怪談百物語の第2回では、越後の国(新潟県の旧国名)に現れる妖怪として有名な雪女が登場します。この雪女は、人間の巳之吉という男の命を何度も奪おうとしますが、寸前の所で命を奪う事を辞めてしまうので、詳しく紹介しましょう。
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『怪談百物語 第2回雪女』のキャスト
越後の国だけではなく、多くの雪国で恐れられている『雪女』にスポットを当てた第2回に登場する人物や役者さんたちは、以下の通りです。
- 蘆屋道三/雪女について説明する陰陽師(演:竹中直人)
- 小夜/道三の娘(演:大村彩子)
- お雪/雪のような美しい肌をした女性(演:松雪泰子)
- 巳之吉/雪女の悪夢にうなされる男(演:萩原聖人)
- 弥助/遺体を調べる役人(演:甲本邪裕)
- 勘太/役人の手下(演:金子貴敏)
『怪談百物語 第2回雪女』のストーリー
江戸では暑い日々が続いていて、弥助や勘太たちは、精神的に参っていました。そんな時でも、巳之吉は自分が作り上げた工芸品をたずさえて出かけようとしていました。そんな巳之吉には、美しい妻のお雪がいて「急がないといけませんよ」と夫に声をかける優しい性格をしていました。
季節外れの凍死者(起)
巳之吉は仕事へ向かう途中で、弥助たちと出会いますが、そこで表情がさえないので「どうした?」と聞かれてしまい「昨夜は夢を見まして」と答えます。弥助は夢ぐらい見るだろうと思って軽く笑ってしまいます。
そこへ、お雪がやって「早くしないと遅れますよ」と、また念を押されます。弥助たちは、お雪が越後の者で巳之吉に助けてもらった話を始めて、いつまでも若いままである事を褒めます。
そんな平和な日々が続いていた江戸でしたが、町民が道端で季節外れの凍死者を見つけてしまいます。道三や小夜はそれを見て驚きますが、そこへ弥助たちもやってきます。道三は「凍え死にだ」と言うが、勘太は自分が役人だった事もあって、道三について適当な事を言う奴だと思って怒ってしまいます。
巳之吉の夢(承)
道三は「あやかしの仕業だと」とさとしますが、勘太は全く耳を傾けようとしません。 そんな不思議な事が江戸で起きている間に、巳之吉は少年時代にじいさんが亡くなってしまった光景を夢で見ていました。その夢を気にしながらがも、巳之吉は自分が作り上げた工芸品を町民に見せて、順調に職人として活躍をしていました。
それから、巳之吉はお雪と一緒に、亡くなってしまった師匠の墓参りをします。そして巳之吉は「時々怖くなるんだ、目が覚めたら皆んな消えて無くなってしまうんじゃないかって」と言い始めて、夢の事が気になってしまいました。お雪は優しく手を握って「そんな事ありませんよ」と励まします。
巳之吉は、白い花を渡して、お雪は「私は幸せ者です」と優しく微笑みます。二人は何気ない日々でも、幸せを噛みしめる毎日を送っていました。しかし、巳之吉は来る日も来る日も、じいさんが雪のような肌をした女に凍え死にさせられた夢を見ていました。
雪女の存在を知る弥助(転)
弥助たちは、また真夏の季節なのに、凍え死んでいる者を見つけます。所が、その仏様は、炎の絵が書かれていた紙を握っている事に気づきます。勘太は「なんですかね?」と聞いたら、弥助は「何かのおまじないかもしれないな」とつぶやきます。
その頃、巳之吉は再びさえない顔をしていたので、お雪が「どうしたんですか?」と聞いてみたら「じいさんと一緒に小屋で泊まろうとしたら、ある女が息をふきかけて、じいさんが凍え死んでしまったんだ」と教えます。しかし、お雪は「夢の夢でも見ていたのでしょう。早くお休みなさいまし、明日は早いのですから」とつぶやきます。
弥助たちは、おまじないのような紙を持って、道三のもとを尋ねます。そこで道三は「越後の国に雪女というあやかしの存在がいる」と話し始めて、その紙は雪女のあやかしの力を封じ込める物と言います。そして道三は「雪女を狙う物は、どんな季節でも傘とミノは欠かさないそうだ」と教えるのです。
幸福な日々が壊れる巳之吉(結)
弥助は越後の国の雪女を知ったら、越後の国の生まれと聞いていたお雪のもとを尋ねます。そして、弥助は「最近の仏様と、越後の国の雪女が関係している。何か知っている事はないかい」と聞きますが、お雪は「さぁ」と答えるだけでした。
しかし、ついに巳之吉は「子供の頃に見た者は雪女で、今夜見た事を他人に喋ったら、命を奪う」と言われた事をお雪に喋ってしまいます。それにお雪は「あれだけ言っておいたのに、一言でも口にしたら、命はないとあれだけ言っておいたのに、私の姿を見たものは命を取るのが私の定め」と言って、雪女の姿に変わってしまったのです。
雪女になったお雪は、巳之吉に息をふきかけていきますが、そこへ雪女を狙う男たちが襲いかかってきました。はたして、巳之吉と雪女はどうなってしまうのでしょうか?
『怪談百物語 第2回雪女』の豆知識
日本の怪談では、雪女なお岩さんと同じぐらい有名な者として登場します。その雪女に関連する豆知識を紹介するので、良かったらご覧になってみて下さい。
雪女が巳之吉の命を奪わなかった理由
雪女が、始めて巳之吉を見た時に「お前ははまだ幼くて、美しい。だから命だけは取らないでおこう。その代わり、今宵起きた事は誰にも言ってはいけないよ、もしも言ったら、お前の命を奪いに来るからね」と脅してきました。
しかし巳之吉は大人になって、その話をよりにもよって雪女であるお雪に喋ってしまいます。それに怒ったお雪は雪女の正体を現してしまって「こうなったら命を奪うしかない。しかし、お前との間に生まれた子供たちのことを考えたら、命を奪う事はできない」と姿を消していきました。
この事から、巳之吉が救われたのは、見た目の若さや美しさと、子供たちの存在でした。しかし、怪談百物語では子供たちが登場していませんでした。そのようなわずかな違いはありますが、雪女は心まで冷たいあやかしという訳ではない事がよく分かります。
映画『雪女』
雪女を現代に蘇られて製作されたのが、映画『雪女』です。この映画では、杉野希妃さんが、美しくもセクシーな雪女を熱演しています。その雪女を恐れる巳之吉を演じているのが、青木崇高さんでした。今までと少し違った雪女が現代風で見る事ができるので、少し斬新な内容になっています。
『怪談百物語 第2回雪女』の感想
見た者の命を奪ってしまう恐ろしい雪女が登場する『怪談百物語 第2回雪女』を見た感想を紹介するので、良かったら参考にしてみて下さい。
『怪談百物語 第2回雪女』の残念な所
子供の頃に見た雪女に比べたら、それほどの怖さを雪女に見る事ができないので、現代風のホラー映画を多く見たきた方にしてみれば、少し迫力を感じない内容になっています。しかし、逆の言い方をすれば、あまりにも過激なホラー映画を子供に見せたくないと考えている方であれば、親子で仲良くみれる怪談ものと言えるでしょう。
『怪談百物語 第2回雪女』の見所
過激な描写で雪女が登場する訳ではありませんが、それでも巳之吉がずっと黙ってきた事を雪女であるお雪に言ってしまう辺りは、少し怖さを感じてしまいますね。そして、約束を破った巳之吉を許せないと思って、憎しむがこみ上げる雪女のシーンは、圧倒的な迫力を感じて、松雪泰子さんの演技力に凄みを感じました。
私は新潟県(越後の国)の出身なので、雪女は特に思い入れが強い怪談ものですが、やはり雪や吹雪というのは恐ろしい存在である事を少年時代から知っているので、そのような大自然の脅威が雪女として人々の心に根付いたのでしょう。