拡大写真『第44回放送文化基金賞贈呈式』に出席した中井貴一 (C)ORICON NewS inc.
拡大写真各部門の受賞者(左から)青木崇高、宮崎あおい、樹木希林、中井貴一、満島真之介 (C)ORICON NewS inc.
「先日、あるドラマで片手にピストルを持って、相手を撃ち殺しにいくシーンを撮ったのですが、タバコを吸ってくださいという演出がありました。乗り込んでいく途中でそのタバコを投げ捨てようとしたら、『あっ、タバコの投げ捨てはちょっとやめてください』って(笑)。コンプライアンス的にマズいということなんです。ピストル持って、これから人を殺しにいくんだけど、タバコの投げ捨てはダメなの? 最近、コンプライアンスの意味がわからなくなってきた」と、軽妙に語り、会場の笑いを誘った。
中井は「テレビは、企業のコマーシャルを流すためにできた箱で、その合間にドラマを流していると言った方がもしかしたら正解なのかもしれません。ですが、俳優という仕事を生業(なりわい)としている者として、合間に作られたものでも作品として世に残るものにしたいと思っています」と、堂々と主張。会場に集まったテレビ局や製作会社の関係者に「コンプライアンスと戦えるよう、皆さんと一致協力して頑張っていきたいと思っています」と呼びかけた。
今回、中井は『新春ドラマスペシャル 娘の結婚』(テレビ東京)で演技賞を受賞。男手一つで育ててきた娘を嫁に出す父親の揺れる心を情感たっぷりに演じた点が高く評価された。「素敵な賞をいただきまして、ありがとうございました。賞というのは年を増してからいただく方がうれしい。大人になると失うものが多々あって、ほめられることも最近ないものですから、きょうはとてもほめられた気がします」と、受賞を喜んでいた。