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【記者コラム】木暮の行動が与えるインパクト

 第69回高松宮記念杯競輪は、三谷竜生のダービーに続くG1連続Vで幕を閉じた。ダービーと同じく脇本雄太をマークから抜け出してのV。追い込み、自力のどちらでも戦える三谷の安定した強さはもちろんだが、脇本の先行力が圧倒的だった。打鐘前から一気に踏み込み主導権を握ると他ラインは巻き返せない。1周タイムが破格なので、まくりを決めるとすればバンクレコードクラスの10秒台が必要になる。未冠の脇本だが、次のG1オールスター(8月15日~、平)では、もっともタイトルに近い男であることは間違いない。

 

 また、この大会では今後のビッグ戦線を大きく揺るがす出来事があった。決勝戦前日のインタビューで、木暮安由が吉沢純平の番手で武田豊樹と競ると発言したのだ。はじめは聞き間違いかと思ったが、木暮の表情は悲壮感さえ漂わせていた。武田とは過去に何度も連係しているし、武田と吉沢は師弟関係。よほどの覚悟の末の決断だったのだ。

 

 同地区の選手、それも師弟関係を分断する競輪のセオリーの否定、また優勝を狙うなら脇本の後ろで三谷と競るべきだとの声が正しいかもしれない。ただ木暮の行動が今までのライン戦に一石を投じたのは事実。最近のG1は地区を代表する自力選手の調子がいい地区で上位を占める地区対抗戦のような構図となっている。ライン戦で走るのが当たり前のようになっていた。しかし、木暮の行動のインパクトは強く、今後は同じ地区の中でも一つでも勝てる位置をとのせめぎ合いは激しくなり、同時に強い自力選手の番手は他地区の選手が狙って競りになるケースが増えるかもしれない。ファンも個々の選手が輝く走りを求めている。まずは7月14日からのGⅡサマーナイト(松戸)でどんな変化が起きるのか注目だ。 (緒方 泰士)

 

※18年6月27日付・大阪版