先日もある愛国者のブログで、自衛隊員のなかで外国人と結婚している者が大勢いる、そのうち7割が中国人だ、自衛隊員の中国人妻は夫から軍事機密を聞き出して本国に伝えているから、自衛隊員と外国人の結婚は禁止するべきだ、現在結婚している者に対しては、退職か離婚かを選択させるべきだという主張を見かけました。
外国人は結婚まで本国の指示に従っていて、スパイ活動の一環として配偶者を選んでいると本気で考えているのです。ネトウヨは、自衛隊員と結婚した中国人女性は、帰宅した夫から今日は自衛隊でなにをやったのかを詳細に聞き出して、夫が寝たあとの深夜に中国政府から支給されている暗号帳を取り出して、夫の一日の行動の記録を暗号に組んで中国に向けで打電していると信じているようです。国防マニアの妄想も極まったという感じです。
このように書くと、元総理の誰それは中国に行った時にハニートラップに嵌められたから、スパイ活動のための結婚もあると、真偽不明のネット情報を根拠に反論されます。ネット情報は全て正しく、ひとつの情報が全てに当て嵌まるとする愛国者たちの論法には手も足も出ないのが現実です。
このような言論が、結婚も恋愛も経験したことの無い人間の妄想でしかないことは明らかです。人の世を知らないと言ってもよく、このような議論を見せられると、ネットの愛国者は引き籠りニートの童貞ばかりという説も当たっているのではないかと思えて来ます。
結婚は本人同士が好き合うことが前提となりますし、仮に中国から留学で日本に来ていた女性が、そのまま日本で暮らしたいから日本で配偶者をみつけようと考えたとしても、それは個人の事情でありスパイなどといった話ではありませんし、誰でも良いということにはならず、一緒になってやっていくことができる相手を探すはずです。それがたまたま、異性と知り合う機会が少ない上に、失業の心配もない自衛隊員であったというだけのことです。
だったら、アメリカ軍の兵士と結婚している日本人女性は、日本がアメリカの軍事機密を盗むために派遣しているスパイということになりますが、そんなことはあり得ません、同じことなのですが、日本人の愛国者の目から見ると、日本人はスパイはやらないが日本に来ている、日本に暮らしている外国人は全員がスパイだということになってしまっています。
相手を日本に連れて来るかたちの国際結婚は人口減に対する有効な対応策です。日本人の男女が結婚して2人の子を儲ける場合には、増える人口は2人です。日本人男性が外国人女性と結婚して日本で2人の子を儲けて、日本人女性が外国人男性と結婚して日本で2人の子を儲ければ、それぞれの配偶者はみなし日本人になりますから、配偶者を含めて6人増えます。
移民の受け入れと共に、人口減を回避する有効な対策なのですが、外国人配偶者は外国のスパイで、自分の気に入らない意見を持っている日本人は、妻が中国人でキン玉を握られて反日活動をやらされている、といった事実関係を無視しての中傷が罷り通る現実を考えると、政府が国際結婚を奨励するもの無理でしょう。
移民はスパイだ、日本人と結婚した外国人はスパイだ、と考えている愛国者たちによって、日本は人口減と経済の縮小と負債の拡大の悪循環から抜け出せず、新興没落国として破綻に向けて一直線に進んでいくことになります。
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テーマ:経済
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