「あ! 野生のピカチュウが飛び出してきた!」ってね。
スマートフォン越しに、現実世界にポケットモンスターたちを投影してリアリスティックな体験を提供したPokemon GO。現状このゲームのARは、ARKitを使ったAR+モードを除いて、モニターの上にベタっとCGアニメのレイヤーを乗せたような簡単なものとなっています。
登場したときには革命的なゲームでしたが、開発元のNiantic(ナイアンティック)はこれに飽き足らず、数年の歳月をかけてもっとリアルなグラフィックになるよう研鑽を重ねていました。
今回、Nianticが公表した拡張現実(AR)のプラットフォーム「Niantic Real World Platform」では、自社のゲームのみならずサードパーティの開発者でもNianticのAR技術を借りてゲームを開発できるようになります。
そして今回の本題は、そのプラットフォームに含まれる新しいAR技術。コードネーム「Niantic Occlusion」と呼ばれる新技術は、現実世界の物体を細かく認識し、ピカチュウやイーヴイがその物体の後ろに回り込むようになるというものなんです。
従来のARなら歩行者や植木鉢の上に重なるように動いていたポケモン。ですがAIを使ったNiantic Occlusionを使うと、植木鉢や歩行者の裏側に回り込むように描写されるのです。例2ではピカチュウとイーブイが、同時に障害物の間で見え隠れしていますね。
この技術がすごいのは、物体が「何であるか」を認識するだけでなく、その物体が「どこにあるか」といったところまで認識できるということ。これによって空間を3次元に認識でき、ARオブジェクトもかなり自然に実装できるというわけです。Niantic Occlusionの物体認識には、ロンドンのスタートアップ企業Matrix Millが開発したニューラル・ネットワークを使われています。デモ映像は研究段階のものなので、まだまだ技術の向上が期待できそうです。
実際にこの技術がPokemon GOに採用されるかわからないものの、今後Nianticが作るゲームはここまでリアルなAR体験を我々に届けてくれるわけです。さぁ、どんなゲームが飛び出しますでしょうか? 楽しみですね!