ロシアで開催中のサッカーワールドカップ(W杯)、日本は予想を上回る活躍ぶりでアジアでは唯一、1次リーグを突破した。
だがある意味、日本を上回る盛り上がりぶりを見せているのが、今回出場していない中国だ。中国のメディアやネットは今回の大会、さらに日本チームの活躍ぶりをどのように見ているのだろうか。
中国メディアの報道によると、今回ロシアW杯には10万人の中国人サポーターがW杯に出かけ、6万枚のチケットが中国人サポーターの手に渡ったという。
国際サッカー連盟(FIFA)の統計では、中国のサッカーファンは3万7000枚を購入したことになっており、多くの人が非正規のルートで手に入れたとみられている。
だが、様々なトラブルも起きているようだ。ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、ロシアメディア、コメルサントの報道として、W杯観戦に訪れた数千もの中国人ファンが、所持していたチケットが偽物と分かり入場できなくなったと伝えた。
さらに5月末に湖北省武漢市からロシアに送られた10万匹の食用ザリガニが“蒸発”するという珍事もあった。
ロシアメディアを引用した中国メディアによると、「W杯応援のため」送ったとされるが、ロシアのレストランやバーでは料理に出されておらず、ロシア人はそもそもロブスターを食べても、ザリガニを食べる習慣はないという。
だが、今回中国人ファンがロシアに大挙して押し寄せたのは、必ずしもサッカー好きという理由だけではないと英紙、インディペンデントは「イングランドのファンよりも多い中国のファン」という見出しで次のように報じている。
今回中国のファンのチケット購入数は前述の通り3万7000枚で、サッカーの中心地で決勝トーナメントに進出したイングランド(3万1000枚)を上回った。
中国はW杯には2002年以降無縁だが、中国国内では自国の代表よりも、ドイツやブラジルなど欧州や南米の強豪チーム、さらにはメッシ(アルゼンチン)、ロナルド(ポルトガル)などスタープレーヤーに人気があり、ロナルドは微博で180万人のフォロワーがいるという。
そして今回ロシアを訪れている中国のファンの多くはスーパー富裕層ではなく、急速に増加している中産階層だという。彼らは自分たちの社会的イメージを高めることに関心が高く、そのため海外旅行など人目につくことにお金を使おうとする傾向がある、としている。
同紙は、ワールドカップはこうして中国の豊かになりつつある中間階層の増加を物語っており、世界最大で最良のサッカーイベントに熱心に関わることで、自分の社会的なステータスを示すのが目的だという。
そのため彼らは(他国のサポーターのように)ロシアの広場で豪快に酒を飲んだり、他国のサポーターと暴力沙汰を起こしたりはせず、試合が行われている時でもショッピングやグルメに夢中になっている、と伝えている。