感音性難聴
感音性難聴は、内耳や聴神経など「感音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴です。
原因は、加齢や病気・騒音など様々です。身近に起こってしまう可能性のある難聴ですが、現状では根本的な治療方法はありません。
ここでは感音性難聴の特徴や原因、治療方法や補聴器の効果について説明します。
感音性難聴の特徴
まずは、不快と感じずに聞こえる範囲の音がせばまる。
聞こえる範囲の中でもうるさくて不快に感じない範囲を「ダイナミックレンジ」という。ダイナミックレンジよりも小さい音は当然聞こえないわけじゃが、感音性難聴では小さくて聞こえない範囲がじわじわと広がってしまうのじゃ。
しかし、大きい音をうるさく感じなくなるわけでない。じゃからダイナミックレンジつまり聞こえる範囲が狭くなってしまうのじゃ。
音もそんな感じで、聞こえる音がぼやっとしてしまうのじゃ。これは、音を大きくしたとしても鮮明になることはないのじゃ。
3つ目は?
例えば、母音は周波数が高く小さい音である子音よりも聞こえやすい。子音の中でも「タ行」や「サ行」、「ハ行」や「カ行」は高音域にあるのじゃ。
じゃから、「七(しち)」と「一(いち)」を聞き間違えたりしてしまうのじゃ。
どちらにしても、思い当たる節があればきちんと病院で診察を受けることが大切じゃ!
感音性難聴は、音を感じる内耳(ないじ)やそれよりも内部の聴神経の障害によって起こる難聴です。感音性難聴の聞こえの特徴として、「聞こえる範囲がせばまる」「音がぼやける」「聞こえない成分ができる」の大きく3つがあげられます。それぞれについて詳しく説明していきます。
1.聞こえる範囲の音がせばまる
音を、「小さくて聞こえない音」「聞こえる音」「大きすぎて不快な音(うるさい音)」の3つの範囲に分けると、普段何気なく聞いている音は「聞こえる音」の範囲の音です。この範囲をダイナミックレンジと呼びます。
感音性難聴になると、小さくて聞こえない音の範囲が広くなっていきます。しかし、大きすぎて不快な音(うるさい音)の範囲は変わらないため、聞こえる音の範囲(ダイナミックレンジ)が狭まってきてしまうのです。
2.音がぼやける
耳は、音を内耳の蝸牛にある有毛細胞(ゆうもうさいぼう)で感じ取っています。感音性難聴では、有毛細胞の数が何らかの原因で減少してしまいます。
音があるかないかの判断は、ある程度の有毛細胞が残っていれば可能です。しかし、有毛細胞が減ってしまうと、音の鮮明さは下がってしまい、音がぼやけてきてしまうのです。
3.聞こえない成分ができる
人の会話の音の範囲を示す「スピーチバナナ」というものがあります。これは、人の会話の音域を聴力図上に示したものです。母音(a,i,u,e,o)は周波数が低く大きい音であり、子音は周波数が高く小さい音です。子音の中でも、特にサ行やハ行は高音域に位置しています。
一般的な感音性難聴では、高音域から聞こえが悪くなっていきます。高音域での聞こえが悪くなってくると、高音域にある会話の成分である子音(特にサ行やハ行)がはじめに聞こえなくなっていきます。
そのため、母音(アイウエオ)は同じでも子音が異なる「七(しち)」と「一(いち)」や、「加藤(かとう)さん」と「佐藤(さとう)さん」などの言葉が聞き分けづらくなってしまいます。
感音性難聴の原因
それは、加齢・病気・騒音じゃ。
聴力は30代から変化すると言われておる。特に60代ごろになったら、聞こえが悪くなってきたことを自覚する人も多い。
歳をとるにつれて、内耳のカタツムリのような形をした蝸牛(かぎゅう)の中にある有毛細胞というものが減少していったり、内耳の組織が硬くなったりしてしまうのじゃ。
そうそうそれじゃ!突発性難聴も難聴の種別としては感音性の難聴なのじゃよ。
じゃが、騒音を長時間聞き続けるのは耳には毒なのじゃ。
ミミーユの家の近くで工事をしていることとかなかったか?
そんなうるさい音をずっと聞き続けると、内耳を傷つけてしまって難聴になってしまう可能性があるのじゃ。
感音性難聴は、音を感じ取る内耳やそれより内部の聴神経など「感音器(かんおんき)」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴です。感音器に障害が起こってしまう原因としてあげられるのが、加齢や病気、騒音などです。
1.加齢
加齢とともに聴力は高音域から低下していきます。一般的に30代から聴力の変化は起こるといわれていますが、60代ごろから聞き取り能力の低下(難聴)を自覚し始める人が多いようです。
加齢による感音器の障害は、一種の老化現象です。加齢によって、音を感じ取る有毛細胞の減少、内耳の組織の変化、超神経の現象などが原因です。
さらに、加齢が原因の場合は、感音器だけでなくいくつもの部位の機能が低下していくことで起こります。脳が行う音の処理能力の衰えや、言葉を認識する能力の低下なども聞き取り能力の低下の原因となっています。
2.病気
代表的なものとして、突発性難聴やメニエール病などがあげられます。これらが原因として起こる難聴は感音性難聴といわれています。
突発性難聴の明確な原因は未だ分かっていません。ウイルス感染によるものや、内耳循環に障害が起きていることが原因の1つともされていますが、ストレスや疲労なども大きく関わっているとされています(→詳しくは「突発性難聴」をご覧ください)
3.騒音
長時間、騒音を聞き続けたり、大きな音を聞いたりすることで内耳がダメージを受けて聴力が低下してしまう場合があります。
工事現場など、長時間にわたって騒音のある環境下で働いていたり、ロック・コンサートなど大音響で音楽を聞いたりした場合などは、難聴を発症してしまう可能性があるので注意が必要です。
個人差はありますが、音を聞いている時間が長ければ長いほど、聞いている音が大きければ大きいほど症状は重くなる傾向があります。
当てはまったら要注意!感音性難聴チェックリスト
感音性難聴は、聞こえ方にいくつか特徴があります。次のような兆候がないか、チェックしてみましょう。
- ・低い音は聞き取れるが、高い音が聞き取りづらい
- ・言葉の聞き間違いが多い(「七(しち)と一(いち)」「加藤(かとう)と佐藤(さとう)」など
- ・騒がしい中で、特定の人の声を聞き分けることが難しい
聞こえづらいと感じている人で、これら3つの症状のうち1つでも当てはまる場合には感音性難聴の可能性があります。詳しくはきちんと耳鼻科で診断を受けましょう。
これら以外に、難聴の兆候を「難聴とは」で紹介しています。合わせてチェックしてみてはいかがでしょうか。
感音性難聴の治療方法
騒音が原因なら耳を休めたり、加齢が原因の場合は健康状態を良好にしたり、耳の病気の可能性がある場合は病院ですぐに診察を受けることが大事じゃ!
残念ながら、感音性難聴に対する明確な治療方法はありません。
騒音が原因で起こった難聴は、耳を休息させることで難聴の進行を抑えることは可能と言われています。
加齢が原因の難聴は、老化現象なので治すことはできません。根本からの回復はできませんが、難聴を進めないようにすることが大切です。耳の血液循環を健康に保つために血圧や血糖・コレステロールをきちんと管理したり、適度な運動や規則正しい睡眠、バランスのとれた食事をとったりすることを心がけると良いでしょう。
病気が原因の難聴は、治療な可能なケースもあります。 突発性難聴は、投薬による治療により完治する場合もあります。完治させるためには、症状が出てから治療を開始するまでには早ければ早いほど良いとされています。耳に異変を感じることがあれば、耳鼻科ですぐに診察を受けるようにしましょう。
感音性難聴に対する補聴器の効果
一度なくなってしまった有毛細胞を元通り戻すことはできない。じゃから、残っている有毛細胞を最大限に活用するしかないのじゃ。
感音性難聴の場合、補聴器による聞こえの改善は可能ですが、完全に正常な聞こえには戻りません。
それは、音を感じ取るための感音器に障害が起こってしまっているからです。有毛細胞は、一度なくなってしまうと元の通りに戻すことはできないのです。
しかし、補聴器を使うことで、難聴によって聞き取ることができなくなってしまった小さな音を聞き取るようにすることや、聞き分けられなかった言葉の成分を聞き取ることができるように聞こえる範囲を広げることは可能です。どれほど難聴が進んでいるかによって、補聴器による聞こえの改善程度も異なるため、まずは一度試してみると良いでしょう。
感音性難聴の場合、残念ながら補聴器を使用しても聞こえを完全に戻すことはできません。しかし、補聴器を利用することで聞こえを改善させることはできます。
「感音性難聴はもう治らない」とあきらめてしまうのではなく、まずは一度補聴器を使うという選択を取ってみてはいかがでしょうか。「シニアのあんしん相談室‐補聴器案内‐」では、補聴器の聞き比べも可能です。まずはお気軽にご相談ください。