この記事は エンジニアリング部門副社長、Dave Burke による Android Developers Blog の記事 "Android P Beta 2 and final APIs!" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。

Android P ロゴ

5 月に開催された Google I/O で、Android P の最初のベータ版を発表しました。Android P では、オペレーティング システムのコアに AI が実装されており、インテリジェントかつシンプルな体験の提供に重点が置かれています。

基調講演で Android のいくつかの最新機能について説明したほか、ブレークアウト セッションでは、デベロッパー API について詳しく説明しました。ライブストリーミングを見逃した方は、Android に関する発表のすべてのプレイリストを確認してください。

本日(*原文公開当時)、Android P ベータ版 2 を発表します。このアップデートには、最終版の Android P API、最新のシステム イメージ、アップデートされたデベロッパー ツールが含まれているので、今夏の終わり頃に予定されている正式リリースに向けて準備することができます。

こちらから登録して、Pixel 端末で Android P ベータ版 2 を使用できます。既に登録済みで、Pixel 端末で Android P ベータ版 1 を使用している場合は、ベータ版 2 へのアップデートを自動的に取得できます。Android P ベータ版プログラムに参加しているパートナーは、今後数週間で端末がアップデートされる予定です。

Android P の機能と API を使用してアプリを強化する


Android P ベータ版 2 は近々登場する Android P プラットフォームの最新のアップデートであり、最終版の API(API レベル 28)に加えて、正式な SDK が含まれています。すぐに Android P の機能と API を使用してビルドを開始できます。試していただきたい機能を次に紹介します。詳細は、機能の概要をご覧ください。

コアに実装された機械学習


アダプティブ バッテリーのイメージ

DeepMind と連携して、アダプティブ バッテリーと呼ばれる機能を組み込んでいます。この機能により、機械学習を通じて、ユーザーが最も重視しているアプリのシステム リソースが優先されるようになります。アプリが Dozeアプリ スタンバイバックグラウンド制限に対して最適化されている場合、アダプティブ バッテリーはそのままで適切に機能します。電力管理に関するドキュメントの詳細を確認して、電力管理の仕組みと影響を受ける可能性のある機能を把握するとともに、アプリをテストして準備を整えてください。

アプリ アクションはアプリの視認性を引き上げる新しい方法で、エンゲージメントの向上に役立ちます。この方法は、Android 端末上での機械学習を活用して、アプリのセマンティック インテントとユーザーのコンテキストに基づいて、適切なタイミングでアプリをユーザーに表示できるようにします。アプリ アクションは Android P と以前のバージョンのプラットフォームで動作し、間もなく使用を開始できるようになります。アプリ アクションが利用可能なったときに通知を受け取るには、こちらからお申し込みください。

Slices は、Google 検索やアシスタントのように、テンプレート化された豊富なコンテンツを表示する新たな方法です。Slices はインタラクティブな機能であり、Android Jetpack を通じて、KitKat 以降のバージョンとの互換性を確保することができます。Slices を使ってビルドする方法については、スタートガイドをご覧ください。SliceViewer ツールを使用して、Slices の仕組みを確認することができます。他のアプリでのリモート ディスプレイなど、Slices を表示できる場所を徐々に増やしていく予定です。

洗練されたシンプルさ


Android P では、切り欠きがある画面のプラットフォーム サポートが追加されているほか、最新の画面いっぱいに広がる魅力的なエクスペリエンスを提供できるようにする新しい API が搭載されています。アプリでの切り欠きのサポートはシームレスに行われます。つまり、システムがステータスバーの高さを管理して、アプリのコンテンツを切り欠きから分離してくれます。没入型コンテンツを提供するアプリでは、ディスプレイの切り欠き API を使用して、切り欠きの位置と形状を確認したり、その周囲に広がる全画面レイアウトをリクエストしたりできます。

すべてのデベロッパーはドキュメントを読んで、切り欠き領域を管理して、アプリに影響を及ぼす可能性のある一般的な互換性の問題を回避する方法を理解する必要があります。Android P ベータ版端末など、ディスプレイの切り欠きがある端末でアプリを必ずテストしてください。

没入型コンテンツが表示されているディスプレイ。
没入型コンテンツを提供するアプリでは、ディスプレイの切り欠きがある端末でも全画面表示が可能です。

アプリで SMS 通知を使用している場合、通知をさらに便利かつ実用的にする MessagingStyle の変更点を活用してください。会話を表示したり、写真やステッカーを貼り付けたり、スマート リプライを提案できるようになりました。間もなく ML Kit を使用して、アプリでスマート リプライの提案を生成できるようになります。
MessagingStyle 通知 MessagingStyle 通知
MessagingStyle 通知では、会話やスマート リプライを表示したり [左]、画像やステッカーを貼り付けることができます [右]。

セキュリティ



購入を確認するアイコン認証にさまざまなバイオメトリック センサーが使用されるようになっていますが、Google では、センサーのタイプとアプリを横断してエクスペリエンスの一貫性を向上させています。Android P には、サポートされるタイプのバイオメトリック認証をユーザーに求める、システム管理ダイアログが導入されています。アプリ独自のダイアログをビルドする必要がなくなりました。代わりに BiometricPrompt API を使用すると、標準のシステム ダイアログが表示されます。この API では、指紋認証センサー(ディスプレイ内センサーを含む)に加えて、顔および虹彩認証がサポートされます。

アプリで独自の指紋認証ダイアログを描画している場合、できるだけ速やかに BiometricPrompt API の使用に切り替える必要があります。

その他


アプリで端末のカメラを使用している場合は、複数の物理カメラのストリームに同時にアクセスできるようにする新しいマルチカメラ API を試してみてください。デュアルカメラが搭載されている端末では、シームレスなズーム、ぼかし、立体視など、単一のカメラでは実現できない画期的な機能を実現できます。デュアルカメラが搭載された Android P ベータ版端末を使用して、すぐにこれらの機能を導入できます。

オーディオ アプリでは、Dynamics Processing API を使用してマルチステージかつマルチバンドの Dynamics Processing エフェクトにアクセスし、Android 端末で再生されるオーディオを調整して、リスナーの好みや周囲の環境に合わせてオーディを最適化できます。 Dynamics Processing API 新しい機能と API の全リストについては、Android P の機能の概要をご覧ください。 

対応を開始するためのシンプルな数ステップ


Android Virtual Device

最初に、アプリの互換性を確保し、ユーザーがシームレスに Android P に移行できるようにします。Android P ベータ版端末エミュレータに、Google Play にある現在のアプリをインストールし、テストします。アプリは正しく表示および実行され、すべてのアプリに対する Android P の動作の変更点に問題なく対処できる必要があります。必要なアップデートを終えた後は、アプリのプラットフォームのターゲットを変更せず、すぐに Google Play で公開することをおすすめします。

サポート対象の端末がない場合は、テスト環境として、Android Emulator で Android Virtual Device をセットアップできます。最近試していないという方は、エミュレータが信じられないほど高速になっていることに気づくはずです。6 秒未満で起動し、長い画面や切り欠きがある画面といった次世代の画面まで試すことができます。

次に、できるだけ早くアプリの targetSdkVersion を 28 にアップデートして、Android P でアプリを使用するユーザーがこのプラットフォームの最新のセキュリティ、パフォーマンス、安定性機能の恩恵を受けられるようにしてください。間もなく適用される Google Play のポリシーに即して、アプリが既に API 26 以降を対象としている場合は、28 を対象とするように簡単に変更できます。

また、非 SDK インターフェースの使用に関してアプリをテストして、これらのインターフェースへの依存を削減することが重要です。以前説明したように、Android P より、一部の非 SDK インターフェースへのアクセスを制限するプロセスを徐々に開始します。制限される非 SDK インターフェースの直接的な使用をハイライト表示する logcat の警告を監視し、プログラムでアクセスを捕捉する新しい StrictMode メソッド detectNonSdkApiUsage() を試してみてください。可能であれば、Android SDK または NDK が提供する同等なパブリック API の使用に移行する必要があります。ユースケースに適合するパブリック API がない場合は、ご連絡ください

準備ができたら、Android P に移行して新機能と API について学習し、アプリを拡張してください。新しい API を使ってビルドするには、正式な API 28 SDK とツールを Android Studio 3.1 にダウンロードするか、最新版の Android Studio 3.2 を使用してください。その後、プロジェクトの compileSdkVersion と targetSdkVersion を API 28 にアップデートします。

詳細とドキュメントについては、デベロッパー プレビュー サイトをご覧ください。また、デベロッパー向けに Android P の新機能を解説したこちらの動画Google I/O Android プレイリストをご覧ください。

Google Play のアルファ版、ベータ版、または製品版のチャンネルに公開する


本日から、API 28 でコンパイルした、またはオプションで API 28 を対象とする APK アップデートを公開できます。プレビュー期間中にアップデートを Google Play に公開すると、ユーザーにアップデートをプッシュして、Android P ベータ版 2 を実行している端末を含む、既存の端末で互換性をテストすることができます。

アップデートしたアプリが Android P だけでなく旧バージョンでも動作することを確かめるには、通常、Google Play のベータ版テスト機能を使って、Android P ベータ版 2 のユーザーを含む少人数のユーザーから初期段階でのフィードバックを入手します。その後、製品版への段階的ロールアウトを実施します。

Android P ベータ版 2 を入手する方法


Pixel 端末の場合、端末を Android ベータ版プログラムに登録すると、Android P ベータ版 2 へのアップデートを OTA で自動的に受け取ることができます。既に登録していて、ベータ版 1 を受け取っている場合は、間もなくアップデートが送信されます。Android P ベータ版プログラムに参加しているパートナーは、今後数週間で端末がアップデートされる予定です。

パートナーが提供するサポート対象の端末と Pixel 端末の全リストは、android.com/beta で確認できます。各端末の仕様が記載されているほか、ダウンロード、サポート、問題の報告が行えるメーカーの専用サイトへのリンクが提供されています。

いつもフィードバックにご協力いただき、ありがとうございます。今夏の終わり頃に予定している正式リリースに向けて努力してまいりますので、今後もフィードバックやリクエストをお寄せください。プラットフォームの問題アプリの互換性の問題サードパーティ SDK の問題がありましたら、ホットリストを自由にお使いください。

Android P に対応した皆さんのアプリを楽しみにしています。



Reviewed by Takeshi Hagikura - Developer Relations Team