生命の環は、動物園であっても、めぐり続ける。
休暇でオランダ、アムステルダムのアルティス動物園を訪れたマックス・クインさんは、誤って池に来てしまったサギを襲うライオンの映像を撮影した。動物園のライオン舎で、大きな雌ライオンが陰から這い出て、水を飲むサギに忍び寄る。気づかれないように少しずつ近づき、サギが振り向くと動きを止める。
その直後、サギが視線をずらすと、ライオンが襲いかかった。サギは羽ばたいて逃げようとしたが、ライオンが捕まえて引き下ろす。サギはあっという間に仕留められ、他の2頭のライオンが飛び出してきた。(参考記事:「【動画】スイギュウが角で! 子ライオンの災難 」)
サギがライオン舎に降り立ったことが、「忍び寄って飛びかかる狩りの引き金になりました」と野生ネコ科動物の保護団体「パンセラ」でライオン保護プログラムの上級ディレクターを務めるポール・ファンストン氏は言う。「これは遺伝子に刻まれた習性なのです」(参考記事:「【動画】チーターvsリカオン集団、獲物の行方は」)
ネコ科動物の本能
ハトが米ニューヨーク市のどこにでもいるように、アムステルダムではサギがどこにでもいる。何百羽ものつがいが群れをなしてアムステルダムに飛んで来て、市場や運河の近くで魚をあさる。
ネコ科動物には、大型でも小型でも、狩りをする本能がある。練習したり教えられたりすることなく、静かに動き、忍び寄り、獲物に襲いかかる方法を知っている。ペットの猫でさえ、こうした見事な技で、鳥やネズミやリスなどの小動物を狩る。(参考記事:「【動画】間一髪!チーターに追われて逃げる家族」)
「こうした技術は、もともとネコ科動物に遺伝的にプログラムされているものですが、時間をかけて磨くものでもあると思います」とファンストン氏は話す。
野生では、子は親の狩りを見る機会がある。野生の大型ネコ科動物が狩りをする際、若い個体の場合には、獲物に気づかれたり、襲いかかるタイミングを間違えたりして、失敗することが時々あると同氏は言う。(参考記事:「【動画】近すぎて怖い 野生のヒョウが目の前に」)
「こうした実際の狩りの細かい技術は、仲間の狩りに参加したり、他のライオンが狩りをしているところを見たりして学びます」と同氏。
この映像のライオンは、今回の狩りの前にどれだけ練習したかはわからないが、本能に従って素早く反応した。その結末は、不幸なサギが二度と飛び立つことはないというものだった。