ついこのあいだまで我が家では、子どもがゲームとスマホで遊ぶことについては寛容だった。小2の長男はNintendo Switchが大好きで、休日にはゼルダとマリオをやりまくっていた。スマホ(iPhone)については長男と長女(4歳)のふたりとも大好きで、特にYouTubeが大のお気に入りだった。
しかしどこの家庭でも大なり小なり同じだと思うが、ゲームとスマホによって育児の負担をかなり減らせている一方で、その弊害も無視できないほどに大きかった。気持ちの切り替えが上手な長女はまだよいのだが、このブログで頻繁に取り上げているクセの強い長男においては日常生活に大きな支障を来していた。
簡単に言うと約束通りゲームやスマホをやめられない。SwhitchにもiPhoneにもタイマー機能があるので決められた時間になったら強制的に遊べなくすることもできるし、実際そうしていたのだが、遊べなくなったときの長男の反発がすさまじかった。僕、または妹に対する、暴言、暴力。それから、ゲームやスマホ以外のことへの関心がほとんどなくなり、なにもしなくなる。いわゆる中毒症状に悩まされていた。
もう少し具体的な話をしよう。ある日、家族みんなで動物園に行くことにした。長男は動物が大好きで、動物園に行くのを心待ちにしていた。動物園に行く朝、その時点ではまだ動物園に行くことを楽しみにしていたのだけど、出発までのあいだSwitchでマリオを遊びたいと言い出した。いままでの経験上、まずいな、という予感はあった。というのも、ゲームをやらせてもやらせなくても、長男が荒れることが十分に予想されたからである。
まず、ゲームをやらせないとしよう。すると「今日はお休みでしょ? お休みはゲームしていいんでしょ? なんで今日はダメなの?」と言ってくるだろう。で、「いや、今日は動物園に行く日だからね」と答えれば「じゃあ、動物園に行かない」という流れになるのだ。
一方で、もしゲームをやらせると、時間通りに終われず、やっぱり動物園に行かないとなる。結局このときはゲームをやらせて、時間になったら動物園に出発しようと言い聞かせたのだが、案の定、うまくいかなかった。(最終的に動物園には行けたのだが、めちゃくちゃ大変だった)
想定内と言えばそうだったのだが、この出来事が僕にとっては結構ショックで、なんとかしたほうがいいと改めて感じた。それは長男のためが半分、残りの半分は僕自身、または家族のためだった。このままでは家族全員が長男に振り回されてしまいかねない。そのストレスはかなりきついものだ。そうして僕は、長男にゲームをやめさせることを決意した。
さらに言うと、ゲームだけでなくiPhoneも中毒症状が高いのでこれも同時にやめさせられないかと考えた。つまり息子の好きな3大メディア(テレビ、ゲーム、iPhone)のうちの2つをやめさせることにしたのだ。
問題はもちろん、どうやめさせるかだ。普段の決められた時間でやめさせるだけでも一苦労なのに、これを一気に絶とうというのだからどれほど困難かは想像に難くない。
ここで僕は育児に関して、勉強というと大げさだけど、ちょっと取り組んでいることがあってそれを紹介したい。
ひとつめは妻を通して間接的にだが、アクティブペアレンティングを学んでいる。
AP(アクティブペアレンティング)は、親あるいは子どもに関わる人たちのために、1983年にアメリカのマイケル・ポプキンによって考案された世界で初めての「DVDによる親教育プログラム」です。今では広く普及し、世界中で3000以上のAPグループの親たちがこのプログラムに関心を持ち、熱心に学んでいます。このプログラムはアドラー心理学をベースに、さまざまな心理学者や教育者の考え方、やり方、関係作りのための技法などを集成し、わかりやすく家庭で実践できるように工夫されています。
そしてもうひとつは、こちらの本。
子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全
- 作者: アデル・フェイバ,エレイン・マズリッシュ
- 出版社/メーカー: きこ書房
- 発売日: 2015/08/19
- メディア: Kindle版
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この本はページ数が多くてまだ半分くらいしか読めていないけど。
で、いままでに学習したことを生かして、このゲームとスマホ問題を解決することにチャレンジした。
まずは悪手から紹介しよう。例えば今回のケースでは、次のような方略を取りがちだ。
「長男くん、君はゲームやスマホをいつも約束通りにやめることができないね。このあいだも動物園に行く約束を破ったじゃないか。このままじゃほんとにダメだよ。だからね、もうゲームもスマホもさせないことにお父さんは決めたよ」
上の発言は、子どもの自尊心を傷つけ、親の側が勝手にペナルティを決め、罰を与えることによって子どもをコントロールしようとしている。やりがちなんだけど、一番やっちゃいけないやつ。えらそうなことを言ってるけど、僕もなんどもこういうのやって失敗し自己嫌悪になってきた。
じゃあ、どうすればいいかってことで、今回試したのは、
- 動物園に行けなくなったことが、お父さん(僕自身)にとってどんなに悲しかったかを伝える
- どうやったらゲームとスマホをやめることができそうか子どもたちの意見を聞く
の2つだった。
1については、みんなで楽しみにしていた動物園を、長男くんがゲームに夢中になり「やっぱり動物園に行かない」と言い出してお父さんはすごく悲しかったということを切々と語った。ポイントとしては、この話を切り出すタイミングだろうか。子どもたちがおやつを食べていて、僕の話に耳を傾けてくれそうなタイミングを見計らって話した。
2については、1を踏まえてお父さんはゲームやスマホをやめたほうがいいと思っているんだけど、みんなはどう思う?って感じで切り出した。決してこちらから解決法を提示しない。
最初、長男は「無理(ゲームもスマホもやめたくない)」を言い続けていたが、4歳の長女が「おもちゃ買ってくれるんならいいよ」と言い出した。これは正直、ぼくは考えもしなかったアイデアで、娘のアイデアに驚きつつ「それはいいね! 長男くんはどう?」と聞いたら「うん、ぼくもおもちゃを買ってもらえるんならやめれる!」と言い出したのだ。
ここで、何度も念を押した。
「大好きなおもちゃを1つずつ買ってもいいけど、それでゲームもiPhoneもできなくなるけど、本当に大丈夫?」
子どもたちは、うん、うん、としきりにうなずいた。この時点では約束を反故にされる不安もかなりあったのだが、子どもたちを信じて試してみるしかないと腹をくくり、その足で近所のおもちゃ屋さんに行った。僕が長男と長女を連れ出しているあいだに、妻がNintendo Switchを片付けた。
本質的な話ではないが、長男が買ったのは、
長女が買ったのは、
この解決法については物で釣っているとも言えて、賛否両論あるだろう。 だが、子どもたちが自分たちで解決法を見出してそれを尊重したという点が重要であると僕は考えている。
で、ゲームとスマホを完全に絶ってから10日ほどが経過したのだが、長男も長女も本当にやめられている。やっぱりゲームやりたいとか、YouTube見たいとか言って、もっと荒れることを想定していたんだけど、そういうことはいっさいなかった。
そして面白いことに、あのときに買ったウーモも、Canバッチgoodも、もう遊んでいないのだ。(出費した側からするともっと遊んでくれよという思いはあるけれど・・・)
で、今現在、子どもたちはなにをやっているかというと、長男はテレビを見ているし、長女は工作やお絵かきなどをしている。なんだ、結局長男はメディアに依存しているじゃないかと言わそうだけど、そして確かにその通りなんだけど、さすがにすべてのメディアを完全に絶つのはハードルが高すぎるし、少なくともうちの長男に関しては、ゲームとスマホに比べるとテレビの中毒症状は低く、決められた時間を比較的守って楽しめている。テレビの合間に別の遊びをするようにもなった。僕としてはこの結果に十分満足している。
最後に、今回の方法がベストとは限らないし、上で紹介したアクティブペアレンティング、と専門書の内容を僕が完全にマスターしているわけではないという点はご了承ください。ただ僕としては満足する結果を得ることができたのでよかったなあと思ってます。
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