ウォール街のAI導入の波、BofAの為替調査に変化もたらす

  • 調査がコモディティー化される中、BofAは機械学習に目を向ける
  • AI熱が高まっているものの、大半の銀行ではまだ本格導入に至らず

Bank of America automatic teller machines (ATM) inside a bank branch in New York City, New York.

Photographer: Daniel Tepper / Bloomberg

米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、人工知能(AI)導入の波に乗りつつある。

  BofAの為替ストラテジストらは、顧客に売買に関する助言を行う目的で初めて機械学習プログラムを利用している。このプログラムを利用すると、大量のデータを分析して推論を引き出し独自の予測が可能になる。イタリアを巡る政治的不透明感の高まりで金融市場が混乱し、欧州で他にも危機が存在するとの懸念が強まる中、同行は5月にAIに基づく調査を開始した。

  むろん、こうした一見ハイレベルな分析は全く新しいというわけではない。クオンツファンドは長年、機械学習を利用している。しかし、ウォール街の調査がますますコモディティー化される局面で、BofAが、金融業界で最も話題となっているトレンドの一つをフル活用しようとする理由を理解するのは難しいことではない。

  BofAのAIに基づく調査リポートを執筆した為替ストラテジスト、アリス・レング氏は「為替市場の性質から考えて、過去のデータから学ぶのは困難」なので、代替データと機械学習によって「われわれは新領域を切り開こうとしている」と述べた。

  公表した為替調査リポートで機械学習モデルで得られた分析結果を組み込んだのは、大手米銀3行のうちBofAが初めて。JPモルガンの為替調査チームは、機械学習アプリケーションについて調査したことがあるが、それを利用したリポートは発表していない。ウェルズ・ファーゴは、同行の専門分野であることなどを理由に、為替戦略に対するファンダメンタルな経済的アプローチを好むとの見解を示している。

機械学習

  今回の最初の調査で、BofAの機械学習アルゴリズムは、政府支出や消費者信頼感などのファンダメンタルな調査データが、ユーロ・ドルという二つの通貨のパフォーマンスをどう決定付けるかを分析。調査チームは、機械が情報処理方法の訓練を受ける教師付き学習と、分類指針が与えられない教師無し学習の両方を利用した。

  AI熱が高まっているものの、大半の銀行は依然として本格的な導入には至っていない。昨秋「デジタル・バンキング・リポート」を発行したジム・マラウス氏によれば、金融機関の大部分は何らかの形で機械学習を利用しているが、「不正行為やリスク、コンプライアンス(法令順守)」に関連する分野以外で利用していると回答したのは20%に満たなかった。
原題:AI Invasion of Wall Street Is Reshaping BofA’s Currency Research(抜粋)

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