映画「終わった人」をご存知でしょうか。
大手銀行の出世コースから外れ、子会社に出向したまま定年を迎えた田代壮介(舘ひろし)は、喪失感からネガティブな発言を繰り返す。以前の輝きを失った夫と向き合えない美容師の妻・千草(黒木瞳)との間に溝ができ、満たされない気持ちから再就職先を探すが、うまくいかない。そんな中、ある人物と出会ったことで運命が大きく動きだし……。
解説・あらすじ - 終わった人 - 作品 - Yahoo!映画
つまり仕事一筋のサラリーマンが働き続けた結果、退職した後にその輝きを失ってしまうことをコミカルに描いています。
本作はシリアス路線ではなく、コミカルな作品に仕上がっていますが、個人的にはこの映画を見てとてもシリアスな印象を受けました。
企業戦士の父
私の父は64歳で大手金融機関のグループ会社の社長をしています。
元々鉄鋼系の一流企業に入り、土日も仕事に勤しむような企業戦士で、何年か前から金融機関の子会社の役員を転々としています。
年収も高く、家にはレクサスの車が毎朝迎えに来ます。
今でこそ土日は家にいますが、昔は転勤も多く、土日も仕事で、平日も夜遅くまで仕事をしていました。
私の母は専業主婦、父とは同じ会社で一般職の事務職をやっていて、父と結婚しました。
昔はよくあるパターンで、そのまま転勤族の父と一緒に日本中を移動しました。
企業戦士と専業主婦のコンビ
昔はよくあるコンビの企業戦士と専業主婦。
二人はよくケンカをしていました。根本的には仲がいいのですが、とにかくお互いに余裕が無かったのです。
仕事に忙殺される父と子育てに命をささげる母はどちらもかなりつらかったに違いありません。
でもお互いにお互いのつらさがわからないのです。
家族に戸惑う父と父に戸惑う母
父のことは大好きですが、やはり我が家は母の存在が大きいです。
ご飯を作るのも母、掃除も母、勉強を見てくれたのも母、お誕生日を祝ってくれたのも母。
もちろん誕生日の時には父もいたのでしょうが、子供は残酷で母しか見えていないということもあるのです。
父は家族だけどなんだか遠いような気がしていて、父から積極的にこっちに寄ってきて関わってくるというイメージが全然ないのです。
父自身もたまの休みは仕事でクタクタになっていて、無理して色々付き合ってくれていたようにすら子供心に感じていました。
私たち子供も大きくなってくると益々父への接し方がわからなくなってきました。
普段家にいないくせに、たまに口を開くと小言ばかり言う父を妹はとても煙たがっていました。
母もたまにいる父が、「たまにいるだけで」少し面倒臭そうです。
これクリーニングに出しておいて、庭の草が伸びてきたぞ、お腹すいたからごはん早めにしてくれ、コーヒー淹れてくれ、など「あ~それいったら怒られるだろうな」と思うことを言って案の定「自分でやりな」と言われて少し喧嘩になるのです。
退職後が想像できない
根本的に仲が悪いわけではないと思うのですが、父が退職したあとの生活を考えると母は若干憂鬱そうです。
母は父が退職しようがなんだろうが変わらない毎日を送りたいと思っているのでしょうが、父が母の生活に介入してきそうなので、そうもいかなそうなのです。
まるで、イラクからの帰還兵がPTSDに悩まされるかのように、父は企業戦士という戦場から普段の生活にはたぶん戻れないような気がしています。
毎日会社まで迎えが来て、移動が全部車、組織体系で自分が思った通りに仕事を進めていく毎日が一転、なにも目的のない、全て自分でやらないといけない世界に投じられるとなんとも無力です。
一家の主は間違いなく専業主婦の母です。
父は家のことを知らなすぎます。
私たち子供たちへの向き合うのに時間がかかるように思います。
どうすればいいのか
正直先人の方々がどうしているのか知りたいのですが、まずは家庭に向き合うことが大事だと思いました。
掃除をして、料理をして、草むしりをして、買い物をする。
40年遅れで家庭に向き合っていくことが重要ではないかと思っています。
生きるために、生活するために必要なことがエクセルやパワポを使うことや取引先とお酒を飲むことではなくなるので、それをしっかりと自覚することが必要だと思っています。
母に先立たれた後がやばい
女性のほうが長生きするようですが、もし母が先に他界してしまった時はとてもまずいと思っています。
さっき言った通り、父は生きるために必要なスキルが身についていないのです。
それは子供たちとのコミュニケーションだったりも含まれますが、一番は食事です。
人間は3食食べて、しかも栄養もちゃんととらないといけません。塩分は控えめ、添加物少な目と通常の食事よりも老人の食事はハードルが高いです。
若い時と違いカップ麵ばかり食べていてはすぐに死んでしまいます。
自立する力をとにかくつけないといけないでしょう。
最後に
もちろん、企業戦士として働いた父がお金をいっぱい稼いだから今の自分があるわけです。
だからとても感謝していますので、見捨てることは絶対にありません。
ただ、やはり頑固な人ですので少しづつ家族と向き合ってもらいたいと思います。