ヒョウは大部分の時間を単独で過ごし、ほかの個体と何かを共有することはほとんどないと考えられている。縄張りや餌はもちろん、交尾の相手も例外ではない。ところが、南アフリカの動物保護区で、ヒョウのオスが2頭のメスと交尾している姿が動画に収められた。
ネコ科動物の保護団体「パンセラ」の研究者で、最高保護責任者を務めるルーク・ハンター氏は「とても珍しい光景です」と感想を述べている。「2頭のオスが発情期のメスヒョウと交尾する姿を見たことはありますが、その逆は知りません」
この異常な光景が目撃されたのは、クルーガー国立公園に隣接するロンドロジー動物保護区。ガイドたちは一帯に暮らすヒョウをすべて把握しており、2頭のメスは3歳違いの姉妹だと説明している。
ハンター氏は第三者の立場で、「2頭は血縁関係で、明らかに互いを知っているため、何かを共有することに耐えられるのでしょう」と分析する。「もし縄張り争いをしている無関係なメス同士だったら、大変なことになっていたと思います」(参考記事:「衝撃、ヒョウの共食いを撮影、南アフリカ」)
単独行動のヒョウがなぜ?
ロンドロジーのガイド、リチャード・ラバーン氏によれば、動画を撮影する前の数日間、ヒョウの姉が縄張りにしているエリアの隅で、同じオスが妹と交尾していたという。ヒョウの交尾は「騒がしいものです」とラバーン氏は話す。遠くにいたガイドたちにも聞こえるほどで、姉もそれに引き寄せられた可能性が高い。
ライオンのメスは同時に発情期を迎える傾向にあるが、ヒョウの場合は違う。おそらく姉妹は偶然、同じタイミングでオスを受け入れる準備が整ったのだろう。
ヒョウは成熟すると、両親の縄張りを離れ、最終的に自分の縄張りを見つける。自分だけのスペースを作り上げると、そこにとどまり続ける傾向にあり、ほかの個体と接触するのは縄張りの境界くらいだと、ラバーン氏は説明する。(参考記事:「【動画】激闘!ヒョウ vs 巨大ニシキヘビ」)