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Adobeの新動画編集アプリ「Project Rush」レビュー。スマホでも高度な編集作業が可能に

Premiere Pro CCは手に余る人向け

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AdobeのPremiere Pro CCと言えば、動画編集をするユーザーにとっては「憧れの」プロフェッショナルソフトウェアではないだろうか。だが、プロフェッショナル用故に、使いこなすまでは時間がかかるそういうソフトウェアでもあることは否定できない。だが、最近市場で起きていることは、動画編集の大衆化とでも言うべき状況で、4K動画が手軽に撮影できるようなスマートフォンなどの登場により、誰でも気軽に高画質な動画を撮影して、SNSでシェアするということが可能になっている。

そうしたPremiere Pro CCをバリバリ使いこなすまで勉強する時間は無いけど、手軽にかつ高品質な動画を編集したいというユーザーのニーズを満たすソフトウェアがまもなく登場する。それがAdobeの「Project Rush」だ。本レポートではProject Rushが初めて一般に公開されたイベント「VidCon」で実際に触ってみて分かったことをレビューの形でお伝えしたい。

スマートフォンの動画機能の向上で一億総YouTuber時代の到来

冒頭でも述べたとおり、動画の大衆化は進行する一方で、もはや1億総YouTuberと言っても言い過ぎでもないぐらい動画を撮ってSNSに投稿するという行為は一般化しつつある。ネコを撮る人、子供や孫の運動会の写真を撮る人、友人の結婚式を撮る人...そのニーズは様々だと思うが、今や動画を撮ったことがないという人の方が少数派になりつつあるだろう。

その最大の要因はスマートフォンの普及であることに疑いの余地はない。以前であれば、動画を撮るというと、家電メーカーやカメラメーカーなどが販売しているカムコーダーを買って、それを編集するには取り込む専用のPCが必要という状況だった。しかし、メディアがテープからフラッシュメモリになり取り込みが容易になり、さらには動画を撮影する機能が1人1台というレベルで普及しているスマートフォンに入ったことで誰もが動画を撮影する環境が既に整っている。

かつ、動画系のSNSも最近では大きく注目されるようになってきている。小学生がなりたい職業ランキングの上の方にYouTuberが登場する時代になっており、特に若い人を中心にYouTubeの人気は爆発している。それに対抗するかのように、InstagramがIGTVを始めたり、日本ではニコニコ動画が人気だったりと動画をSNSでシェアするという行為がもはや一般的になりつつある、それが今の現状だ。

そうした時に、人よりももっと高クオリティの動画を投稿したい、そういうニーズもどんどん高まっている。そうした時に撮影した動画をそのままアップロードするのではなく、少し手を加えたり、タイトルを入れたり、複数の動画をつなげて1つにしたい、そう思うのが自然な流れだろう。

マルチデバイス、マルチプラットフォームで利用できるProject Rush

そうした時にはビデオ編集ツールを活用することになる。その代表的なツールが、AdobeがCreative Cloudの一部として提供しているPremiere Pro CCであることに異論は無いだろう。確かにPremiere Proはすごい。というのも、実のところプロフェッショナルな現場、例えば4Kの映像を編集するようなテレビ局向けのコンテンツを制作するスタジオなどでも普通に使われているぐらい高機能なソフトウェアだ。

Project RushのmacOS版


Project RushのiPad版


だが、逆に言えば高機能ということは勉強することが少なくないことを意味する。つまり使いこなすまでに挫折する人が少なくないというのもまた事実だ。そこで、Premiere Pro CCの機能を継承しつつ、もっととっつきやすいソフトウェアはないものかと思っていたユーザーに朗報となるのが、今回紹介するProject Rushとなる。

Project Rushの最大の特徴はマルチデバイス、マルチプラットフォームで利用できることにある。具体的にどういうことかというと、以下の図のようなことができる

Project RushのアプリケーションはPC(Windows/macOS)、タブレット(iOS/Android)、スマートフォン(iOS/Android)で利用することができる。かつデータはCreative Cloudのクラウドストレージを経由して同期される。このため、スマートフォンで編集していたプロジェクトは、そのままPCへ同期され、スマートフォンで編集していた続きをPCで編集できる。もちろん、その逆も可能だ。機能に関しては一部の例外を除き、どのプラットフォームでも同じ機能をそのまま利用することができる。

iPhone版のProject Rush。直接動画を撮影して取り込める


取り込み以外にスマホでの編集も対応


その例外の1つが、スマートフォンとタブレットのRushは、動画の撮影機能を持っていることだ(つまりPCはその機能には対応していない)。デバイスに内蔵しているカメラを利用して撮影し、それをすぐにタイムラインに追加出来る。追加したらCreative Cloudと同期して、PCに戻すると、撮影したばかりの動画がタイムライン上にある状態から編集することができる。これまでであれば、まずスマートフォンのカメラで撮影し、それをケーブルで接続してPCに転送して...と面倒なことをやっていたことを考えれば、この手軽さがRushの1つの特徴と言えるだろう。

Adobeの新世代UIを採用して、Premiere Pro CC譲りの高性能だけどシンプルで使いやすいソフトに

Rushには右側と左側の2つの操作アイコンが用意されている。この形のユーザーインターフェースは最近のAdobeソフトウェアで多く取り入れられている。Lightroom CCやDimension CCなどでも共通の形で、アイコンをクリックするとメニューがせり出してくる形になっており、シンプルで使いやすいモノとなっている。

PC版とタブレット版は左右にアイコンが表示されるUI


左側に用意されているアイコンを操作すると、動画ファイルの取り込みを行なうことができる。動画の取り込みは、PC版ではPC版、ローカルにあるメディアファイルを取り込んで編集することができる。この場合、OSが対応している形式であれば取り込むことが可能で、WindowsならH.264以外にAVIやWMV、MPEG2などを取り込んだりできる。

動画取り込みのメニュー


これに対してスマートフォンやタブレット(つまりiOSやAndroidでは)、H.264の取り込みのみが可能だ。それ以外の形式の動画を取り込みたい場合には、PCから取り込んでスマートフォンやタブレットに同期をかける必要がある。この場合動画は1080pのH.264にトランスコードされて同期されることになる。


画面右側のメニュー


タイトルにはPremiere Pro CC譲りのプリセットを用意


右側のアイコンは編集メニューで、タイトル、トランジション、カラー、オーディオ、トランスフォームの5つのメニューが用意されている。例えばタイトルではPremiere Pro CCにも搭載されているような複数のプリセットが用意されているほか、Adobe Stockからダウンロードして使うなども可能だ。カラー変換もプリセットが用意されている。

カラー変換の詳細設定も利用可能


iPadでもPCとほぼ同じ機能を利用可能


タイトルやカラー変換などに関しては詳細設定も用意されており、ある程度深い設定も可能になっているものの、多くのユーザーはプリセットで十分高品質な動画を編集することができるだろう。基本的にそれを利用してサクサク編集していく、そういう設計思想のアプリケーションだと考えればいいだろう。

動画の出力画面


編集が終了したら、左側のパネルに用意されている出力メニューを利用して、動画を出力できる。ローカルのストレージに保存することも可能だし、SNSの動画サービスに対して出力することも可能になっている。ローカルに出力する場合には2K/4KなどのH.264として保存することが可能だ。

RushのプロジェクトをPremiere Pro CCで読み込める

以上のように、会場で触った限りにおいてだが、Project RushはPremiere Pro CC譲りの動画編集の機能を持ちながら、よりシンプルで手軽に使える動画編集ソフトウェアだというのが筆者の偽らざる感想だ。

もちろん、より高度な編集を行ないたい、プロレベルの編集を行ないたいというプロフェッショナルにとっては引き続きPremiere Proを使うことになると思うが、Rushのプロジェクト(動画+設定)をPremiere Pro CCで読み込むことができるようになる予定なので、将来的にはRushとスマートデバイスである程度撮影、編集を行ない、それをPCのPremiere Proに持って行ってより高度な編集をする、そういう使い方も可能になるだろう。

Project Rushのバージョン表示


Rushは現在ベータテスト中で、AdobeのWebサイトからベーターテストに申し込むことができる。現時点ではWindows、MacOS、iOS版が提供されており、Android版に関してはカメラ機能をより幅広いハードウェアに対応させないといけないため時間がかかっており、今年の末までに提供される予定となっている。

いつ製品になるのかはAdobeは明らかにしていないが、既にバージョン1.0ベータとなっていたことから、そう遠い時期ではないと筆者は考えている。ここ近年のAdobeのパターンだと、10月に行なっているAdobe MAXで新しいバージョンのソフトウェアが発表されてきていることを考えると、その時期には製品版が登場する、そういうシナリオが一番考えられるのではないだろうか。

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