制度の維持が難しくなるという特徴がある。

 

年金をいくらもらえるかは、自分たちが払ってきた金額ではなく、現役世代がどのくらい保険料を納付できるのかにかかっている。もちろん、給付額の算定に際しては、現役時代にいくら保険料を納めたのかについて考慮されるが、制度の仕組みそのものとしては、現役世代の支払い能力に依存しているという点を忘れてはならない。

この仕組みが分かれば、公的年金の破綻に関する議論がナンセンスであることが理解できるはずだ。

一部の識者は「日本の公的年金制度は絶対に破綻しない」と言い切っている。一方で別の識者は「日本の年金は危ない!」と危機感を煽っている。

未来のことについて「絶対」と言い切るのは、知的議論としてかなり乱暴だと思うが、それはともかくとして「制度が破綻しない」という指摘は大筋合っている。なぜなら、現役世代から徴収する分だけしか高齢者に支払わないというのが日本の年金制度である以上、仕組み上、破綻しようがないからである(究極的には給付をやめてしまえばよい)。

だが「日本の年金は危ない」という指摘もあながち間違っていない。制度が破綻しないことと、現役世代から徴収した金額だけで、高齢者がまともな生活ができることはまったくの別問題である。つまり日本の公的年金制度は、制度上、破綻することはないが、高齢化が過度に進めば、実質的に制度が機能しなくなるリスクを抱えているというのが正しい認識である。