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「ダボス会議」などを主催する国際機関の世界経済フォーラム(WEF)は2018年7月2日、都内に「第四次産業革命日本センター」を開設した。
須賀千鶴センター長は「第四次産業革命を象徴するAI(人工知能)の発達は世界的には雇用を奪うものだと思われている。ところが、少子高齢化による人手不足が深刻な日本は、AIを含む技術の成果を早く取り込む必要がある世界的にも珍しい国だ。その日本から世界にメッセージを発信し、リーダーシップを取れるようにしたい」と意気込みを述べた。
第四次産業革命日本センターは、政府機関と企業が連携し、AIやIoT(インターネット・オブ・シングズ)などが産業構造の変化をもたらす「第四次産業革命」にまつわる課題の克服に取り組む。日本センターはプライバシー保護などの「データ政策」、自動運転などの「モビリティー」、データに基づく精密な医療などの「ヘルスケア」の3つを注力分野に選定。必要な規制や技術活用のあり方を提案する。
日本センターは、WEFと経済産業省、シンクタンクであるアジア・パシフィック・イニシアティブの3者が連携して設立した。須賀センター長は2003年に経産省に入り、途上国支援やベンチャー政策などを担当してきた。2018年7月から日本センターに出向する形でセンター長の業務に専念する。日立製作所やSOMPOホールディングスなどのスポンサー企業が運営資金を拠出する。
設立記念レセプションでは、安倍晋三首相がビデオメッセージを寄せて「第四次産業革命は日本にとってチャンス。政府も日本センターの活動成果を生かしながら、古い20世紀型の規制を変えていきたい」と述べた。
世耕弘成経産相は「第四次産業革命はかつてのIT革命とは違うものだ。少数のプラットフォーマーがデータや利益を独占するのではなく、国民1人ひとりがメリットを享受できるようなルール作りが必要だ。そのために経産省も全面的に協力していく」と話した。
日本経団連の中西宏明会長(日立取締役会長)と、経済同友会の小林喜光代表幹事(三菱ケミカルホールディングス取締役会長)もあいさつし、経済界として新センターの活動を支援していく方針を示した。