(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年6月29日付)
英スコットランドのグラスゴー市内を行進する独立支持派の市民ら(2018年5月5日撮影)。(c)AFP PHOTO/ Andy Buchanan〔AFPBB News〕
テリーザ・メイ首相の率いる英政府は降伏による交渉術を完成させた。
ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)を決めた国民投票から2年を経て、大胆な要求とそっけない拒絶、そして屈辱的な退却というパターンが惨めになるほどお馴染みになっている。
終盤になってこのパターンが変化を見せると考えさせる材料はない。首相はディール(取引)を望んでおり、英国には是が非でもディールが必要だ。従って、この取引は相手方の示す条件通りに決まることになる。
その結果実現するブレグジットは、誰も満足しないものになるだろう。
閣僚は目をつぶって肩をすくめ、よろよろと前に進むことができるが、それ以外の者は全員、行く手に待ち受けるのが荒野であり、大きな岩がごろごろしていることを承知しておくべきだ。
「アウト・バット・イン(外にいるのに内にいる)」というブレグジットでは、英国は弱く、貧しく、軽んじられる国になる。
交渉に携わっているホワイトホール(ロンドン官庁街)の俊英たちの間では絶望から辞職までの距離がゼロに等しいほど短くなった。
ただし、選択肢はもう一つある。いったん立ち止まって考え直してみる、という選択肢だ。
離脱派が嘘をついていたことは、すでに暴かれている。