炎上対策会社MiTERUを立ち上げたネットウォッチャーのおおつねまさふみ氏と、吉本興業に35年間在籍し、数々の謝罪会見を取り仕切ってきた経験から「謝罪マスター」の肩書きを持つ竹中功氏。ネットとリアルの2つの世界をよく知る2人がネットとリアルのメディア特性、私設警察やマウンティングなど、多岐にわたるテーマについて語った対談を3回に分けてお届けする。第1回は謝罪会見の心得について。2回目の今回は、現在のインターネットとはどのようなメディアなのかについて。
おおつねまさふみ インターネットのメディア特性はいろいろありますが、誰でもすぐに発信できるという点が大きな特性のひとつですね。ブログとかソーシャルサービスでテキストで書いて、さっき見たことも5分後にはもう投稿、みたいな。
竹中功 誰でもというのと、実はひとりでも発信できて、そのための道具がみなさんの手元にあるというのがすごいですよね。
おおつね 僕は20年ちょっとぐらいインターネットを楽しんでますけど、10年以上前のネットはこんなすぐに個人で発信できることなんてあまりなかった。ホームページを個人で作って、今日あった出来事を明日みんな読んでね、みたいなサイクルでした。で、次の日に目ざとい人が見つけて、1週間かけてじわじわと盛り上がっていく感じ。
竹中 そう、1日単位でしたね。
おおつね 今はソーシャルサービスだと5分後にツッコミがきて、15分後には返事をしてるって当たり前じゃないですか。
竹中 確かに。個人の情報発信も時間の流れ方が全然変わりましたよね。
おおつね 芸能人やアーティストさんたちにとっても大きな変化ですよね。例えば新しいグループを作ってみんなに知らせていきたい場合、今までならFAXをメディア各社に送っていたわけで。しかも扱うかどうかの取捨選択の権利はメディア側にあった。でもネット時代だと、ブログとか公式サイトに「僕たちこういうことやります」って書いたらファンはそれを直接見てくれる。
竹中 そう、飛び越えられるんですよ。A4用紙2枚でリリースを書いても、新聞はその大きさでは取り上げてくれませんけども、ネットはそのまま上がりますし。
おおつね 微に入り細に入りいきさつを書きたいとき、例えば結成に至った理由はこれで、誰かと喧嘩したって話が出てるけど実はこうなっててとか、すべて自分のホームページやブログに書けますよね。変な噂が出ても「あれを読めばわかる」ってファンの間で話題になって、納得してもらえればそこで済んじゃう。
竹中 メディアをどう使うかという意味で言うと、大きい企業にとっては通信社を通してみんなに知ってもらうことで信用度が増したけど、このごろはもうカスタマーとの直接のやり取りが成立しますね。ただまあ、どうでもええことですけどね、日本語おかしいのと漢字いっぱい間違ってんのはどうしたら良いんですかね(笑)。
おおつね 以前はマスコミとか何らかの情報発信側って、わかりやすい日本語を書くことはもちろん「これは名誉毀損になりかねないから書いてはいけない」とか「差別してはいけない」みたいなことをデスクから叩き込まれましたよね。でもネットでの情報発信にはそういう指導や教育は基本的にはありませんよね。
竹中 それもネットの特性やと諦めなあかんのでしょうね。その分フェイクもあるやろと思わないとアカン。不完全なものもあるっていうつもりで付き合わないといけない。
おおつね インターネットにはマスコミとかの公的な発表にはない裏話や本音が暴露されているから信用できるっていう、ある種の危ない心理もありますしね。
竹中 その意味では、ネットの読み手の力も上げなあかんでしょうね。今だったら小学生も見てるわけじゃないですか。嘘かほんまかもわからへんのに「この人が言ってることやったら信じよう」って付いていくわけでしょ。
おおつね 子どもだけじゃないですね。ネットの力を悪用できる人には、ありとあらゆる層の人が騙されてます。実際あった話で言うと、愛国精神が暴走しちゃった人が、とある外国籍の学校の補助金を辞めさせるのに反対してる弁護士がけしからんので「こいつを攻撃しろ」みたいな煽りをブログ上でやって「このテンプレに名前を書いて送れば懲戒請求ができます」とやったら40~60代の中高年が大勢乗っかっちゃった。大人だったらそんなデマとか扇動には騙されないって思ったら、騙されたのは子供じゃなかった。中高年だったんですよね。
竹中 どうしよ、僕も入ってたかもしれんな(笑)。
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