【大相撲】稀勢の里「体にスピード出てきた」2018年7月4日 紙面から
7場所連続休場中の横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が自身の誕生日の3日、名古屋市緑区に宿舎を置く宮城野部屋への出稽古を初めて敢行した。横綱白鵬(33)=宮城野=との2日連続の手合わせは実現しなかったが、プレゼント代わりのぶつかり稽古で「体のスピードが出てきた」と納得顔。ただ、名古屋場所の出場については5日まで判断を持ち越す慎重な姿勢を崩さなかった。三番稽古では、幕内正代(26)=時津風=を相手に11番を取り全勝だった。 32回目のバースデーにも、稀勢の里が感慨にふける暇はなかった。相撲勘を取り戻すために必要なのは強い相手だと、2日の出稽古先で白鵬と激突した時に気付かされた。志願して、初めて宮城野部屋宿舎に乗り込んだ。 「横綱に胸を借りて非常にいい稽古になったので、きょう(3日)もと思って。新大関や新横綱のときに来ていただいて、いつもありがたい。1人じゃできないから」 熱望していた横綱対決は、白鵬が「年寄りは昨日で十分でしょう」と自身の調整を優先したためかなわず。それでも、正代を圧倒した三番稽古後に10分近くぶつかり、「だいぶ体のスピードが出てきた」と明るい口調で振り返った。 だが、先輩横綱が「(出稽古に)来るのが遅いくらい」と指摘したように、稽古不足や7場所連続休場による勝負勘の欠如など課題は山積み。次の出場場所で進退を懸ける方針を明言しているだけに、「猛稽古イコール出場」とはならない難しさがある。 稽古後には、報道陣が用意したお祝いケーキの七夕の短冊をあしらった部分に、チョコレートソースで「平常心」と書いた。「平常心でやり切って良い年にしたい。しっかり千秋楽まで取り切る場所が、たくさん続くように頑張りたい」 状態を判断するため、4日以降も出稽古をにらみながら調整する方針だ。進退問題をはねのけるため、ギリギリまでもがき続ける。 (志村拓)
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