当時は戸惑ったものだ。
なんでこんなに受けるの?

嬉しいというよりは、変な感じだった。
幸いにして「朝比奈ミクルの冒険」や「サムデイ イン ザ レイン」など、しっかり仕掛けて作った部分も充分に評価されたので、まだ違和感は薄かった。

しかし「ハルヒダンス」、なんでこんなに受けたんだろう?
作画スタッフに罪はない、あくまで演出上の問題だが、この程度で??

僕にとっては「刺身のツマ」がえらく評判になったようなものだ。
そこを褒められてもなぁ、という。

そんな思いは、やはり当時からあった。


それからが、新作を作る度に、やれダンス、またダンスと要求され・・・。
正直ウンザリした。

『フラクタル』の時は、「ダンスを要求したら即降りる」と言った記憶が。


それが一周して、アイドルアニメでまたダンスをやる羽目になったのだが、リソースの不足もあって、ダンス作画に注力するのはなるべく避け、ドラマ部分に力を入れた。

それが今度は「他と比べてダンスが見劣りする」とな・・・。

もうウンザリだ。
死ぬまで踊ってろサルども。


結局「一番解りやすいもの」が受けるのだ。
『エヴァ』での庵野さんの悩みも、そういうところだったのかなぁと、想像してしまう。


本当、くだらん業界だ。