6月19日。ロシアW杯、日本代表の初戦となるコロンビア戦をNHKで観ていて、驚いたことが2つあった。
1つは試合結果そのもの。もう1つは、ハーフタイムで聴いた今回のテーマソングである。
SuchmosがNHKホールで観客を前に今大会のテーマソング『VOLT-AGE』を披露していた。
歌詞でいうと、
「Chanting now~」
の部分、音楽的ブロックでいうとBメロだろうか、そこでビートが変化して「なるほど、ここからサビへ向かって『VOLT-AGE』上げていくんだな?」と音楽の作り手の端くれとして想像しながらそのときを待った。
しかしその後のブロックでビートはハーフへ逆戻り。
「あれ? まだ引っ張るのか?」と思って聴いていると、期待した盛り上がり部分は訪れることなく曲が終わった。一瞬映った客席がずいぶんとおとなしかったのが印象に残る。
「あのHeartbeatの部分がサビだったのか?」
急いで歌詞を確認する。もしや、サッカーを意識して作られたのではなく、既存楽曲を当てはめたか?と思ったからだ。だが、露骨な表現はないものの、「ピッチの上で」などのフレーズからして書き下ろしだと思われるし、メンバーもサッカーへの造詣が深いようでますます混乱する。
テーマソングというものは、コンペがあって競い合って採用されるか、アーティストにオファーがあって書きおろすかが一般的だろう。
おそらく今回は、NHKサイドからSuchmosへの楽曲オファーがあったはずだ。アーティストからすれば、日本中が注目するW杯のテーマソングはヒットを生むチャンスであることは言うまでもない。彼らはそれを十分わかった上で、『VOLT-AGE』をあの形で完成させた。大衆が求めるわかりやすい盛り上がりを捨てて。
改めてNHKのサイトでフル視聴してみたが、少なくとも今までの大会のように「求められる曲」とは違ったテイストだと思った。