【放送芸能】戦争の悲惨さ、日常の大切さ TBSドラマ「この世界の片隅に」 ヒロインすず役・松本穂香戦時下の広島県を舞台にしたTBSドラマ「この世界の片隅に」(日曜午後九時)が七月十五日から放送される。ヒロインすず役を演じるのは、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(二〇一七年)で注目された女優松本穂香(ほのか)(21)。「苦しいときでも明るく生きる、すずを通して元気を与えたい」と語る。 (砂上麻子) 「この世界-」は、漫画家こうの史代の同名漫画が原作で、二〇一六年公開のアニメ映画が大ヒットした。軍港を臨む広島・呉に嫁いだヒロインすずや家族の日常を通して、かけがえのない日々を描く。 松本はオーディションで三千人の中から選ばれた。すず役に決まった時は「ヒロインのタイプではないと思っていたので、うれしいというより正直、ポカーンとして、信じられなかった」と振り返る。 あらためて原作を読み返した。「戦時中というと、別世界のような感じがしていましたが、日常の大切さが描かれていて時代を感じさせない。すずさんのように明るく前向きに精いっぱい楽しんで頑張りたい」と意気込む。 作品の舞台となった呉市や広島市を訪ね、原爆ドームで戦争の悲惨さを痛感したという。「(夫役の)松坂桃李さんも言ってましたが、私たちが忘れないことが大事なんだと思います」 脚本は「ひよっこ」の岡田恵和(よしかず)が手がける。岡田からは「また一緒に頑張ろうな」と声をかけてもらい、心強かったという。「『ひよっこ』で澄子というステキな役をもらった。一つの役を長期間演じたことは初めてで、女優として大きな経験になった」 ゴールデンタイム(午後七~十時)のドラマのヒロインは、これまでとは違うプレッシャーもある。「電車に乗っていても、周りの人がドラマを見てくれるかなと考えるようになった」と意識の変化を語る。「先輩の女優さんもこういう経験を乗り越えてきたのだと思うので、頑張ろうと思います」とたくましさをのぞかせた。
|