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┗7.シース・フォーカー

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1:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/12 22:39:53

取り敢えず始めます

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10:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/13 21:27:16

「私達が求める人材…『シーカー』は、
 知力・体力・能力。
 三つの力を全て持つ者のみだ。

 実技試験では、筆記だけでは分からぬ
 君達の体力・能力をチェックする。
 チェックした力の量に応じた
『フォルム』分けも行うので、
 全力を尽くして欲しい」

言枝先生は、
ホワイトボードに言葉を書き足す。

…グラス・アクア…

(何だそれ…?)

『ガタン…』

言枝先生がホワイトボードから
生徒に目を向ける頃には、
すっかり横文字が並んでいる。

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11:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/13 21:35:53

「能力の中には、
 秘めたる力と才能を含める。
 しかし、一番重要となるのが、
『クラス』だ」

グラスアクアフレアグランド

先生は、文字を叩き、
重要なワードだと伝える。

「クラスとは、私達生物一つ一つにある
 生命としての力…
『シゾクナ・フォース』の属性の事だ」

(四つの属性の事はクラス…)

「一方『フォルム』は
 君達が学ぶ『コース』だ」

パラゴルヴェアルファーミナ
 インペリウムオーメニア

頭がおかしくなりそうな横文字。
だけど、何か格好いい響き。

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12:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/13 21:43:16

「具体的にはフォルムが
 決まってから伝えるが…

 分かりやすく伝えるのならば、
 パラゴルヴェアル攻撃特化
 ファーミナ防御特化
 インペリウムサポート特化
 オーメニアバランス型
 ひとまず、それだけ覚えておけば
 問題はない」

…久々に、こんな大量の情報を
浴びている気がする。
頭がパンクしそうだ。

「大丈夫、ゆっくり覚えていけばいいよ」

「…ああ、そうだな、ヒカザ」

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13:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/14 22:42:27

「では、テストの会場へ向かう」

『ガラガラッ』

不要となったホワイトボードが
帰ってゆく。

「そんな緊張しなくてもいい。
 やる事は殆ど『体力テスト』だ。
 君達はまず、校舎裏グラウンドで
 五十メートル走だ」

言枝先生は、

「こっちだ」

と、手招きしながら歩き始めた。

「頑張ろ、ヒカザ!」

「ああ!」

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14:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/15 09:04:23



校舎裏の砂地に引かれた三つの白い線。
適当に二列に並んだおれ達は、
順番を待っていた。

「これの他に何をすると思う?」

「うーん… 握力?」

「え、握力何ているのか?」

「ほら、機械を操作するらしいしさ。
 重い物を持ったりするんじゃない?」

校舎の影になっているのもあり、
この場は比較的涼しい。
木々が風に揺れ、通り抜ける事で
一層涼しさが増している… 気がする。

(あれ… あの木にいるの…)

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15:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/15 18:18:59

「あっ、どこ行くの?」

「順番はまだ先だろ?
 あの人に話しかけてくる」

少し遠くにある木の下に、
朝出会った金髪の少年に似た人がいた。

おれはヒカザにそこを指差し、
その木へ走った。

「…友達かぁ いいねぇ…」



おれが金髪の彼に駆けて行く。
彼は、目標もなく遠くを眺めていた。

「…ん、君は…」

やはりあの人だ。

癖毛なのか、寝癖なのかわからないが、
四方八方に跳ねた長い金髪。
若草色の穏やかそうな目は、
どこか歳上の威厳を感じさせる。

「あの… 朝はありがとうございました」

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16:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/15 22:01:12

「いいえ、気にしなくっていいよ」

彼は、大人の余裕ある笑みを浮かべた。
…何歳だろう。歳上… 二歳位?

「そう言や… 名前教えてなかったね?
 オレは射場 サツキ。
    さしば
 この学校の入学条件…
 年齢制限的には最年長の十八さ」

十八… 見た通り歳上か…。

「おれは… 葉民 チョウカ!」
      はたみ

歳は十五… つまり、
中学… 何年だったかな…。

「十五歳で… 中学… 二?」

「三年じゃない?もしくは高一」

「…あっ…」

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17:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/15 22:07:36

「どうしたんだ?」

…これはひどい凡ミスだ。

学校に通ってれば学年を言えばいいだけ。
一年ズレてりゃ全く違うのに…

「いえ… すみません。
 ここに入学する気満々で…」

「それはそれは、元気でいいね。
 あの友達も一緒なの?頑張ってね」

「チョウカー そろそろ戻って来なよー」

サツキさんから
応援の言葉をもらうと同時に、
ヒカザの声が飛ばされた。

「分かった。今行くよ、ヒカザ。
 失礼します!」

少年は、オレに深く頭を下げ、
友達の元へ走り去って行った。

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18:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/15 22:15:18

『友達』…。

オレにもそんな人がいたなら、
もっと強い力を持てたんだろうか…

『ピピッ!』

『ササっ、お知らせよ!』

「!」

空気を読まぬ通信は、
憂いすらも吹き飛ばす。

「…何だよお嬢様…
 テストが始まるんだよ、例の…」

『だからお知らせするの…
 落ち着いて聞いて…』

(何だよ…?)

やけに緊張が走る声に、違和感を感じる。
お嬢様はいつも明るくてうるさいのに、
こう言う時は真面目だからな。

『…
 彼を監視対象に追加して』

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19:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/15 22:37:33


『シゾクナ・フォース』

この世に存在する『全ての物体』に宿る
『生命力』の流れ。

それは、世界をさ迷う生命の魂が
物体に宿ったとも、
『物体が秘めた力を解放した先』…
だとも言われた。

『どちらの説を信じるのか』

僕にそう訊くならば、
『 彷徨霊魂憑依説 』と答えよう。
 ほうこうれいこんひょういせつ

いや… もっと正しい説がある。

何だと思う?



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20:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/15 22:55:57

2 過去を悔やんでも始まらない


「…はぁ…」

ひどい、ひどい…。

その過去が脳内に浮かぶ。
チョウカは一人校舎裏に
寄りかかっていた。

「…はぁ…」

五十メートル走、シャトルラン、持久走…
延々とグラウンドを走った。
走らされた後の発声。

言枝の話では、声が波長を
動かす力になるのらしい。

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21:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/17 21:54:54

そして、そのテストで
「言え」と言われたのは、
四つのフォルム名であった。

「…」

あの数回聞いただけの横文字。
そんな物を覚えられるはずもなく、
最初の『パラゴルヴェアル』で
つまずいてしまった。

「…はぁ~…」

「どうしたの…?」

再びため息を漏らすと、
足下から小さな声が届く。

「えっ?」

ゆっくりと目を落とす。
すると、左足首をひやりとした
白い腕が掴んだ…。

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22:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/19 21:45:56

「うっふふ…」

足下に浮かぶ微笑。

白い肌に青緑の瞳が煌めき、
ミルクティーの色によく似た髪を
眺めていると、なぜか腹が減って来る…。

「…ど、どうしてここに寝転がって?」

君は誰、いつの間に…
と、当たり前の事を
影もなかった彼に訊ねようとした。

「だぁれだろ~…?」

少年が立ち上がると、
紅茶の香りがふわっとする。

(あぁ… この香りで腹が減るのか…)

「はじめましてぇ…」

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23:想為瀝ハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/20 10:34:23

「ぼくは傀儡 ミサオ
    かいらい

そして少年は、どこからか
探偵のイメージがこびりついた
茶色いチェックのキャップを取り出し、
深くかぶる。

「走ってたのみたよ~
 あんまり速くなかったねぇ」

グサリ、ミサオの言葉が
心に刺さる音がした。

「うっ… あの時はちょっと…」

「いいのいいの~
 別にわるいとか言ってないから。
 むしろ、ここに人がくること…
 友達がふえるっていいことじゃん?」

「…友達…」

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24:瀝血ノハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/20 21:32:38

「なぁに冴えない顔しちゃってさ?
 入学初日でもないのに
 お友達とケンカとか言わないでねぇ?」

特にそんな事ではない。
ヒカザには「外に行って来る」と
言ってここにいる訳であり。

…何だろう、この感じは。

「ミサオ、無闇矢鱈に外部と
 関係を持つ事は禁じているはずだ」

「!」

そこで、えんじ色の髪をなびかせ
右半分を仮面で覆った少年が
ミサオの名を呼び近付いて来た。

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25:瀝血ノハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/20 21:47:06

「イオリぃ~」

「帰還するぞミサオ」

ミサオのふわふわした雰囲気と
正反対の少年は、
有無を言わさずミサオの腕を掴む。

「無礼操傀…
 この男が無礼な事をしただろう。
 失礼撤退、何れまた見えん」

「えっ… そんないきなり…」

何事もなく引きずられ、
去って行く二人。

「待って君の名前は…!?」

おれは咄嗟に、イオリの苗字を訊いた。

「…我名を訊くか… 良かろう。
 軍貫 イオリなり。
 ぐんかん
 我名を覚えるのも一興、
 覚えぬのもまた一興かな…

 では、失礼する」

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26:瀝血ノハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/25 20:38:49

「またねぇ~ チョウカくーん」

最後にミサオはチョウカに手を振り、
イオリと共に、表へ退場して行った。

「…」

よく分からない二人組に
ぽかんとしたのも束の間、

(おれ… 名乗ったっけ?)

目を細め、消えた二人の背中を
裏庭に写すのだった。



「少なからず外部との関係はいるんだよ。
 それこそ、依頼の為にね」

冷たい右腕の向こうから、
ミサオの意見が聞こえる。

「…理解理解」

「本当に理解してるのかな?
 判りづらい仮面だこと…」

いじりがいのある仮面の少年に、
帽子を深く被り直してほくそえむ。

「…全ては計算通って事か?」

「そう言うこと… で、」
 無は何の為に?」

「太陽の為に」



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27:瀝血ノハ◆z.Nk3L7mjZ7D
06/26 18:04:29

「おーい、チョウカ。大丈夫かい?」

暫しそこで休息していると、
心配したヒカザが校舎裏まで走って来た。

「あっ… ヒカザ」

「落ち込んでたの?
 あのテストで失敗してたから…」

「分かってるなら言うなって…」

わざわざ塩を塗るヒカザの発言に重ね、
チョウカはそっぽを向く。

「拗ねなくていいよ、きっと合格するさ」

「~だといいんだけど…」

「後悔しても始まらないよ…
 取り敢えず帰ろう」

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28:瀝血ノハ◆z.Nk3L7mjZ7D
07/03 21:38:26



『ガタン ゴトン…』

密接した小さな空間。
人混みの中、彼は吊革に捕まっていた。

「…はぁー…」

駅に降りた後、二十分程街中を歩いた。
街中と言っても、都会の如く
ビルが連なっている訳じゃない。

比較的大きな店やコンビニがあるだけ。
人の数も、都会に比べりゃ少ないもの。

「ちょっとチョウカ… 大丈夫?
 テストでも走ったし、人混みだったし…
 疲れてる?」

「…大丈夫、大丈夫。
 速く室内に行こうぜ?」

『日行宿』
 ひつらやど
小ぢんまりとした古めの建物。
外装の壁は薄汚れているが、
庭にゴミは落ちていない。

今日も掃除してくれてるんだなぁ…。

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