プロローグ
初投稿です。まだまだ文章力が拙いので、感想欄でアドバイスなどよろしくお願いします。
おかしい。
たしか、俺ん家の寝室の天井は、真っ白なクロス張りだったはずだ。
それがどうだ。
目を覚ましてみれば、そこには木の天井。
毎朝、いつも天井の右上に見えてたはずの蛍光灯のヒモはない。
代わりにその位置の天井にフックが取り付けられている。何かを引っ掛けて使うんだろうか。
とりあえず、これだけの情報でここが俺の部屋ではないこと。そして、何かが起こっていると悟った。
「……っし」
ベッドを軋ませて起き上がり、部屋全体を見渡す。
床は石を敷き詰めた、いかにも土足OKって感じで、壁は一部がレンガだったり、木だったりする。
日本じゃないみたいだ。洋風建築で、なんだか某テーマパークのヨーロッパ風の街並みにありそうな感じ。
しかし……部屋がとっても広い。
家具は高級感のある木の机と背もたれのない椅子みたいなのと……あと俺が寝てるベッドか、それしかないようだ。
床に映えた赤いカーペットがシックな雰囲気を演出している。
どこだよここ。昨日はちゃんと家の布団で寝たはずなのになぁ。
しかも今日はよりによって楽しみにしてた高校の文化祭。この状態をどうにかしないと……。
「あ」
何やらさっきから背中がもぞもぞするなと思ったら、知らない服を着ていたからか。
もしかして着替えさせられてんのか?
かなりオシャレな服だが、サイズが俺には小さいかも。左の脇が擦れて痛いぞ。
あ、誘拐された可能性は?……無いな、却下。
俺みたいなやつを攫う物好きは恐らくこの世にはいない。
そういえば、入口のドアが、かなりでかい。
重厚でアンティークな木のドアで、洋館にありそうな感じ。
日本の建築じゃあ、あまり見ないタイプだ。
ドアをぼーっと見詰めてたら、急に開いた。外開きのドアだ。
「ぅゎ……」
少々ビビった。これはどういうことだ。
入ってきた瞳の青いおばさんは鼻が高く、彫りの深い顔立ちの、外国人であった。
恐らく年齢は50代くらい。
手にはコップの乗ったプレートを持っている。
「ああ、目覚めてたのね」
いったい、どういう経緯で外国人が登場するのだろうか。
いくら洋館だからといって、これは想定外だ。
というかこの人、かなり流暢な日本語を喋っている。
ちょっと安心。
「大丈夫ー?調子は?頭痛くない?だるくない?あ、気持ち悪かったりしたら遠慮せず言ってもいいのよ?」
「まぁ、大丈夫です」
「それはよかったよー。いびきをかかないで寝てたから、一時はどうなることかと。とりあえず助かってよかったホントに。ねぇ、具合悪くない?」
ちょっとお節介な感じの人だけど、優しそうだ。
ところで、いびきをかかないとなにか問題あるのか?
「えぇ、本当に、大丈夫ですから」
彼女は部屋の隅にあった椅子をこちらに運びながら、
「完全に回復したみたいね。よかったわ。はい、これ、ナバシのジュース。喉乾いたでしょう?」
と、運んだ椅子にコップを置いた。
「ん、なばし?」
聞きなれない単語だな。
「そうよ、ナバシは身体にいいのよ?」
「なばし……」
なんだそれは???
「ははっナバシを知らないの?ほら果物の」
おばさんは笑ってるけど俺は何のことかサッパリ。
「知らない……ですね」
とりあえずコップを手に取る。中に入っている液体は薄い桃色をしている。
見ず知らずの液体なので、少しためらったが、いい匂いがしたのでちょっと飲んでみる。
ブドウっぽいけどブドウじゃない。例えるなら四谷グレープサイダーの気が抜けたみたいな味。
でも、もっと果汁っぽくて、ジューシーで、とっても美味しい。
「え、ほんとーに?あなた、どこから来たの?出身の国は?」
「えっと、日本ですが……」
「どこよ??」
聞こえなかったらしいので、もう少し大きな声で言い直す。
「日本です」
「ごめんなさい、わからないわ」
こんなことがあるのか。おかしいぞ。
「え、じゃあ、今あなたが話してる言葉は?」
「え、スタンダルド語じゃなくって?」
「スタン……」
このおばさん、俺を……
「からかってます?」
「何がよ」
やばい、これはホントにやばい。
おかしい……朝起きた時から何かがおかしい。
もしかして……もしかするとだ!つまり……
「じゃあこの国の、俺たちが今いる今ここ!この国の名前は!?」
冷や汗が出てきた。
背中に冷たいものが走るのを感じた。
この間が妙に長かったのは気のせいだろうか。
「あなたさっきからおかしいわ。頭を強く打ったのかしらね……。
この国の名前は【ディヴァー王国】よ」
おいおい。
……まさかとは思ったよ、俺だって。
でも、ありえない話だから、思いついた瞬間に取り消した考えだ。
でも、でも……。
「く……」
ベッドを大きく揺らし、勢いよく跳ね起きるなり、窓へ飛びついた。
「なに?外を見たいの?だったらこっちよ」
ガチャっっ
「!?」