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伊根の舟屋 初めてなのにどこか懐かしい風景の町

2018.06.28 更新

京都府北部、「海の京都」と呼ばれるエリアでもひときわ人気が高い観光スポットが、ここ「伊根(いね)の舟屋」。海上に浮かぶように建つ舟屋がぐるりと海を囲む様子は、ここでしか見られない景色。高台から、町中から、船の上から…。どこか懐かしい雰囲気が漂う町を、ふらりと歩いて来ました。

▲天気が良いと海の青が強調され、素晴らしい風景を見せてくれる

一階は「船のガレージ」穏やかな海の漁師町の景色

京都府北部にある伊根町。日本三景に数えられる名勝・天橋立(あまのはしだて)から車で20分ほどの距離にあります。
「伊根の舟屋」として知られるこの地域の家屋は直接海に接していて、1階は船を収蔵するためのガレージ、2階が居住スペースになっています。地域独特の建造物が並ぶこの町並は、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
町を訪れる前に立ち寄った「舟屋の里公園」。舟屋の町並を見下ろす高台にある絶景のビュースポットです。展望台のほか、レストランやお土産店もあります。
伊根湾に浮かんでいるのは様々な魚の生け簀です。伊根湾にはブリや真鯛などの養殖が盛んにおこなわれていて、四角や丸の生け簀がたくさん浮かんでいます。
高台からの景色を堪能したら、さっそく町へと降りていきましょう!

伊根町の情報発信基地「伊根町観光協会」へ

まずは情報収集も兼ねて「伊根町観光協会」を訪れました。以前は、先ほど紹介した「舟屋の里公園」に設置されていたのですが、より町に近い場所で情報発信や観光客へのフォローをしたいと、2018年4月に町の玄関口のこの場所に移転しました。
▲協会内の様子。オリジナルグッズの販売も

町役場の書庫を改装した建物は、オシャレなデザインと古い町家の雰囲気が融合したとても素敵な空間になっています。
今回、取材に対応してくれたのは、観光協会の吉田さん。初めて訪れた伊根の町の見所を案内してくれることになりました!
▲昭和な空気が漂う町のよろず屋さん。なんとも言えない味があります

まずは、吉田さんと共に町の西側、西平田地区へと歩きます。このエリアは観光協会や駐車場からも近く、訪れた観光客の多くが町歩きを楽しむエリアだそうです。明治期~昭和初期の建物なども多く残る町は、タイムスリップしたような不思議な雰囲気です。
▲家と家の間の路地からは海が。ここにしかない風景がそこかしこに

海に接している舟屋は、先ほど述べたように舟のガレージが主な機能。なので、道路を挟んだ向かい側には、住居用の母屋があるのが主流です。ただ、漁の後に作業をしたり、翌朝の漁に備えたりすることがあるため、舟屋でも居住できるような機能が加わったのが、現在の舟屋の姿なのです。
歩みを進めると、大きな屋敷が見えてきました。こちらは伊根町で唯一の酒蔵「向井酒造」。創業は宝暦4(1754)年という老舗の酒蔵です。
▲代表的な銘柄の「伊根満開」。古代米で醸したお酒はピンク色で、ロゼワインのような味わい

こちらの蔵は、全国でも珍しい女性杜氏がお酒を醸しています。優しくフルーティなお酒が主流で、日本酒が苦手な人でも飲みやすいと評判。この日も多くの観光客がお土産に日本酒を買い求めていました。
また、舟屋の並びにある酒蔵は海に面していて、設置された浮桟橋は直接舟をつけられるようになっています。ヨットやカヤックなどで舟をつけてお酒を買いに来る人もいるというから驚きですね。
蔵ではお酒やへしこなどのおつまみ、酒スイーツなども販売しているので、天気の良い日はこの浮桟橋でプチ宴会を楽しむこともできます。
▲浮桟橋からみた舟屋の町並。漁の後に網を手入れするおばあさんがいたり、町の暮らしが垣間見えます
▲今回特別に見学させてもらった舟屋のガレージ内

観光協会では、町の歴史や文化の解説を聞きながら町を巡ることが出来るガイドツアーも実施しています。通常は入れない舟屋の中の案内もあるので、初めて伊根を訪れる際はオススメです。

「伊根湾めぐり遊覧船」で舟屋の町並を海から見る

町歩きの後は、観光協会から車で約5分の場所に乗船所がある「伊根湾めぐり遊覧船」に乗船しました。舟屋の歴史や見所の解説を聞きながら伊根湾をぐるりと一周できる観光船です。2階はオープンエアーになっていて、海風が心地よかったです!
船には、カモメやトンビがたくさん群がって来ます。港や船ではエサになるスナック菓子が販売されていて、鳥たちへのエサやりも楽しめます。カモメはホバリングしながらエサを口で獲りますが、トンビは鋭い爪でバッと持っていくので注意が必要。取材時も、トンビの爪が指にあたって結構ビックリしました。
▲エサを求めて飛んできたカモメ。かなりの数が来るのでシャッターチャンスもいっぱい
想像以上に沢山の鳥が飛んできてテンションが上がってしまい、夢中でエサやりしていたら、あっという間に船は港に到着。おかげで舟屋の景色や解説はあまり楽しむことができず…残念!
じっくり舟屋の景色を楽しみたい方は、エサやりはほどほどにするようにご注意ください。

町並を一望できる2階席で伊根の海の幸を味わう「舟屋食堂」

遊覧船から降りたら、もうお昼すぎ。お腹が空いてきたので、観光協会の建物の2階にあるレストラン「舟屋食堂」でランチを頂きました。
こちらは観光協会と同じく2018年4月にオープンしたばかり。木々の若々しい香りがイイ感じの内装です。大きくとられた窓からは、舟屋の町の景色を楽しむことができます。
ランチメニューは、海鮮丼やお刺身定食など、伊根湾や近海の新鮮な海の幸を使ったものが中心。今回は海鮮丼(税込1,500円)をチョイスしました。運ばれてきた丼の上には、伊根のブランド魚である「伊根サーモン」や、ヒラマサ、サワラ、スズキなど新鮮な魚介がたっぷり。ネタは季節ごとに変わり、その時期旬の魚が7~8種類ほどのるそうです。
それではさっそくいただきます!

ん~うまい!どの魚も新鮮で身が締まっていますね。ただ新鮮なだけじゃなく、切り身の大きさなどもちょうどよく、とても食べやすかったです。
ランチのあとは、料理長特製季節のデザート(税込400円)を頂きました。この日は3色ムース。リンゴとイチゴの酸味と、ほんのり香る抹茶の風味がナイスなマッチングでした。
ランチ以外に朝食やカフェメニューもあるので、旅のスケジュールに合わせて利用してみてください。

海から近づく舟屋の景色「海上タクシー」

▲マリネ号の船長・下岡さん。地元伊根町出身の若手イケメン船長だ

海の上から舟屋の景色を見るには、先ほどの遊覧船のほかに「海上タクシー」もおススメ。地元の船長さんたちが自前の船で海の上をガイド付きで案内してくれます。
▲観光協会から歩いてすぐの船着き場から乗船。オレンジの救命胴衣を着たら出発です
船を走らせること数分。船長オススメのポイントに到着。いかがでしょう?
ポスターなどの観光写真にもよく使用されるポイントだそうです。舟屋のガレージがはっきり見えますね。穏やかな波に揺られ、しばしこの不思議な景色に見入ってしまいました。
丹後半島と、さらにそこから半島状に突起した亀島に囲まれた海が伊根湾です。
「山が直接海に入り込んだような地形になっているでしょ?なので、プランクトンのエサになる豊富な栄養分が伊根湾に流れ込むから、いい魚が育つんです」と下岡船長。
「それに、地形的に常に波が穏やかな伊根湾は、過去も津波などの被害にあったことはありません。この地で暮らす人々が、いつしか海にせりだしたような家を建てるようなったんです」。なるほど、そうやってこのフォトジェニックな景色が生まれたんですね!
「岩牡蠣の養殖の生け簀で作業してますね、ちょっと見てみましょうか?」と同乗していた観光協会の吉田さん。
「ちょっと見せてもらえますか~?」と声をかけるとOKのサイン。船を寄せて見せてもらうことになりました。
▲岩牡蠣養殖の作業の様子

「今揚げているのはだいたい2年目ぐらいですね」と漁師さん。出荷するサイズになるまで3年かかるそうです。伊根の岩牡蠣はきれいな水の中で育てるためまったく臭みもなく、大きいものだと500gを超えるものもあるんだそう。
▲驚きのサイズ感!夏が旬の伊根産岩牡蠣、時期が合えばマストで味わいたい逸品

決まったルートがない海上タクシー、船長さんの思いつきで、サプライズな場所に連れていってくれるかも。時には「こんな景色がみたい!」といったリクエストにも応えてくれるので、自由度の高い海のお散歩が楽しめます。
伊根町には、紹介したマリネ号以外にも数件の海上タクシーがあります。乗船の希望は観光協会まで問い合わせてください。

一棟貸切で利用できる舟屋の宿「まるいち」

せっかく伊根町を訪れたなら、外から眺めるだけでなく、舟屋の中に入って過ごしてみたいですよね。というわけで、最後は「舟屋の宿」をご紹介。
2018年5月現在、伊根町には舟屋を改装した宿泊施設が13軒あり、多くの人が宿泊を楽しんでいます。今回訪れたのは、こだわりの調度品とオシャレな雰囲気の「まるいち」。舟屋をまるまる一棟貸してくれるスタイルで、若い人やカップルにも人気の宿です。
扉を開けて中に入ると、1階は大きな木のテーブルが置かれたリビングです。窓の外はすぐ海、そして船や他の舟屋が並ぶ景色を見ることができます。ここは1階なので、もともとは船のガレージだったスペース。外へ出てぐるりと回りこめば、かつての名残を感じることができます。
2階はベッドルーム。ツインベッドも広く、照明も雰囲気があってイイ感じ。これはステキな夜が過ごせそうです。
窓際は伊根湾を望むくつろぎスペースになっています。ゆらゆら揺れる海面に浮かぶ船、ゆるやかで穏やかな時間の流れを感じながらのんびり過ごしてください。
▲目の前の海では、日中釣りも楽しめます
▲笑顔が素敵な女将さんと生まれたばかりの娘さん

2018年5月現在は、食事なしの素泊まりのみ。食事は持ち込みか、先に紹介した舟屋食堂などの飲食店を利用してくださいね。予約が必要なお店もあるので、事前に観光協会に問い合わせるのがベターです。
海に浮かぶ舟屋の不思議な風景、昔ながらの暮らしのリズム…。どこにもないのに、どこか懐かしさを感じる伊根の町。忙しい日々に疲れたら、ちょっと足を延ばしてのんびり過ごしてみてはいかがですか。
妙加谷 修久

妙加谷 修久

京都市在住の旅行系ライター兼ディレクター。全国各地に足を運び、旨いモノを食べ、温泉に浸かる日々。ここ京都を中心に、知っているようで知らない「日本のイイトコロ」を紹介します。日本酒好きが高じて利き酒師の資格を取得しました。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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