証券マンはプロフェッショナルだが
証券マンはプロフェッショナルです。私も知人に何人かいますが、総じて投資に対して抵抗は無く、合理的な判断をします。やはり、株は株屋という言葉の通り、知識が豊富です。また、社内研修も含めてよく研究しています。
対面証券で会う証券マンはざっくりと2つのタイプに分かれる気がします。
- 顧客のことを考えて商品提案をしてくるタイプ
- 自分のことを考えて商品提案をしてくるタイプ
知識のない証券マンはあまりいないのですが、知識の生かし方が分かれるということです。
顧客のことを考えて商品提案をしてくるタイプの証券マンがいます。インデックス投信や米国株ETFをオススメする証券マンです。たまに個別株の話もしますが、非常に的確で、トレンドを押さえています。
他方、全く自分のことしか考えていない証券マンもいます。手数料が大きくとれる所品ばかり売りつけてくる証券マンです。大口だとIPOを紹介してくれるなどそれなりのメリットもあるかもしれませんが、数百万、数千万の規模ではお話にならないのでしょう。そのため、持続不可能なその場の手数料ビジネスに徹している人もいます。
いずれの場合もプロフェッショナルです。前者は資産形成のアドバイスをするプロであり、後者は高単価の商品を販売するプロです。担当が後者だった場合、後の祭りとなるわけです。
日本における投資と言うのは、全く知識がないと食い物にされるケースが多々あります。それは株式の世界に限らず、不動産もそうでしょう。
どの世界においても、自分なりに絵を描き、「こういう絵を描きたいからこういう画材を買う」というビジョンが必要です。ビジョンを持たずにいきなり対面証券に行って、「何を買えば良いですか?」とコンサルを求める。これがいかに危険かということです。
そういう意味では、ネット証券というのは安心感がありますが、ある程度の知識が無いと生かせないのも事実です。そのために私たちは書籍やネットで情報を得て、さらにそれを練らなくてはいけません。
さて、今回は証券マンの言うことを聞いて500万円損をしたという方のご質問を紹介します。
証券マンの言うことを聞いて500万円損した
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58歳で介護のため早期退職し、退職金と貯蓄を証券会社で運用しています。現在証券マンにすすめられた以下の商品を保有しています。
- 高成長インド・中型株式ファンド
- PIMC世界インカムファンド
- 米国利回り社債投信Bコース
- ロイズバンクピーエルシー新興国通貨建て債券
- アジア開発銀行トルコリラ建債券保有。
現在520万の損失です。自己責任です。が、立て直したいのでいろいろ調べていたらここにたどり着きました。損切りでまず10年米国債を考えています。
シェアーズ 米国優先株式ETF(PFF)も候補です。年金はまだでませんので月々収入が得られればと思います。なにかアドバイスありましたらよろしくお願いいたします。
投資に関しては勉強できていなくて初心者です。
このまま資金へらしたくないと思い踏み出しました。でもなにから手をつけてよいかわからない状態です。
今後、どのように投資をしていくか
なかなか取り扱いの難しい商品群が並びますね。投資初心者が手を出して何とかなるようなものではなく、いまだにこんな商品を窓口では買わせているということですね。
ざっくりと解説を加えていきます。
高成長インド・中型株式ファンド
インドは悪くないのですが、投資先としては実はクセがあります。株式指数であるSENSEXは大変高パフォーマンスですが、ETFや投資信託レベルになるとそこまでの恩恵がない、上手にトラッキングしている商品が少ない印象です。
国の成長が素直に商品の成長にならない好例です。また、こちらの商品は購入時に3.5%、信託報酬などのコストで2%弱かかり続けます。さらに、下記の文言があります。
※ファンドの費用(手数料等)の合計額、その上限額、計算方法等は、投資者の保有期間に応じて異なる等の理由により、あらかじめ具体的に記載することはできません。
こうしたもろもろの事情により、「隠れコスト」が発生します。私はこういう隠れコストが発生する商品は買わなくて良いと思います。バンガードやブラックロックのETFはこういう謎のコストの話をしないですよね。
PIMCO世界インカムファンド
債券などを中心に高インカム商品に投資します。信託報酬は約1%です。債券投資をする、ということでしたら他にも選択肢がありますね。
米国利回り社債投信Bコース
信託報酬は1%後半ですね。ハイイールド債などにも投資しているので、債券投資の割にはボラティリティが高いです。リターンは10年で1.9倍、まずまずです。
ロイズバンクピーエルシー新興国通貨建て債券
このシリーズも各社から販売されていますが、新興国通貨が軟調なので直近は厳しいですね。新興国通貨は難しいですよ。
FXスワップもそうですがインフレ減価前提での利回りです。目先の高利回りで判断する人が多いですが、それは日本円での利回りを想定するからです。高インフレ国での金利は、そのままのスペックはまず出ません。初心者手出し無用の難しい商品が多いです。
アジア開発銀行トルコリラ建債券
話題のトルコリラですね。トルコリラも金利が高いですが、過去チャートを見ればそのリスクが理解できると思います。通貨の減価以上の金利を出さなくては利が乗りません。ある程度の金利を付けないと販売できません。そういう商品群ですね。
円とトルコリラの10年チャートです。
この下落幅を補うための高金利ということです。基本的に新興国通貨建ての商品は不確定要素が大きいので、取り扱いには注意が必要ですね。
今後の対応
まず、全体的に信託報酬が高くやんちゃな商品が多いですね。対応としては、国内のつみたてNISA対応商品を買いなおすというのが良いと思います。リタイアされていて、米国株ETFは外国税額控除が効かないからです。
おすすめは
- 楽天全米株式
- eMaxis slim米国株式
などです。楽天シリーズ、eMaxis slimシリーズは低信託報酬です。手間のかからないディフェンシブな分散ならば、eMaxis slimのバランスファンドも良いでしょう。ただ、いきなり買わずに、ネットなどで調べてから買ったほうが良いですね。
ご希望の高配当での分配金リターンも狙いたいところですが、やや難易度が上がりますので、どうでしょうね。高配当投資に関しては過去の記事もご覧いただければと思います。
ご質問ありがとうございました。
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投資信託やETFは完全にスケールビジネスですから、スケールを狙えない場合は高手数料にして稼いでいくということになります。それを理解して私たちは何を買うかを考えると、答えはシンプルです。
ロボアドバイザーのポートフォリオの組み方などを参考にするというのも手です。
債券もそうですが、高配当・高分配金を狙うとキャピタルがほとんど出ないというジレンマを抱えることになります。2017年は高配当株でさえ上昇しましたが、そういう年は珍しいのです。