特集

「インターンシップカンファレンス」レポート


「現場志向」「独自性」 大学生がインターンに求めるポイントとは?

2018年5月14日、さまざまなコンテンツを通じ「インターンシップについて考える場」として、「インターンシップカンファレンス」が開催された。

また、「現役学生はインターンシップに何を求め、どう考えているのか」という観点で、現役学生によるパネルディスカッションも行われた。今回は、彼らによる議論の様子をレポートする。学生の忌憚なき意見は、企業が自社のインターンプログラムを考える上で、非常に参考になるものとなっている。

パネリスト

東京理科大学 大学院 理学研究科 化学専攻 修士2年 海東 彩加さん
慶應義塾大学 理工学部 管理工学科4年 齋藤 成志さん
法政大学 経済学部 経済学科3年 木村 彰吾さん
慶應義塾大学 法学部 法律学科2年 亀里 千佳さん

モデレータ

株式会社マイナビ社長室 HRリサーチ部部長 栗田卓也氏

学生がインターンに求める3つのポイント

まずは、メンバー4人が共通してインターンに求める3つのポイントについてディスカッションした。今の学生は、「現場志向」と「独自性」を求める傾向にあるようだ。

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1.フィードバックの質と量

参加メンバー全員がインターンにおいて最も重視しているのは、企業からの「フィードバック」であるという。学生にとって、社会人から直接フィードバックをもらう機会はとても貴重であり、それが自分の成長に繋がると考えるため、重視されているようだ。

また、そのフィードバックの方法についても意見が寄せられた。亀里さんは、適切なフィードバックの質と量について語った。質の部分では、「現場の社員と同じくらいにシビアな評価をしてほしい」「ひとりひとりに対して密度の高いものがほしい」と語り、量は多すぎても不適切で、学生が自分で考えられる余地を与えてほしいとの要望を語った。

海東さんは「丁寧なフィードバック」がほしいという。ここでいう「丁寧」とは、良いところも悪いところも全て伝えてくれるという意味であり、「学生フィルター」を掛けずに正直な意見を伝えてほしいと語った。

2.「現場体験」の充実度

次に重視されているのは、「現場体験の充実度」だ。

齋藤さんは、インターンは「学生と企業のよりよいマッチングのために行われるもの」であるとした上で、そのマッチングを図るために、なるべく現場に近いところを見せた方が効率がいいと語った。そうした方が、学生側はインターンを受ける会社のよりリアルな実態を知ることができ、企業側も、学生が実際に現場で成果を出せるのかどうかを見極めることができるはずだという。

また、木村さんは、学生にその会社で働くことの具体的なイメージ付けができるため、入社後のギャップが生じにくく離職率の低下にも繋がると語った。また、アルバイト感覚でインターンに参加する学生もいる中で、より現場に近い業務を行うことにより、緊張感を失わず取り組むことができるのではないかと語った。

3.インターン内容のオリジナル性

そして3つ目に重視されているのが、インターンの「オリジナル性」である。

海東さんは、普遍的なインターンの内容だと、その企業や業務に対してのイメージが付きにくいため、それぞれの会社のカラーを出してほしいという。例えば、自社商品を扱ったものや、地方の企業であれば、その地域に根ざした課題解決のようなプログラムであれば特色が出て面白いと語った。

フレキシブルなインターン内容が求められる

ここからは更に、個人ごとに今のインターンに対する要望についてそれぞれ違った視点から語られたが、いずれも、「学生のインターン参加機会を増やしてほしい」という要望が表れていた。

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プログラムの細分化により、あらゆる学生に参加機会を

齋藤さんは、募集の門戸が広く、あらゆる学生に参加機会が与えられているかどうか、という観点が大事だという。

また、「多くの学生を同一のプログラムに参加させるインターンシップと、少人数だが複数のプログラムから選択できるインターンではどちらが良いか」という栗田氏からの問いかけに対して、「両方を優先したい」と答えた。その実現策として、今あるインターンのプログラムを細分化する方法を提案した。営業、プログラミング、といったフェーズごとに区切ることで、企業側の既存の体制を変えずに対象人数を増やすことができると語った。

学年不問×短期間のインターンで、より多くの企業を経験

木村さんは、インターンの事前選考について、通常の就活と同様のプロセスではなく、「その企業に対する理解度」という観点から判断してほしいと語る。

また、学年不問のインターンを実施してほしいという。その理由として、一般的にインターンは3年生が対象のものが多いのだが、今の就活スケジュールでは、3年生のうちだけでは参加できるインターンが限られてしまうことを挙げた。数社のみのインターン経験を元に就活を行うのはリスキーだと語り、低学年でも参加でき、かつ、より多くの企業を経験できるよう短期間でのインターンが増えて欲しいと語った。

拘束時間による機会損失を避ける

亀里さんは、インターンの報酬を高単価なものにしたほうがよいのではと語る。労働単価が低いインターンだと、高時給のアルバイトと比較され、学生がインターンの参加を渋るケースがあるという。そのため、無償のインターンは余計に選択されづらいそうだ。そのため、一般のバイトよりも高単価な報酬にすることで、企業としても幅広い人材を募集できるのではないかと語った。

また、インターンの拘束時間の長さについても言及した。必修科目や課題が多いことが要因で、インターンに参加できない学生がいるという。そのため、より多くの学生が参加できるよう、よりフレキシブルな時間設定をしてほしいと語った。

今後のインターンシップに対する提言

最後に、4人それぞれに今後のインターンについての意見を伺った。

中長期間の取り組みが学生を成長させる

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齋藤さんは、中長期のインターンを増やしてほしいと語った。短期のインターンでは学べるものが少ないとし、中長期間で色んな仕事を経験でき、自らPDCAを実行する時間が与えられることで、成長に繋がるという。

また、亀里さんと同様に、高単価のバイトとインターンを比較する学生がいることを懸念し、インターンでは報酬を出してほしいと語った。

大学とインターンの意義を再認識したい

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木村さんは、低学年向けの短期インターンの増加と共に、上級生向けの中長期インターンの増加も望んでいるという。齋藤さんが語ったような、学生のニーズを満たしてくれる内容のインターンが増えてほしいと語る。

また、大学についても言及した。売り手市場の現在、学生の中で「どこかしらの企業には入れる」といった認識が蔓延しているという。そのため、学生の中で大学の存在意義が薄れ始め、学外の活動に力を入れる学生が増えたと語る。そのため、今大学で学んでいることがどう社会的に繋がっていくのかを学生に伝え、魅力的な講義を展開するべきだと語った。そうすれば、学生が自ずとインターンの意義を認識できるという。

インターン内容の事前告知が参加の後押しに

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亀里さんは、低学年ならではの視点で、インターンの内容を事前に具体的に知りたいと提言する。

高校生から大学生になった途端、選択肢が大幅に広がり、何に時間をかければいいか分からないのが実情だ。もちろんインターンもその選択肢のうちに入るのだが、具体的にどんな経験が出来るかが把握できないと、参加に踏み出せないという。

企業による、学生が将来を考えるきっかけ作りを

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海東さんは、高校生の頃からインターンに参加できるのが理想ではないかと語る。就活生になった途端、周りの学生がみな黒髪・スーツの同一の格好になり、自分の将来を考える暇もなく、周りに乗り遅れないよう就活の波に乗ろうとする現状に違和感を覚えるという。

もちろん学生側の変化が必要なのだが、企業側にも、学生が将来を考えるきっかけ作りを支援してほしいと語った。

インターンシップカンファレンス概要

・会  場:日経ホール(東京都千代田区大手町1-3-7 日経ビル3階)
・開催日時:2018年5月14日(月)13:00~17:00
・参 加 費 :無料
・主  催:「学生が選ぶインターンシップアワード」実行委員会
・後  援:経済産業省/厚生労働省/文部科学省/日本経済団体連合会/日本経済新聞社/マイナビ
・イベント当日の様子はこちら:https://internship-award.jp/

【文:@人事編集部】

【編集部より】
インターンシップに関する、これまでの記事はこちら。

大学生の、就活に対するリアルな意見を知りたい方はこちら。

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