文部科学省局長 受託収賄の疑い

文部科学省の科学技術・学術政策局長が、私立大学の支援事業を巡って東京医科大学に便宜を図る見返りに受験した自分の子どもを合格させてもらったとして、受託収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。

受託収賄の疑いで逮捕されたのは、文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)で、東京・港区の会社役員、谷口浩司容疑者(47)が収賄のほう助の疑いで逮捕されました。
東京地検特捜部の調べによりますと、佐野局長は文部科学省の官房長だった去年5月、東京・新宿区にある東京医科大学が私立大学の支援事業の対象校に選定されるよう便宜を図る見返りに、ことし2月、受験した自分の子どもの点数を加算させ、合格させてもらったとして受託収賄の疑いがもたれています。
特捜部は東京・霞が関の文部科学省を捜索し詳しい経緯を調べています。

逮捕された文部科学省の佐野太局長(58)は、昭和60年に当時の科学技術庁に入庁し、山梨大学の副学長や文部科学省の会計課長などを歴任しました。
そして、私立大学の支援事業の選定で東京医科大学の関係者から便宜を図るよう依頼された去年5月には文部科学省の官房長を務めていました。
この官房長の時には、文部科学省は組織的な天下りが問題となり、当時の前川事務次官が辞任するなど、あわせて43人が懲戒処分を受ける前例のない事態となっていました。
その後、去年7月からは科学技術・学術政策局の局長を務めていました。

東京・新宿区にある東京医科大学の広報担当者は「事実確認をしているので現段階でコメントできない。捜索を受けたかどうか広報では確認できていない」と話しています。

文部科学省の科学技術・学術政策局長が受託収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたことを受けて、文部科学省の男性職員は「立場ある官僚がこのような古典的な事件を起こすなんて信じられません」と話していました。
また、別の女性職員は「教育をつかさどる省庁につとめていながら、便宜をはかった見返りに大学の入試で自分の子どもを合格させてもらうなんて絶対に許せません。情けないです」と話していました。